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2020年12月06日15:25

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夢二が愛した日本&華宵 疫病退散

弥生美術館に『奇想の国の麗人たち』を観に行ったのですが、併設されている竹久夢二美術館でやっている『夢二の愛した日本』も観て来ました。
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↓奇想の国の麗人たちの日記はこちら。
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1977709295&owner_id=429476

夢二の愛した日本は、竹久夢二が愛した童謡、舞妓、王朝文学、日本の四季等の日本の美を夢二の作品と資料で辿る内容。
竹久夢二は、1884年、岡山県邑久郡本庄村生まれ。姉妹の中で育ったらしい。お兄さんがいたけど、早くに亡くなったんだったかな?『姉と弟』という絵は、弟が草餅を食べ、その様子を姉が見ている絵。仲睦まじい姉弟の関係が良く出ている。

童謡への関心。コドモエハガキの「ゆうやけこやけ あしたてんきになァれ」。マザーグースモティーフもあった。何でも夢二の絵画の要は、万葉集とマザーグースらしい。
有名な“駒鳥”の訳文が凄かった。
「誰そ駒鳥を殺せしは?」雀はいひぬ「我こそ!」と。「わがこの弓と矢とをもて。我れ駒鳥を殺しけり」
誰が駒鳥殺したの?「それは私」と雀が答えた。これの古文調。北原白秋が訳詩をしたらしいのだが、これもそうなのかな?

夢二は王朝文学が好き。まわりの子供が軍記物や戦記物を読む中、1人枕草子等、王朝文学を読んでいたと。マッチョで血なまぐさいのは好まなかったのだろう。姉妹の中で育ったからかな?
万葉集の挿絵や伊勢物語の挿絵があった。在原業平が、女性を背負う絵があった。あ、これ、伊勢物語の業平の駆け落ちのシーンだ!業平の歌も添えてあった。『白玉かなにどと人の問ひしとき 露とこたえて消なましものを』
駆け落ちした時、相手の女性が、草につく夜露を「あれは何?白玉か何かなの?」と訊いた。必死に逃げてた業平は塩対応してしまう。君が消えてしまうなら、あの時「あれは草の露ですよ」と答えてあげれば良かった…って歌ね。業平の有名な和歌。

夢二は江戸情緒好き。「あゝ早く“昔”になれば好いと思つた。」と。枕草子や白縫物語を愛読していた夢二。錦絵も好きだったのか、歌麿の三美人っぽい『絵草子屋のムスメ』という絵があった。美女3人。歌麿の絵とは顔の向き等細かい部分は違うが、おそらく、これがモティーフだね。何でも、当時はあまり子供向けの本という物がなく、絵草子は大人向けではあったが、絵が入っているので子供でも読みやすく、それで夢二は読んでたんじゃないか?とのコト。
『春の宵』手紙を書く美女の絵。筆を持ちポーズを取る。夢二式美人。

夢二は、舞妓さんが好き。京都で暮らした時に、祇園にほど近い場所に居を構えたので、舞妓を良く見てたのでは?と。
『花かんざし』花簪を挿した美女の横顔。“祇園夜話”という本も展示してあった。

夢二式美人画と着物。夢二の美女にはパターンがある。伏目がち、物憂げ、華奢な体に大きな手足。夢二は着物の袖口や裾から見える肉体のほんのりとした色香を愛していた。
だから、夢二の絵の美女は、腕をちょっと上げてたり(袖口が下がり腕が見える)、裾がちょっと捲れたりしてるんだね。所謂、チラリズムだね。今となっては死後になってしまったチラリズム。
『春花秋果』という夢二の手描きの帯が素敵だった。籠の中に葡萄や洋梨が入り、竹や梅が描かれていた。
『稲荷山』黒い和服で和傘の美女。袖口から見える白い腕が黒い着物と相まってとても艶めかしい。

夢二にある、母と姉の思い出。
『凧』凧がひっかかった木。それを見て泣く弟を姉が慰めている絵。
夢二は定住を好まなかった。日本の風景一つのところに留まらず見知らぬ土地へ。女性も1人には決めず、移り気だよね。
夢二が描いた色んな日本の風景たち。『少女峠』という作品が好きだった。モノクロのペン画。山と川がサックリと描かれる。私は夢二は描き込み系のより、サックリ系の方が好きなんだな。

日本の四季。日本女性と四季の着こなし。美女の着こなし春夏秋冬。『雛節句』西洋人形と遊ぶ紅色の着物の少女。
肩を出して髪の毛を結う女性。これはペン画。秋の装いで愁いを表現。

最後にあったのは異国情緒。『アベ・マリア』のセノオの楽譜の絵が好き。林檎(キリスト教における原罪よね?)を持つマリア様。憂い顔の夢二式美人のマリアだ。
異国の地のスケッチ。プラーグやモンマルトルの建物等。1932年、ロサンゼルスオリンピックに、夢二は報知新聞と契約し、記者として五輪を見学してるらしい。へえ〜、記者になってたのは知らなかった!『いだてん』観てた私は思わず「ああ、まーちゃんが大好きだった、ロス五輪!」と言ってしまう。あの時夢二もいたのか!

