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2021年01月01日21:11

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2021年コロナ禍の新年冒頭、たまには読売新聞を褒めてみる。

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新年明けましておめでとうございます。

今年も憲さん随筆をよろしくお願いします。

憲さんの今年の年越しは船橋の実家に帰りました。

母親は検査を受けなければ帰ってくれるなとまで言っていましたが、検査が受けられる訳もなく、帰るかどうかだいぶ迷いましたが、あと何回両親に会えるかと考えたら意を決して帰省することにしました。

帰省しても何もやることはなく、実家で酒を飲んで新聞や本を読みながらゴロゴロしています。

さて、憲さんの実家のとっている新聞は読売新聞なので、今年は一番に読売を読むことになりました。

読売は新年号トップに特ダネをぶつけてくることがあるので、少し期待をしていましたが、今年は何のことはない「学術会議問題」に絡めて「中国『千人計画』に日本人」という記事で、日本の学者が、中国の人材招致プロジェクトにのっかり、中には軍事転用可能な技術が中国側に流出する恐れがあり、その中には日本の学術会議の元会員や元連携会員もいた。というプチヘイトにも似た内容です。

参考

https://www-yomiuri-co-jp.cdn.ampproject.org/v/s/www.yomiuri.co.jp/politics/20201231-OYT1T50192/amp/?amp_js_v=a6&_gsa=1&usqp=mq331AQHKAFQArABIA%3D%3D#aoh=16094879857020&referrer=https%3A%2F%2Fwww.google.com&_tf=%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B9%3A%20%251%24s&share=https%3A%2F%2Fwww.yomiuri.co.jp%2Fpolitics%2F20201231-OYT1T50192%2F

しかし、これについては社会面の関連記事にあるように、中国は豊富な研究費と資機材、それだけではなく日本語堪能の秘書、家政婦、住宅の提供や、運転手付きの車での送迎、さらには無料の人間ドックなど至れり尽くせりの破格の扱い。
これに対して、日本では科学技術予算が大きく切り詰められておりお寒い状態。この人材流出は「水が高きから低きに流れる」が如し自然の摂理でありましょう。

記事にもこうある。「日本の研究者は少ない研究費の奪い合いで汲々としており、大学に残る人は減って、結果として科学技術力が低下している」のだ。

日本の科学技術や学問に対する冷遇政策が招いた自業自得の帰結なのである。

中国「千人計画」に参加している学者は東大や京大、国立大学の元教授が多く、優秀で頭脳明晰な人材は昔日に学問の隆盛を究めた日本に別れを告げて、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの中国にその頭脳を提供しているのである。

まさに、頭脳のグローバリズム化である。

これについて、読売は遅きに失してはいるが新年社説で警鐘を鳴らしている。

今年の読売の新年社説はことさら気合いが入っている。

今年の各社社説は当然のことながらこのコロナ禍をどう乗りきるかに主眼が置かれている。

読売はこの中でも「出色」の社説だ。紙面も1面の約2/3を充てている。

https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20210101-OYT1T50040/amp/?__twitter_impression=true

「平和で活力ある社会築きたい−英知と勇気で苦難乗り越える」との見出しで、読売なりにこのコロナ禍をどう乗りきるかが一生懸命書かれている。

「ピンチはチャンスという。新型コロナウイルスの感染拡大という大災厄が、医療体制の脆弱性や社会の歪など、さまざまな問題点に気づかせてくれたことは幸いだったと思いたい。」とは、少し能天気な感じは否めないが、かの政府自民党ベッタリの「読売新聞」が「社会の歪」に気が付いてくれたのはコロナ禍の「恩恵」と言っても過言ではなかろう。

「なすべきことは、米国のシンクタンク(新経済思考研究所)の論文の、簡潔な表題の言葉に示されている。『経済を救うには、まず人を救え』」はまさに正論であろう。しかし、それに続く「遅すぎたとはいえ、菅首相が『Go To トラベル』事業を年末年始の期間、一時停止したことは評価してよかろう。」というのはおかしい。「遅きに失しており、内閣総辞職は免れまい。」が正解である。

