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2021年02月17日03:53
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平成最後の映画鑑賞 韓国映画『金子文子と朴烈(パクヨル)』を観る
憲さん随筆アーカイブス
これは2019年春に書いたと思われます。
※注！天皇や皇室を尊崇されている方は読まないほうが無難です。気分が悪くなりますから。
※プチネタばれです。
先日の3月1日は日本統治時代の1919年3月1日に朝鮮半島「京城」(現在のソウル)にあるパゴダ公園(憲さん行ったことあります。)で韓国独立宣言が高らかと読み上げられた三・一独立運動から百年。
今年の節目の記念式典では文在寅大統領が去年に引き続いてどんな対日批判の大演説をかましてくれるかと期待していたけど、演説は大方の予想より穏やかでがっかり。
昨年末以降、日韓関係は緊張と対立が続いている。元慰安婦問題、レーダー照射、韓国国会議長の「天皇謝罪要求」発言もあるが、憲さんから言わせればどれも韓国側に理のあることばかり。
特に韓国国会議長の明仁天皇を「戦犯の息子」と呼び元慰安婦に謝罪することを求めるなどの要求は、朝鮮半島の人々にとっては至極当然に思っていることであり、それで手打ちにしてくれるならば有り難い話ではないかとさえ思えるくらい。しかし、安倍政権は目の色変えてこれを糾弾し、逆に韓国国会議長に謝罪を要求する始末。
安倍政権のスタンスは「慰安婦問題はもうお金払ったんだからいいでしょ。もうなかったことにしなさいよ。」という加害者にも関わらず何ら誠意のない対応。
これじゃ、いくらなんでも被害国の国民は怒っちゃうでしょうに。
そもそも、前の裕仁天皇が戦争犯罪人であることは、火を見るよりあきらか。
だって、そうでしょ？
明治憲法にはこうあるよね？
大日本帝国憲法第11条
天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス
陸海の各軍隊を天皇大権で「統帥」していた御仁が、あれだけの暴虐をやらかした大日本陸軍と大日本海軍の蛮行の責任をとらなくてもいいのであれば、ヒトラーもムッソリーニも戦争犯罪人ではないでしょうに。
裕仁天皇が戦争犯罪人を免れた理由は、アメリカの日本の占領政策において天皇制の国体を護持したほうが日本の統治はうまくいくと踏んだ占領軍の政治的判断にすぎない。
なので、朝鮮半島はじめ東アジアで日本帝国主義と日本軍に痛め付けられた民衆にとっては、裕仁天皇などは怨嗟の的以外のなにものでもないはず。
それを一番自覚していたのが裕仁天皇その人であり、その息子であり天皇を世襲した明仁天皇である。
だから、父親の裕仁天皇が、戦後自らの神格化を否定したいわゆる「天皇人間宣言」を受けて、象徴天皇制に変わってから即位した明仁天皇は、それを深く認識しているが故に「人間」として父親の犯した罪業を償う決意を固めてそれを実践していったのではないだろうか。
おっと、前置きがながくなってしまったが…、
こんな日本の暴力的国民統治機構である天皇制について、思いきりカウンターパンチを喰らわせてやる映画を観に行った。
韓国映画『金子文子と朴烈(パクヨル)』である。
久しぶりの一人だけの休日。記念すべき、三一独立運動100年と２日後の小雨そぼ降る桃の節句、朝一番の免許更新の帰りに渋谷まで足を伸ばした。
この映画、「大逆事件」に題材をとった映画である。
ところで「大逆事件」と言えば、幸徳秋水らがフレームアップで検挙され、処刑された1910年の幸徳秋水事件が思いうかぶ、というかこの事件をして「大逆事件」と私たちは呼んでいるが、「大逆事件」とは「殺人事件」と同じように一般名詞であって、本来は特定の事件を指すものではない。
ウィキペディアによると大逆罪とは、1882年に施行された旧刑法116条、および大日本帝国憲法制定後の1908年に施行された刑法73条が規定していた、天皇、皇后、皇太子等を狙って危害を加えたり、加えようとする罪であり、「大逆事件」とはこの大逆罪が適用され、訴追された事件の総称である。
当然ながらこの大逆罪は重罪であり、その刑罰は死刑のみである。
さらに裁判は非公開で行なわれ、大審院（現・最高裁判所）が審理する一審制となっていた。
そして、わが日本においてこの大逆罪が適用された大逆事件は四件である。
それが以下の事件である。
��1910年(明治43年) 幸徳秋水事件
��1923年(大正12年) 虎ノ門事件(難波大助事件)
��1925年(大正14年) 朴烈事件
��1932年(昭和7年)桜田門事件（李奉昌事件）である。
明治の末期から昭和のはじめにかけて大逆事件は起きている。
この時代にはこんな気骨のある人たちがいたのだ。
さらに特徴的なのは、実際にテロを実行したのは�△鉢い了�件で、�，鉢�は権力のフレームアップである。
��と�い歪�鮮半島出身者が検挙されている。
さらに、�，鉢�の事件には女性が検挙されており、��の事件のみ死刑の執行がされていない点である。
ただ、一般に「大逆事件」と呼ぶのはその後の歴史にもっとも影響を与えた1910年の幸徳事件を指すのである。
今回、私がみた映画は��の朴烈事件を扱ったものであり、映画のタイトルもずばり『金子文子と朴烈』だ。金子文子が先にきているのがミソである。
実は憲さん、恥ずかしながら、この大逆事件を�，旅�徳秋水事件と混同していて、金子文子も幸徳秋水事件で刑死した女性、管野スガと思い込んでいました。この映画をみる前は。
