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2021年02月28日13:43
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九月、東京の路上で−私たち日本人は百年前何をしたのか？
憲さんがまだ20代の頃、今の職場には建築現場の仕事にも関わらず何人か同世代の女性がいた。
今では考えられないことである・・・。
その内の一人の女性と同じ現場になったことで一緒の電車で帰ることがあったのだが、その時聞いた話だが、実はその女性は本人が言うには霊感が強いらしい。
そして、彼女はきまって総武線の荒川を渡るところに差し掛かるといつも強い霊気を感じ気持ちが悪くなると言うのである。
大変オカルトチックな話であるが・・・。
当時も今も「霊感」などは信じない憲さんだが、彼女の真剣な語り口を聞いて、気持ち悪くなるのは本当のことなのだろうと合点したが、その時・・・
Σ(￣□￣;)ハッ！！
と、思い当たる節があった。
それは、彼女が霊気を感じる場所がいつも荒川を渡るあたりだということである・・・。
また本の紹介で恐縮だが、先日東京新聞書評欄の本の紹介にこう書いてあった。
以下、引用。
「本書は、近年目を塞いだり単純に断罪してすます傾向にある『民衆暴力』という視点から日本の近代史を再検討するという野心的な試みである。
幕藩体制から近代国家への移行期に頻発した新政反対一揆から、秩父事件、大正期の都市暴動、関東大震災のさいの朝鮮人虐殺。この四つの事象がとりあげられ、その都度の民衆による暴力のその実態が検証される。」
以上、引用終わり。
参考
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Σ(￣□￣;)ハッ！！
秩父事件！
秩父困民党フリークの憲さんとしては、「秩父事件」とあれば見逃すはずもない。
早速図書館で予約を入れたが、これまた結構待たされた。
で、読んでみた。
この本の著者である藤野裕子先生は憲さんよりも若いのだが日本の「民衆暴力」を中心に研究している歴史学者である。
憲さん以前に、前著である『都市と暴動の民衆史』をやはり図書館で借りて読んだが、これは学術書に近く憲さんの頭にはあまり入って来なかった。
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そして、今回借りた『民衆暴力』は新書版で読みやすくなった上、前述の書評にもある通り、４つのトピックスに絞り論じられている。
それを目次に倣って紹介すると
�／契�反対一揆−近代化政策への反発
��秩父事件
�Ｅ垰塰銃�(日比谷焼き打ち事件)
�ご愿貘膺椋匯�の朝鮮人虐殺
である。
憲さん特に�△鉢，砲弔い洞縮�があって借りたのだが、「秩父事件」については、あまりその紙幅が割かれていなかったが、秩父蜂起の社会学的な捉え方が簡潔に述べられており大変参考となった。
著者は、この秩父蜂起は自由民権運動の一環としてだけ捉えるのではなく、近世の世直し一揆の連続性としても捉えるべきだとの説を支持している。
憲さんも同じである。
その要因として近世からの伝統的な温情ある金融慣行がいわゆる「明治維新」以降の近代的金融慣行にとって変わることにより無慈悲化されたことによる貧者の怒りを挙げている。その例が「糶(せり)売り」である。これは、公売のことで、借金の返済が滞り、訴訟になった場合、担保を公売にかけて借金を回収する方法である。
この国家権力により猶予のない処分により、農民たちは「身代限り」＝自己破産の憂き目にあったのである。
このように秩父事件で農民が蜂起したのは、近世以降の慣習がベースにあったのである。
しかし、秩父事件はこのような単なる負債農民騒擾というだけでは説明がつかない。
当時の負債農民騒擾には「武相困民党」などもあったが蜂起にまでに発展したのは秩父事件と群馬事件のみであり、例外的な存在であった。
参考
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著者はこれについては、自由民権運動との関わりを指摘している。
しかし、「武相困民党」の指導者の須長漣造(すながれんぞう)の書き付けに、内に孕む「暴力性」があったこともまた指摘している。
憲さん、武相困民党については知らなかった。
参考