さらにそれに続いて、「もしこれを機にコロナが収束に向かい、オリンピック・パラリンピックが無事に開催されるようになれば、日本は世界に対して胸を張れるだろう。」とも言っているがこれも違う。

「オリンピックは即刻中止すべきだ!」が正解である。

しかし、「医療体制の強化」「国際社会全体の協力」などを訴えているのは読売としては評価できよう。

「状況に適応するためには自己改革が必要だ。しかし同時に、変化に引きずられて平和と安全、自由と民主主義など、国家の基本に関わる大切な価値を失うことがあってはならない。」というくだりは中国を意識した読売の今までのスタンスと変わりはない。

しかし、「宇宙を資源争奪の場にしないことなど、新しい多国間協調の枠組み形成に向けて先導役を果たすのが、日本の役割ではないか。」などの提言は評価できよう。

そして社説後半に「人材の流出を防ごう」との見出しで、一面に絡んだ論及がされている。

「経済発展の原動力となる技術は、国力の重要な要素だ。昨年末の小惑星探査機『はやぶさ2』の活躍は、日本の技術力の高さを実証した。ノーベル賞受賞の日本人科学者も多い。」と述べた上で、「生産性向上や効率化を重視するあまり、人減らしで見かけの数値の改善を優先すると、優れた技術を持った人材は中国や韓国の企業にスカウトされてしまう。そんなケースがいくつもあった。」と読売らしい視点ではあるが、現在の日本の雇用政策についても批判的に論及している。

そして、それに続くくだりが読売の社説としては憲さんに言わせれば「出色の出来」なのである。

社説曰く

「中小企業の生産性が低いと批判する新自由主義的な言説が目立つが、『はやぶさ2』を支えた技術者の多くが数十人規模の町工場の人たちだったことを、見落としてはならないだろう。」と、「新自由主義政策」を控えめではあるが、批判しているのである。これは「はやぶさ2」などに関わる特殊な「中小企業」を例示しているとはいえ、読売の論説にしては思いきった論調ではなかろうか?

さらにデジタル化のくだりでは、数学者岡潔の言葉借りてこう言っている。

「デジタル化の問題でも、同様のことがいえる。国と地方の行政手続きなどは、システムをデジタル化して、国民の利便性を高める必要がある。しかし、教科書のデジタル化となると話は別だ。

 デジタル機器の動画や音声を副教材として活用するのは有効だろうが、紙の教科書をやめてデジタル・タブレットに切り替えるなど、本末転倒も甚だしい。

 書物を読み、文章を書くことで人間は知識や思考力を身につけ、人間として成長する。数学者の岡潔が言っている。「人の中心は情緒である」(春宵十話)。教育の基本を間違えてはならない。」

これは至極真っ当な指摘であり憲さん大変共感を覚えましたね。

読売も新聞社として、デジタル化による紙媒体の消滅に危機感を持っている証左ではないでしょうか?

憲さんも読売であれ、産経であれ、東京新聞であれ紙媒体の新聞と宅配制度は絶対になくしてはならない日本の誇るべき知的文化であると確信しています。

そして、読売新聞の大社説は終盤近くでこう述べています。

「政治の安定も、国力の大事な要素である。経済力がいくら大きくても、指導者が国民から信頼されなければ、足元が脆弱であることを見透かされて、他国もその指導者を信頼してくれないだろう。
為政者が国会答弁でウソをつく、疑問をもたれる政治決定について頑かたくなに説明を拒み続ける、などの姿は、寒心に堪えない。」

うんにゃ?

これは、本当にかの読売新聞の社説であろうか?

現政権の菅内閣と、かつての読売新聞の盟友である前政権の安倍を暗に批判しているのである!