この朴烈−金子文子事件の背景は1923年(大正12年)9月1日に発生した関東大震災とそれによって惹起された、朝鮮人大虐殺を契機としている。
詳しい内容はこの映画と、朴烈事件を扱ったサイトに譲る。
https:/
http://
この、映画は朴烈と金子文子が、出会うところから始まり、関東大震災を契機にした朝鮮人大虐殺の隠蔽を謀り、朴烈を大逆罪ででっち上げる内務大臣水野錬太郎と、さらに水野の意を受けて朴らを大逆罪で有罪にするべく審問する判事立松懐清、さらには朴らの弁護にあたった布施辰治らなどとの獄中、法廷、審問室、面会室での心理的攻防戦を中心に描かれる。
憲さんこの金子文子のことはほとんど知らなかった。彼女は死刑判決を受けた大逆罪が恩赦で減軽されて宇都宮刑務所に無期懲役で服役するも、23才の若さで謎の死をとげるのだが、どえらい女性である。
どこがどえらいのかというのは映画を観てほしいのだが、簡単に言えば彼女は朴烈と共にアナーキスト(無政府主義者)であったが、朝鮮半島を植民地化している日本帝国主義を打倒し、社会変革＝革命のため自らの身をもってでっちあげられた大逆罪なる罪を背負い、国家権力を相手に法廷を思想的抵抗闘争の場として激しく闘ったのである。
それも20代前半の若さにして！
何が彼女をそうさせたのかは、彼女の公判記録や手記『何が私をこうさせたか』を読むと理解できる。この映画も当然ながら彼女のこの手記を基に作成されている。
朴烈と金子文子は日本帝国主義に本気で怒り、そしてその元凶が天皇制であると確信し真剣に天皇制を打倒しようとしたのである。
映画の中では朴が「天皇だって糞もすれば、ションベンもする！」とこの時代にして天皇の人間宣言を発している。
また、獄中で難波大助の皇太子(後の裕仁天皇)狙撃事件の失敗を聞いて、本気で悔しがっている。
わがる、わがる〜！
こんな連中がこの時代にいたことに憲さん嬉しくなる。
しかし、戦後80年近くなるというのに、未だこの国には天皇という前近代的な「王様」がいて「王室」があるのである。
そもそも現代の天皇制そのものが「明治維新」における錦の御旗のでっち上げと同じように、でっち上げ天皇制でしょうに。
そろそろなくしてもいいんじゃないの？
代替わりを機に。
(´Д`)=*ハァ〜
映画では関東大震災後の日本人自警団の朝鮮人虐殺の様子が生々しく描写されている。また、震災後に世田谷署に予防拘禁された朴や文子が朝鮮人の仲間と共に獄中、日本語で唄う『インターナショナル』には熱いものが込み上げずにはいられなかった。
朴烈や金子文子、関東大震災における朝鮮人大虐殺、さらにはアナーキズムの何たるかをもっと勉強しなくてはならないと痛感した。
この映画、舞台設定はほぼ日本、そして日本人役も含めてほとんどが韓国人の役者で、全編朝鮮語と日本語、しかし、日本語のほうが多いくらいである。それにしても韓国人俳優の流暢な日本語には驚かされる。若い役者も含めて。
金子文子役の女優も韓国人女優なのだが、なんら違和感のない日本語だ。
この美貌で流暢な日本語での啖呵が実に耳に心地よい。
死刑判決の10日後、政治的に朴と文子に天皇の名において恩赦が出され、無期懲役となるのだが、この恩赦状を受け取った文子が破り棄てるシーンは痛快だ。
監督は1959年生まれの当然ながら韓国人の監督。
で、憲さん
Σ(￣□￣;)ハッ！
と思った。
この映画、現在の日韓関係を見据えての朝鮮人民の日本人民に対する猛烈なるアピールではないのかと。
なぜかといえば、はじめに出てくるタイトルも「金子文子と朴烈」と平仮名混じりの日本語なのである。
この監督、この映画は日本人に一番観てもらいたいのだろう。
そして、この映画を観て「そろそろ日本の人民よ覚醒してくれ」と強烈にアジっているのではないだろうか？
憲さんにはそう思えた。
結局、金子文子は獄死するのであるが、これは間違いなく官権による暗殺であろう。
なぜ彼女を日本帝国主義は暗殺しなくてはならないかもこの映画は暗に教えてくれる。
ヒントはくだんの怪写真である。
朴烈はその後無期懲役で服役し、1945年10月の日本の敗戦後に出所する。
映画のエンドロールでは朴烈出獄記念で大勢の朝鮮人民が集まった実際の写真がスクリーンに映し出される。
朴烈はそれからも波瀾に満ちた思想遍歴と人生を送ったようだ。
こちらも映画にして観てみたいものだ。
いずれにせよ、この映画、やれ、『亀止め』だの、やれ『泥棒ファミリー』などの生温い映画に慣らされた「平成最後の平和」を謳歌する日本人の脳天に思いきりカウンターパンチを喰らわすとてつもなく強烈で素晴らしい映画であること請け合いである。
はやく映画館で鑑賞することをお勧めします。
それにしても東京で単館上映じゃね〜。
えっ？こんな映画を上映してくれた渋谷の映画館に感謝しろ？
その通り！
感謝！
どーよ！
金子文子？
どーなのよっ！
(´Д`)=*ハァ〜
今年の5月1日のメーデーどうするんだろう？
赤旗林立させて、皇居前広場に集合か？
はやく、♪海を隔てつ我等腕(かいな)結びゆく♪(インターナショナル)の歌を人民に開放された皇居で高歌したいものですな！
※画像は朴烈と金子文子。「怪写真」として有名で、立松懐清予審判事と北一輝と朴烈の合作ともいわれていて、今回の映画でも物語の鍵をにぎる。
朴烈の妻金子文子は日本人初の韓国独立有功者になった。
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