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さらに、著者は武相困民党は武装化しなかったが、秩父困民党は武装化したことを考察している。
それはこの時代、暴力の正当性が国家に集中しており、それと対峙するのはまさに命懸けの行動だったことを挙げている。
秩父蜂起とはあの時代、井上伝蔵等を代表とする自由民権運動の社会変革の理論といわゆる「激化事件」の実践、そして困民党総理田代栄助にみられる侠客然とした義理人情を重んじる親分肌の気質とその結集力、そして、貧困に喘ぐ農民の近世から続く「世直し」を志向する行動が結合し、明治政府の強大な暴力装置と対峙することを彼らが決断することによってはじめて起き得た奇跡的な武装蜂起だったのではないだろうかと改めて考えた。
と、ここまではいつものように「マクラ」である。
憲さんこの本、せっかく順番待ちで借りたのだから最後まで読むこととした。
そして、読み入ってしまったのが最後の章で触れている1923年に発生した「関東大震災時の朝鮮人虐殺」である。
この事件、憲さんも当然知っている。
最近では小池百合子都知事が追悼文を慰霊祭に送らなかったことでも焦点となった。
しかし、この歴史的事件については公教育の場においてもさらりと流されてしまいがちだし、正直かなり陰鬱な話なので、憲さんもあまり事実を直視してこなかった。
「関東大震災の混乱に乗じて軍隊や警察が日本にいる朝鮮人を殺害した。」程度にしか捉えていなかった。
しかし、この本を読んで私の認識不足を痛感させられた。
この朝鮮人虐殺は市井の日本の「民衆」が警察や軍隊以上にこぞって朝鮮人を虐殺していたのだ！
民間人が自警団を組織し、「朝鮮人が暴動を起こした」「朝鮮人が井戸に毒を入れた」「朝鮮人が放火した」などの流言蜚語に踊らされ、朝鮮人虐殺の凶行に我が手を染めていたのである。
せっかくだから、憲さんが衝撃を受けたところを本書から抜粋してみよう。
「その原っぱ(旧四ツ木橋の土手近く)に一晩いたとき、朝鮮人騒ぎで大変だったんだ。(中略)あくる日、土手近くに行くとおまわりが立っていた。殺された朝鮮人はずいぶんいた。2〜30人ほども殺されていただろうか。殺したのは一般の人だった。」
「一日の夜中、一時が二時だったでしょう。余震があるころ、朝鮮人さわぎがおきたんです。自分は見なかったが、20人ぐらいの朝鮮人が竹槍で殺されたということを倉庫のなかでか聞きました。」
「たしか三日の昼だったね。荒川の四ツ木橋の下手に、朝鮮人を何人かしばってつれて来て、自警団の人たちが殺したのは。何とも残忍な殺し方だったね。日本刀で切ったり、竹槍で突いたり、鉄棒で突き刺したりして殺したんです。女の人、なかにはお腹の大きい人もいましたが、突き刺して殺しました。私が見たのでは30人ぐらい殺していたね。」
以上がいわゆる「旧四ツ木橋事件」の証言の一部である。
これは自警団を組織した民衆が虐殺の手を下した目撃情報である。
同時に四ツ木橋付近では軍隊も朝鮮人虐殺に手を染めている。
「軍隊が殺したけど、言っていいのかどうか・・・。綾瀬川(荒川と並走して流れる川)の川原でね、12〜3人ぐらいの朝鮮人を後ろ手に縛って数珠つなぎにし、川のほうに向かせてたたせて、こちらの土手の上から機関銃で撃ちましたね。まだ死なない人には興奮した兵隊が刀で切りかかったんですよ」
「22〜3人の朝鮮人を機関銃で殺したのは旧四ツ木橋の下流の土手下だ。西岸から連れてきた朝鮮人を交番のところから土手下におろすと同時にうしろから撃った。一挺か二挺の機関銃であっという間に殺した。」
「四ツ木橋の下手の墨田区側の河原では10人くらいずつ朝鮮人を縛って並べ、軍隊が機関銃でうち殺したんです。」
「一個小隊くらい、つまり2〜30人くらいいたね。二列に並ばせて、歩兵が背中から、つまり後ろから銃で撃つんだよ。二列横隊だから24人だね。その虐殺は二、三日続いたね。」
これは、戦時の話ではない。
ナチスドイツ軍の話でもないのだ。
震災の混乱の中とはいえ、憲さんが住む我が東京の隣町でたかだか100年前に実際に起きた出来事なのである。
この虐殺が多発した荒川放水路沿いは、亀戸、大島、吾嬬町など、第一次世界大戦後の好景気を機に工場が林立し、仕事を求めて多くの労働者が流入し、また、荒川放水路の橋梁工場なども行われ、そこには多くの朝鮮人労働者もいたのだ。
そして、荒川放水路沿いは都心から避難してきた人たちの避難経路でもあった。
現在、その四ツ木橋はなく今の四ツ木橋は京成線の荒川鉄橋の北側にあり、旧四ツ木橋のあった近くには新たに木根川橋がかけられている。