これには驚いた!

読売は変わったのか?

論調を修正したのか?

それは、わからない。

しかし、この社説は明らかに今までの読売の論調とは異質である。

「世界で一番読まれている新聞」が曲がりなりにもまともな論説を掲げることは歓迎すべきことではなかろうか?

今年の読売の気合いの入った社説を読んで憲さんそう考えました。

どーよっ!

どーなのよっ!

※おまけ

ちなみに読売の盟友「産経」の今年の新年社説は酷すぎる。

このコロナ禍にあって、新年社説が「年のはじめに 中国共産党をもう助けるな」である。

https://www.sankei.com/column/amp/210101/clm2101010001-a.html?__twitter_impression=true

「新年早々、くだらぬ話で恐縮だが・・・」ではじまるが、本当に下らな過ぎる。

これは、論説委員長の個人的作文(駄文)に過ぎない。

いくら反中新聞とはいえ、今年の新年に語る話はこれではあるまい。

さらに・・・

東京新聞の社説は・・・
「年のはじめに考える コロナ港から船が出る」
https://www.tokyo-np.co.jp/amp/article/77633?rct=editorial&__twitter_impression=true

東京新聞は、今年1月22日に発行される、核兵器禁止条約に言及している。(これは朝日新聞でも言及がされている。)

以下

「この米国に続く二日後。もう一つの船出は、国連の核兵器禁止条約の発効です。
 昨年秋、ホンジュラスで発効に要する五十カ国目の批准が調いました。核廃絶に向け核兵器自体を違法とする初の国際条約です。
 前文に、その『受け入れがたい苦痛に留意する』として『ヒバクシャ』への尊崇が謳われます。高齢の被爆者たちが人生をかけて夢見た船出でした。
 無論、現実には対立の壁が立ちはだかります。覇を競う大国同士が相互の抑止力として核保有を譲らない。危険含みの対立です。
 だけどコロナ禍の今、私たちが思い知ったのは対立の虚しさでした。国境を超え世界が協調する時に、国境を争う核兵器など何の意味もなさないということです。
 条約発効の今こそ、対立の虚しさに目を覚まし、核廃絶へ協調する好機では−。ここでも響く時の声が、船の乗り換えを促します。」と論及しているが、この条約に日本政府が反対していることの説明はない。

それにもっと怒りを向けるべきではなかろうか?
(ちなみに、朝日新聞はそれにはこのことはちゃんと触れられている。また、読売はこの条約には政府と同じ立場で反対しているが故に全く触れられてはいない。)

朝日新聞は
「核・気候・コロナ 文明への問いの波頭に立つ」と題して社説を掲げている。
https://www.asahi.com/sp/articles/DA3S14750259.html

その中の

「世界は覚醒できるか」の小見出しで

「興味深いことに、コロナ禍で傷んだ経済の再生を、脱炭素や生態系の保全といった気候変動への取り組みと連動させようという機運が生じている。『グリーンリカバリー(緑の復興)』である。」と言及して、新たな取り組みが紹介されているのが興味深かった。

毎日新聞は
「臨む’21 コロナ下の民主政治 再生の可能性にかける時」の社説で・・・
https://mainichi.jp/articles/20210101/ddm/002/070/041000c

「危機強める『再封建化』」の小見出しで

「東京大の宇野重規教授(政治哲学)は『日本では、どこに所属するかによって運命が大きく決定される「再封建化」といえる動きが強まっている。格差に対し、個人の力ではどうしようもないと思う感覚が支配的になっている。これが一番の危機だ』と語る。」

この、「再封建化」という概念は注目に値するだろう。

しかし、概してそれら各社の社説は観念的な感が否めず、読売の社説の迫力には及ばない感じがしましたな。

今年こそはコロナを克服し来年の正月には明るい光明が世界を覆い尽くすことを祈らずにはいられない正月元日でした。

※画像は読売新聞新年号1面記事
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