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2021年04月25日12:44

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『ファインド・ミー パリでタイムトラベル』

 『超能力ファミリー サンダーマン』からの流れでこの洋ドラも見ちゃってます。『サンダーマン』はいかにもセット然とした一家のリビングでもっぱら話が進むシチュエーション・コメディで、明らかに予算も潤沢ではありませんでしたが、『ファインド・ミー』はロケも多用されていて、なかなか豪勢な作りになっています。

 1905年年に恋人と駆け落ちしようとしていたロシア貴族の娘、レナ・グリスキーはひょんなことから現代のパリにタイムスリップしてしまいます。パリでバレエ学校に入学した彼女は、彼女は自分がタイムスリップさせられた謎を解き明かし、無事に過去へと帰ることができるでしょうか、といったお話です。
 彼女をふくめた男女3人ずつのバレエ学校のクラスメートたちが主要キャストとなっています。バレエ・ダンサーの卵たちを演じるだけあって、華のある俳優たちが揃えられているし、レッスンのシーンでも吹き替えなしで当人たちが踊っており、かなりレベルの高い配役がなされていて感心します。もっとも、バレエ特有のつま先で立って踊るのだけは別らしくて、そこだけはカットを分けて演者を切り換えています。

 女性のクラスメートの一人はヒロインと特に親しく、彼女とだけはタイムスリップしてきた秘密を共有しています。もう一人のクラスメートは典型的なイジメ役なのですが、このドラマはゆるいコメディなのでそのイジメっぷりもバイキンマンとかトランスフォーマーのメガトロンぐらいの感じで、決してシリアスなものではありません。
 個人的には彼女のやっていることはしょうもないのに、妙にドヤ顔の悪役ぶりが楽しくて見ています。
 ヒロインが転入してきたせいでクラスのエースの座を奪われ、それに怒って嫌がらせをしたら彼氏にバレて愛想を尽かされ、自業自得で彼もとられてしまって号泣という転落ぶりに親しみをおぼえます。ヒロインのせいですべてを失った人なので、執拗につけ狙うのも無理はないと納得させられます。

 そんなわけでクラスメートの男の一人は、イジメ役からヒロインにあっさり乗り換える節操のないやつです。ヒロインには過去に駆け落ちまでしようとした彼氏がいるのですが、こいつがちょっとどうかというぐらいグズでノロマなので、ヒロインもすぐに愛想をつかし現代にやってきてからすぐ彼にコナをかけていました。
 ヒロインは昔の少女漫画にありがちなちょっとドジで天然なところもある女の子として設定されているようなのですが、いろんなことが彼女に都合よく展開していく結果、かなり打算的で腹黒い女のようにも見えてくる少女漫画あるあるの罠にはまりこんでいるようでもあります。
 現代に飛んできた元カレとこの今カレが唐突に出くわしてあたふたするシーンがあったりして、こういうのは女性視聴者にとって大好物のシーンなんだろうなと思います。まったく別ジャンルですけど黒木華が主演した『みをつくし料理帖』でもまったく同じシークエンスがあって、鉄板の展開なんだろうなと得心しました。

 サポート役の親友、イジメ役、元カレや今カレといった人物配置は少女漫画のごく一般的なテンプレートだと思います。少女漫画というジャンル自体、あまり外国にはないものだと思っていたので、このテンプレも独自のもののような気がしていたのですが、海外ドラマでもふつうに踏まえられているところをみれば、フランス文学あたりまで遡ることができるのかもしれません。

 男子クラスメートのもう一人はヒロインの親友に言い寄ってついには付き合うようになります。ちなみに、バレエのクラスではこの二人だけが有色人種です。ポリティカル・コレクトネスに配慮はしているけど、色違いの恋愛にまでは踏みこまないといったところでしょうか。

 ポリティカル・コレクトネスといえば、男子クラスメートの最後の一人はトリックスターのコメディリリーフを好演していたのですが、ドラマが終盤に至ってから急にゲイをカミングアウトして、「ああ、そうですか」と思いました。

 クラスメートの他に、タイムスリップした人間を追うタイム・ジャッカーという3人組の悪役も登場します。追われている身なら、呑気にバレエのレッスンなんぞ受けている場合じゃないだろうと心配にもなりますが、貴族のお嬢さまが身分を隠してバレエのレッスンに励み、クラスメートの美男美女たちに囲まれて恋のさや当てなんかにも興じちゃったりしちゃったりするという女の子の夢を身も蓋もなく映像化するというのが、この企画のメインコンセプトなので、そこで社会の底辺に身を潜めて追っ手から逃れるというしょっぱい選択肢に検討の余地はありません。
 そもそもこのタイム・ジャッカーたちはすごく間抜けなので、居場所がはっきりしていても捕まる危険は皆無です。あくまで普段の生活にちょっとしたスリルとサスペンスを付加するための調味料的な役割を担当しています。しかも、彼らも全員がイケメンです。特にリーダーは、白人ですが嵐の大野智に似ていると思います。

 視聴者の欲望ないし願望にベタに向き合う姿勢と、そのためにダンスシーンなどを作りこんでいく丁寧さに感心しながら見ています。もうすぐ終わるみたいですけど。

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