どこかに行きたい人

この所、テニスで会うたびに
ずっと、
「あなたが どこかに行くときは是非 一緒に」
と言われ続けてきた。

実は 富津岬に・・
なんて言ったら大喜びしそう。

相手は
母と三才違いのケイコさん。
そうへん流のお茶の先生だ。

スキー旅行やら、テニス旅行やら二人で遊び回ったが
今はケイコさんの身柄は 娘さんの監視下にあるから もう勝手に連れ出せない。

私は知らなくて、
つい、小田原に誘ってしまって、娘さんの逆鱗に触れ、エライ目に遭った。

やはり「ご主人を亡くした」が
認知症発症の きっかけ。

さんざん せっつかれて やっと、
「そうだ 近場なら大丈夫かも。」
と思い立って
隣の小石川植物園に誘ってみた。

久しぶりに ゆっくり話をしたら、
ああ、やっぱり認知症なんだな、と思えた。

子供二人の年齢がわからない。
生年月日も消えてしまっている。

「桜の季節」「ツツジの季節」
また ここに二人で来ましょうね。
毎年、来ましょうね、
と約束したが、なんとも心もとない。

ちょうど息子さんからケイコさんに電話が来た。

「今、どこにいるんだよ」

「桜を見てるの」

「桜？桜なんか今 咲いてないだろ！」

「桜よ」

ケイコさん、梅、ウメ、うめですよ。

ひえー

お昼になったので近くの店で
チキンカレーとナンを食べて、
以前と同じく、私の話をよく聞いてくれて、

そして電動自転車で 音羽に帰っていった。

満87才。
平成天皇と同い年だ。

陛下も 事情を理解している美智子さんが
「相手が理解できる話だけ」 をして、
穏やかに過ごしているんだろうな。

水曜日だから母に恒例のハガキを出した。
今日は 英単語。

DOG (犬) CAT(猫) COW(牛)

コロナ前 、大文字ならまだ読めていた。
今はどうなんだろ。