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2020年12月08日16:35

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異端の鳥(The Painted Bird)

 ナチスのホロコーストから逃れるために田舎に疎開した少年が差別に抗いながら強く生き抜く姿と、ごく普通の人々が異物である少年を徹底的に攻撃する姿を描き、第76回ベネチア国際映画祭でユニセフ賞を受賞した作品。ポーランドの作家イェジー・コシンスキが1965年に発表した同名小説を原作に、チェコ出身のバーツラフ・マルホウル監督が11年の歳月をかけて映像化した。東欧のどこか。ホロコーストを逃れて疎開した少年は、預かり先である1人暮らしの叔母が病死して行き場を失い、たった1人で旅に出ることに。行く先々で彼を異物とみなす人間たちからひどい仕打ちを受けながらも、なんとか生き延びようと必死でもがき続けるが……。新人俳優ペトル・コラールが主演を務め、ステラン・スカルスガルド、ハーベイ・カイテルらベテラン俳優陣が脇を固める。2019年・第32回東京国際映画祭のワールド・フォーカス部門では「ペインテッド・バード」のタイトルで上映。(映画.comより)





<ややネタバレあり>

 どう感想を書こうか、考え込んでしまいます。反ナチスの映画、あるいは子供が主人公のナチス時代の映画なんて、結構あると思うんです。今、ここでこの類の映画を作るのなら、モノクロだというだけではなく、なにか特記するものがあるはずです。ましてや3時間近い上映時間となると。そう思って鑑賞しました。

 果たして、期待に違わず深く感じ入る映画でありました。その時代は皆が洗脳され、またそうでなくては生き抜くことはできなかったのでしょうけれども、ユダヤ人だというだけで、なにもない年端のいかない子供を大人が寄ってたかって痛めつけるという構図は、まるで「フランダースの犬」みたいです。でも、そういう悲惨な現状は散々描かれてきたからか、この映画ではやや抑えめだったように思います。もちろん、彼はつらい目には遭いますが、目を背けるほどの凄惨なシーンはなく、例えば、日本で出回っているチラシ”首まで埋められてカラスがすくそこまで来ている”場面は、決して悲壮なシーンではなくて、それなりに意味のある展開なのです。

 また男の子は聡く、自分が生き抜くための身の処し方を習得するのも早いのです。最初の頃こそ「両親が迎えに来てくれる」と信じていますが、そのうち四の五の言わずに生き抜くしかないことを悟り、用心深く環境に適応していきます。またそんな彼を見込み、やさぐれ男たちの中には男として対等に接してくれる輩もいて、最初に彼を拾った魔女のおばさんも含め、案外面倒見がよい人たちに恵まれたりもします。

 監督は、国が特定されないように新たな言語を作ってしゃべらせたとか。道理でハーベイ・カイテルの声が吹き替わっているわけだ(笑)。イギリスの名優ジュリアン・サンズが隠れ悪人だったことにはびっくりしたけれど、ウド・キアー(大好き)やステラン・スカルスガルド、バリー・ペッパーなど、あっと驚く俳優さんたちがあちこちに出てて、映画ファンには楽しい映画でした。いや決して、そこが見所の映画ではありませんが。

 最終、父親が迎えに来た(そうだと思う。きちんと説明されなかったように思うけど)頃には、目つき鋭く”酸いも甘いも嗅ぎ分けた”表情になってしまってて、父親を睨みつけるばかりです。このへんは「太陽の帝国」を想起しました。皆、いろんな事情があったのでしょうが、子供にはあまりに過酷な環境でしたね。悲しい時代です。でも、自分の名前すら忘れてしまっていた少年は、最後に自分の名をバスの窓に書き記すのです。

 未来ある賢い少年に、どうか幸あれ。
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