映画館で予告編を見て、「宇宙を地中に置き換えたアイディア一点突破の映画っぽいなあ」と思ってしまったきりの映画だったけど、先日、BSでお昼に放送されていたので録画して20年ぶりぐらいに見てみたら、だいたいその通りだった。
地中のマグマの流れがおかしくなってこのままでは異常気象とか、あと、宇宙線がじかに地表へ降り注いで人類が滅亡してしまうので、なんとか元に戻そうと地中深くへと掘り進んでいく映画である。掘り進むといっても、『海峡』の青函トンネルみたいにダイナマイトで少しずつ爆破していくのではなくて、そこはすごいテクノロジーでウィーンと行くのでちゃんと展開もスピーディーになっている。
とにかくジャンル映画としてよくできている。ハリウッド大作ディザスタームービーとして起こるべきイベントはすべて消化しているし、それ以外のことはなにも起こらない。宇宙じゃなくて地中というヒネリが序盤は利いていて、ちゃんと検証すればトンデモなんだろうけど、うまく大風呂敷を広げつつ定番のパターンに落としこむ手際には熟練の技が冴えている。ここは単純に楽しい。
ただし、いよいよ地中に出発すると、本当に地中を宇宙に置き換えているだけなので、以前に他の映画で見たような展開が続いて退屈してくる。不測のトラブルが発生するごとに、ミッションを成功させるため、乗組員たちが一人ずつ自ら犠牲になって乗り越えていくのだけれど、なんだかいかにも段取りじみていて、見ているこっちは「まあ、この人もそろそろ潮時でしたかねえ」と思ってしまったりする。マイケル・ベイの『アルマゲドン』は未見だけど、だいたいこんな映画じゃないだろうか。
間抜けな展開が話題になる映画らしいのだけれど、そういうことが気になるほど集中できなかったので、そっち方面の楽しみ方はできなかった。
主人公は後に『ダークナイト』でハービー・デント検事/トゥーフェイスを演じるアーロン・エッカート、ヒロインは翌年の『ミリオンダラー・ベイビー』でアカデミー賞を射止めるヒラリー・スワンクなど、実はキャストが無駄に充実している。
あと、アメリカの研究室のシーンで「いつもセーラームーンを見ている高速回線があるだろ」というやりとりがあったのだけど、その台詞が吹き替えに際して追加されたものなのか、オリジナルにもあったものなのか気にはなっている。といって、DVDで見て確認するほどでもないのだった。
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