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2020年12月12日17:36

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徒然読書日記20-39《ピカソのなりきった男/ギィ・リブ》



《ピカソのなりきった男/ギィ・リブ》
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https://booklog.jp/users/besokaki-arlequin?display=front

30年間贋作を描き続けてきた画家が、
自らの半生を綴った手記です。
美術界の裏側が赤裸々に語られています。
著者は1948年生まれ。
幼少期を娼館で暮らし、10代はじめには家を飛び出し路上生活。
その後は絹織物デザイン工房の職人になったり、フランス海軍に入隊したり、
でもそれらの経験が、後の彼の人生に大いに役立ちました。
独学で絵を学んでいた彼は、
水彩画家として身を立てることを目指しますが、
ある人物との出会いをきっかけに贋作作家となります。
贋作といっても彼が描いたのは
現存する、あるいはかつて現存した絵を模写するのではなく、
タッチや色彩、マチエールを真似て、
その画家なら描くであろう
ピカソ風、マティス風といった新作絵画でした。
学校教育を受けていない彼は、膨大な量の美術書を読み漁り、
すべて独学で知識やテクニックを身に着けます。
絵を描く前は時間を掛けて、その画家になりきる努力をします。
俳優が役になりきるようなものですね。
その画家がどのような人生を送り、どの時期にどのような生活をし、
なにを考えてどのような絵を描いたか、想像しながら作品を生み出すのです。
彼が真似た画家は、ピカソやシャガールをはじめ、
マティス、ルノワール、ダリ、モディリアーニ、デュフィ、ヴラマンク、
マリー・ローランサン、レジェ、フジタなど多岐にわたります。
彼はほかの贋作家のように、
ひとりの画家、一つのテクニックに自らを限定しませんでした。
彼の興味は、様々な画法や、素材、時代を探求すること。
また、プロの鑑定家の目を欺くほどの
完璧な作品を描きあげることに、
無上の喜びを感じていたようです。
彼は自分の絵で歴史に名を刻むことはできませんでしたが、
波乱万丈紆余曲折のボヘミアン的な人生は、
エコール・ド・パリの画家たちにも引けを取らない
とても豊かなものだったように思えてなりません。
本書を読むと、本物とは何か?アートとは何か?
ということを考えさせられます。

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