夢二は晩年、2年3ヶ月を欧州で過ごしたらしいが、それで疲弊し夢二の死期を早めてしまったのでは?と言われてるらしい。それでも、夢二は異国に憧れた。日本の美を愛した夢二だけど、本質は永遠のボヘミアンなのだな…と思った。
最後、海外から夢二が書いた絵葉書が展示してあった。油彩画『モントレーの丘』。バルビゾン派のような印象派のような絵。言われないと夢二の絵と分からないかも知れない。夢二の夢の異国情緒。

弥生美術館3階は、華宵の常設展なのだが、こちらは『疫病退散!』がテーマだった。勇壮な少年剣士や、癒しのナースや修道女の絵。美しい花鳥画等。
『我勝てり』の横に『新・我勝てり』という絵があった。ポーズは同じで、刀を持ちポーズする美少年の絵だけれど。「魔除けに」と、華宵が美術館の創設者の妻に贈った物だそうな。

他にも少年剣士の絵は多数。私の好きな『雨中の銃声』もあった。雨の中、怪我をした少年の肩を抱き拳銃を構える美少年。華宵お得意のちょっとBLチックな絵ね。着物から見える少年の足の艶めかしさよ!華宵は少年のスラリとした足が好きだったのかな?と思う。

『杜鵑(とけん)一声』血刀を持ち月を見つめる少年の絵。
『主税の奮戦』刀を構え前方に乗り込んで行く美少年の姿。後ろは雪景色だ。

美少年剣士の絵が続くが、横には華宵の肉筆画。『辻説法』は、説法する黒い衣の僧侶の絵。その横には『観世音』。観世音は2軸あったが、どちらも柔らかく笑む表情。衣のスッとした線が美しい。言われないと華宵の絵と分からないかも知れない(右のやつは、それでも華宵の美女っぽくはあったが)。
華宵は挿絵画家として有名になったが、ずっと日本画家に憧れがあったんだよね。

華宵が少年の寝顔をスケッチした絵もあった。おそらく弟子の少年や身の回りの世話をしていた少年の顔なのだろうケド。寝顔が可愛いから描いたのかな?これはデッサンなのでリアル少年。華宵は西洋人入ってるような鼻の高い美少年を好んで描くけど、これはそんなコトもなく素朴な少年だった。

癒しのコーナーにあった『聖女』。黒衣のシスター。中央には十字架。手を広げ、「おお!神よ!」のポーズ。

最後のコーナーにあったのが華宵には珍しい(のかな?)花鳥画。どうしても華宵は美少年、美少女、美男、美女の絵の印象が強いものね。でも、これが良かった。そうか、華宵さんは何でも描ける人だもんな。
『双兎』2羽の兎。兎の毛がリアル。やたらリアルな兎。モコモコ。
『牡丹の小鳥』うす紅と紅の牡丹。その周りで遊ぶ小鳥たち。
『ぼけと山雀』木瓜の花の木にとまる山雀。「山雀って何?」と思ったら、下に華宵の画帳の展示があり、四十雀(シジュウカラ)の絵があった。山雀と同じ色彩だったので、山雀って四十雀のコトなのかな?
華宵は花鳥画も上手い。美少女に花や小鳥、小動物や蝶などは付き物だものね。そりゃ上手いよな。

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集めてたわけではないのだが、弥生美術館の華宵美少年アクリルキーホルダーが結構揃いました。『雨中の銃声』以外は、ガチャガチャでゲットした物。私はガチャ運がないのだが、この時は何故か被りがなかったのよね。

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チラシにあるように、全5種類なのだが、先日行った時馬賊の唄もあったので、それも買って来たらコンプリートだったコトに気付いた。相変わらずコンプリートに興味がない人間である(笑)。この中で1番好きなのが雨中の銃声なので、それだけ欲しかったんだよね。

夢二の方も、今の展示は1月の中頃までやっていると思います。
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