冒頭に挙げた憲さんの同僚の女の子の霊感が察した「気持ちの悪さ」とは、荒川に漂う殺された朝鮮人たちの無念が時を超えて彼女に伝わったのであろうか？
憲さん、当時そう思えてならなかった。
この、朝鮮人虐殺はさらに東京をこえて近郊の町にも伝播している。
憲さんが育った千葉県でもその蛮行は振るわれた。
まずは、我が故郷船橋である。
同書にはこうある。
「北総鉄道(のちの東武野田線)の工事現場で働く朝鮮人労働者を、自警団が針金でしばって船橋警察署に連行したところ、東京の避難民が『そんな奴らたたき殺してしまえ』といい、それを機に暴行が始まった。」
「他にも、船橋では九日市（現本町・湊町、憲さん注）などで虐殺が起きた。」
また、他の朝鮮人虐殺を扱った本(『九月、東京の路上で』加藤直樹著)にもこうある。
「1923年9月4日、船橋周辺では、自警団による朝鮮人虐殺が各地で繰り返された。もっとも規模が大きかったのは船橋駅北口付近(旧天沼弁天池付近、憲さん注)で、38人が殺された。(中略)子供が『アイゴー』と泣き叫んでいる姿が目に焼き付いている。」
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また、船橋では自警団による事件が多かった一方で、同じ船橋でも朝鮮人労働者を助けた自警団もあった。船橋の鎌ヶ谷市への飛び地である丸山地区において、朝鮮人労働者が丸山の「おこもり堂」(慈眼院)を飯場として生活していて、震災当時、二人の朝鮮人がそこに残っており、他の地区の自警団が丸山に押し寄せ、朝鮮人の引き渡しを要求たが、丸山の自警団はそれに応じず、二人の朝鮮人を無事に船橋警察署に届けているのだ。
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さらに、船橋の近郊の習志野や八千代でも民衆による朝鮮人虐殺が行われた。
それも、これらは習志野の陸軍の捕虜収容所に「保護」した朝鮮人を軍隊が民間に渡して殺させたのである！
これも加藤直樹氏の著書「九月、東京の路上で」から引用する。
以下、引用。
八日 太左エ門の富治に車で野菜と正伯から米を付けて行って貰ふにする 小石川に二斗 本郷に二斗 麻布に二斗 朝三時頃出発。又鮮人を貰ひに行く 九時頃に至り二人貰ってくる 都合五人 (ナギノ原山番ノ墓場の有場所)へ穴を掘り座せて首を切る事に決定。第一番邦光スパリと見事に首が切れた。第二番啓次ボクリと是は中バしか切れぬ。第三番高治首の皮が少し残った。第四番光雄、邦光の切った刀で見事コロリと行った。第五番吉之助力足らず中バしか切れぬ二太刀切。穴の中に入れて仕舞ふ 皆労(つか)れたらしく皆其此(そこ)に寝て居る 夜になるとまた各持場の警戒線に付く。(姜徳相『関東大震災・虐殺の記憶』)
千葉県八千代市高津地区のある住民が残した日記である。
1923年9月8日、村人が朝鮮人を斬殺した日のことを記している。この犠牲者たちは、ほかの事例のように自警団の検問にひっかかったのではない。軍によって習志野収容所で「保護」されていたはずの人々である。軍はひそかに、高津、大和田、大和田新田、萱田など、収容所周辺の村の人々に朝鮮人の殺害を行わせていたのだ。
以上、引用終わり。
自警団の連中は朝鮮人殺害を何かのゲームでも楽しむかのように行っているのである！
人間性の欠片すら見られない！
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さらに、有名なのは亀戸での虐殺である。
労働者が多い亀戸周辺では、当時労働争議が多発しその管轄を担う亀戸警察署は専ら「公安警察」の様相を呈しており、労働争議弾圧の尖兵としてたち振る舞っていた。
この亀戸では、南葛労働組合の組合員で社会主義者の川合義虎、平沢計七等10名が以前から労働争議で敵対関係にあった亀戸警察署に捕らえられ、9月3日から4日（あるいは9月4日から5日）に習志野騎兵第13連隊によって亀戸署内あるいは荒川放水路で刺殺された。
いわゆる、亀戸事件である。
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しかし、亀戸ではこのほか、9月3日から5日にかけて数十人の朝鮮人が亀戸署内で殺害された旨の複数の記述が残されており、また上述以外に何人かの日本人や中国人が亀戸署管内で殺されている。
その、代表例が中国人留学生の王希天殺害事件である。
当時27才の王は満洲吉林省長春出身。キリスト教徒であった。
