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2020年12月02日12:02

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エッセイ集601:「パラドックス:携帯通信料金の値下げ」

<パラドックス:携帯通信料金の値下げ>
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菅政権の目玉政策である「携帯通話料金の値下げ」について考えてみました。

[物価上昇率への影響]
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現在スマホの普及率は全世帯の80%に近づいています。仮に全国民あたり70%だとしても9000万台という規模になります。

果たして政府が民間企業の設定する料金に直接口先介入できるかどうかの是非はさておき、仮にその通信料金が1台あたり月額2500円安くなるとすると年間で3万円安くなり、その9000万台分だと2兆7千億円となります。

一方、日本全体の家計消費が約300兆円ですから、通信料金の値下げ(月額2500円)による物価全体の下落率は1%近いものになります。

仮にガラケーからスマホへの乗り換え需要があっても、安くなったスマホ料金のおかげもあり物価全体の下落率は大きく変わらないと思われます。

[絶望感な物価上昇目標達成]
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一方、日銀はデフレ・サイクルを解消するために2%の物価上昇を目指し2013年に「異次元の金融緩和」を開始してから7年以上になりますが、その2%の物価上昇目標は達成できていません。

これに携帯通信料金の値下げによる物価全体の1%近い下落要因が重なると、「異次元の金融緩和」が継続されたとしても、2%の物価上昇目標の達成がさらに絶望的になるというという大きなパラドックスに陥ってしまいます。

[日銀の物価上昇目標自体のパラドックス]
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今般の菅政権の「携帯通話料金の値下げ」については、携帯電話各社以外には反対する者はいないようで、消費者がそれを待望しているのは当然です。

それでは日銀の「物価上昇目標」、そしてそのための「異次元の金融緩和」とは一体何だったのでしょうか。

物価上昇を目指した「異次元の金融緩和」は円安を招くことにより輸出関連の大企業を中心に業績改善につながり、また金融緩和により市中に流れた大量の現金はコロナ渦の中ですら「異次元の株高」を生みましたが、それは格差を生み出しこそすれ、その本来の目標である一般消費者の「消費マインド」の増進にはほとんど効果がなかったように思われます。

物価安を望むほとんどの消費者は、当初から日銀が「物価上昇目標」を設定すること自体に違和感を抱いていたのではないでしょうか。

言い換えると、日銀や政府が期待していたデフレの解消へのサイクル、すなわち「物価上昇→企業業績の改善→給与の上昇→消費の増大→物価上昇」というサイクル自体が、少子高齢化が進む中で将来不安を抱える一般消費者のマインドから乖離した時代遅れのものだったのではないでしょうか。
(おわり)
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