18才で日本に留学、1917年一高(東大教養学部の前身)特設予科に入学。1919年5月、五四運動を受けて東京で行われたデモのリーダーの一人として警察にマークされるようになる。同年9月、八高(名古屋大学の前身)に入学するが、1921年に上京、中国人労働者が多く住んでいた東京府南葛飾郡大島町（現在の東京都江東区大島）に中国人救済組織、僑日共済会を結成して在日中国人労働者を組織化する運動をしていた。
関東大震災発生後、彼は中国人を陸軍の習志野演習場へ護送する任務を行っていた野戦重砲兵第1連隊の遠藤三郎大尉の依頼を受け、11日まで護送業務に協力する。その後、解放されるが、改めて亀戸署に拘束される。中国人のリーダーである王を危険人物と認識していた同地の野戦重砲兵第3旅団が、この機に王を殺害することを企図し、警察から身柄を引き取った。9月12日未明、旧中川の逆井橋付近で野戦重砲兵第1連隊・垣内中尉が王を斬殺、死体は遺棄された。
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また、この大島付近では多くの中国人労働者が殺害されている。
当時の大島には中国人労働者数千人が集住して、工場に働きに出ていっていた。
そして、震災の際に大島８丁目の空き地(現在の東大島文化センター辺り)で大量に軍隊や民間人によって虐殺されているのだ。
この背景は朝鮮人虐殺とは違うものがある。
震災時、朝鮮人が流言蜚語の対象にされていたのに対し、中国人については流言の対象にはなってなかった。
そして、この大島近郊での中国人虐殺は朝鮮人虐殺にみられるような混乱の中での衝動的行動ではなく、明らかな計画性がうかがえるのだ。
その背景には当時の人夫請負人(労働ブローカー)の意図があったとされている。
この当時、第一次大戦に伴う日本の好景気も終わり不況に突入していた。そのような中安い賃金の中国人労働者は日本の労働者にとっても労働ブローカーにとっても目障りとなり排斥の動きが起きていた。さらに、王希天等の指導により未払い賃金の支払い要求など起こす中国人は、使いづらくもはや不要な存在になっていた。
そんな日本人労働ブローカーと亀戸警察署、さらには軍隊の思惑が一致し、震災の混乱に乗じて不要となった中国人労働者の虐殺を計画的に凶行したのである。
そして、その凶行を見た日本の一般民衆が「万歳！」と快哉をあげていたのもまた事実なのだ・・・。
ちなみに、この負の歴史を背負ってかどうかはわからないが、現在「亀有警察署」という警察署は存在せず、その管轄は「城東警察署」に引き継がれており、その所在地も変わっている。
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話を朝鮮人虐殺と『民衆暴力』の本に戻そう。
藤野裕子先生はこの関東大震災での朝鮮人虐殺の遠因に朝鮮半島で1919年に起きた三一独立運動を挙げている。
日露戦争後の1910年に韓国併合条約が締結され、日本は朝鮮を植民地として支配下に置いた。
そして、韓国統監府を改組し朝鮮総督府を設置し朝鮮半島で武断政治を敷いた。
この日本の横暴な統治に対して1919年2月8日に日本にいた朝鮮人留学生を中心に日本国内で二・八独立宣言を決議、そして、３月１日に京城(現在のソウル)のパコダ公園で独立宣言が読み上げれれ、その後朝鮮全土で独立を求める示威運動が巻き起こった。これが三・一独立運動である。
この三・一独立運動に対して日本側の弾圧は苛烈であった。憲兵、警察、軍隊が出動し実弾を発砲して軍事的に運動を鎮圧した。まさに現在のミャンマーで行われているような事が繰り広げられた。これによる朝鮮人の死者数は7500人にも及ぶという。
この三・一独立運動を直接弾圧した日本の当事者がその後関東大震災時の日本の治安維持を担っていたのである。
震災時戒厳令を下した内務大臣の水野錬太郎は三・一独立運動後の朝鮮総督府の政務総監であった。震災時警視総監の赤池濃も三・一独立運動後の朝鮮総督府の警務局長であった。すなわち震災時の治安維持を担うトップは三・一独立運動の弾圧を指示した当事者であり、朝鮮人の反乱を強烈に意識した統治経験者であった。
さらに、日本国内での朝鮮人に関する報道が三・一独立運動後に変化したのだ。それまで使われていなかった「不逞鮮人」という単語が紙面に並ぶようになったのである。
「不逞」とはけしからぬ態度や行いであり、「鮮人」とは朝鮮人である。
このように、治安維持を担う政府当局のトラウマとマスコミの作り出す朝鮮人＝「テロリスト」という官民一体となった朝鮮人に対するイメージが日本の民衆に中で肥大化していき、朝鮮半島を植民地化する側が被植民地化された者に抱く反乱への恐怖と嫌悪が、震災という混乱と非日常の中で爆発したものと考えれる。
と、この著者の藤野先生は指摘している。
なるほど、そのような日本の官民あげた帝国主義的な身勝手さ朝鮮人の無惨な虐殺を引き起こしたのかと改めて怒りを禁じ得ずにはいられなかった。
先日13日夜23時ごろ、東北地方で最大震度6強の地震があり、憲さん邸も大きく揺れた。
この地震の際、ネットでは地震以上に危険な事態が起きていたそうだ。
地震発生直後から、SNSでは、引用するのもはばかられるような極めて悪質な差別デマが飛び交っていたらしい。
以下、サイトの引用
〈朝鮮人が福島の井戸に毒を入れているのを見ました！〉
〈BLMが井戸に毒を投げ込んでる！！！！！〉
〈こういう災害には必ず奴ら（特定アジア）が何かやるんだな。関東大震災以来ずっと…〉
〈バカ朝鮮人どもが喜んでるんやろな〉
〈災害に乗じた空き巣等の犯罪に注意。都心の外国人の多い地域は、特に戸締まり用心、火の用心。〉
言うまでもないが、これらのツイートはいずれも完全なデマである。2016年の熊本地震、2018年の大阪地震など、近年、災害が起きるたびに、外国人と犯罪を結びつける投稿が多数投稿されるようになっているが、上述したものは一例で今回も数多くの差別デマが投稿されている。
こうしたツイートには、心ある人々が、差別デマとしてtwitter社に通報しているが、その差別への抗議活動に対しても攻撃が加えられている。通報した人のことを「通報扇動」「通報のほうが差別」と非難したり、「ただのネタなのに」「ジョーク」「ただのパロディ」などと冷笑しながら差別行為を肯定する投稿が多数寄せられているのだ。
以上引用終わり。
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我々日本人は過去の歴史から何を学んできたのだろうかと暗澹たる気持ちにさせられる。
約百年前、関東大震災時に日本人による大規模な朝鮮人の虐殺がおこなわれた。そうしたことが二度と行われないように、戦後、その反省が語り継がれてきたのではなかったのか？
こうした差別デマが跋扈するのもある意味必然なのかも知れない。近年は戦前戦中の日本の悪行をすべてなかったことにする悪質な歴史修正主義が跋扈し、関東大震災の朝鮮人虐殺を否定する言説までが大声で語られるようになっている。
本当にこれでいいのであろうか？
私たちは歴史から何も学ばず、また同じ過ちを繰り返していいのか？
絶対に「否」である！
こんな悲惨で悲しい歴史を私たちは絶対に繰り返してはならないのである。
『民衆暴力』の著者藤野裕子先生もあとがきでこう書いている。
「(本書の執筆の)決意を固めたきっかけは、前著の刊行以後、歴史修正主義が行政にまで入り込んでいることを痛感せざるを得なかったことが大きい。」と。
これは、小池百合子都知事が朝鮮人犠牲者に対する慰霊の言葉を送らなかったことなども念頭に入れているのであろう。
良心ある学者の確固たる信念に敬服する。
私たちはこの天に唾するような、歴史修正主義を乗り越え、小池百合子や石原慎太郎などの悪意ある為政者の思惑を打ち破り、さらには在特会などの民間人レイシストの跋扈と、そして私たち自身の中にある内なる「差別意識」と真剣に対峙して朝鮮半島、中国大陸、東アジア、さらには全世界の民衆と真の国際連帯を図っていかなくてはなるまい。
これらの本をコロナ禍に自宅で読みながら深く考えた今日この頃である。
最後に、一首の歌を紹介する。
朝鮮人あまた殺され
その血百里の間に連なれり
われ怒りて視る、何の惨虐ぞ
萩原朔太郎
どーよっ！
どーなのよっ？
※画像は九月、参考書籍『東京の路上で』の表紙
朝鮮人虐殺の様子を描いた絵
参考書籍
『民衆暴力』藤野裕子著
『九月、東京の路上で』加藤直樹著
blog→http://
『世界史としての関東大震災』関東大震災80周年記念行事実行委員会編
※関東大震災での朝鮮人虐殺について描いた映画は数少ない。そんな中で憲さんが以前みた韓国映画『金子文子と朴烈』はその一端が描かれた貴重な映画です。
参考
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ぜひ、観てください。
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