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2020年10月08日14:52
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私たちは、飼い慣らされてはならない。−菅政権による日本学術会議会員候補任命拒否断固反対！
日本国憲法第六条【天皇の任命権】の規定にはこうある。
�‥傾弔蓮�国会の指名に基づいて、内閣総理大臣を任命する。
この憲法の規定により、国会で首班指名が行われると、皇居宮殿松の間で親任式が行われ、天皇が内閣総理大臣を任命する儀式が行われる。
この天皇の親任式の際に、天皇がこう言ったらどうだろう？
「朕は、菅は好かん！総合的、俯瞰的観点から任命しない！」
それはそれで、とても楽しいとは思うがあり得ない事態であろう。
そもそも、天皇の政治的行為は現行憲法下の象徴天皇制ではご法度であるし、天皇制に対して否定的な憲さんにとっては、何でこんな形式的で無駄な儀式をやるのかアホらしくなるのであるが…。
10月に入って、未だ国会で所信表明もせず、国民に承認されたとは言い難い菅政権が早速やらかしてくれた。
日本学術会議の会員候補任命拒否問題である。
これについては各マスコミは一斉に報道し、現在も政府は６人の候補の任命拒否を撤回していない。
新聞報道でも、産経と読売はいつもの政府の提灯持ちのごとく、「学術会議側がおかしい！」との論点はずし、チンプンカンプンの論陣を張っている。
そもそも、日本学術会議は過去の日本の侵略戦争において、科学者が戦争に関わった反省から1949年に設立された。
その組織の性格はその発足に、かのマルクス主義史観の歴史学者、羽仁五郎氏が関わり、永年その会員であったことからもはっきりしているであろう。
この学術会議は学問と思想の自由を掲げ、さらに軍事目的の研究を認めないという立場を堅持している。
過去の不幸な歴史から学んだ日本の科学者の組織としては至極当然のことではないか。
しかし、これが安倍極右政権の遺伝子を引き継ぐ、現菅政権は気にくわないらしい。
それを産経や読売の社説はよく代弁してくれている。
以下の社説の内容にそれははっきりと書かれている。
「(学術会議は)2017年には、防衛装備庁の研究支援制度を利用しないよう、大学などに呼びかけた。
情報技術が飛躍的に発展した現在、科学の研究に『民生』と『軍事』の境界を設けるのは、無理がある。旧態依然とした発想を改めることも必要ではないか。 」
↑
読売６日社説「学術会議人事 混乱回避へ丁寧な説明が要る」
「日本を取り巻く安全保障環境が悪化する中、国民の生命と安全を守る防衛研究に異議を唱え続ける学術会議こそ、国益を害しているとはいえまいか。」
↑
産経８日【主張】「日本学術会議 前例に囚われず大ナタを」
と政権の本音を明け透けに語ってくれるからその点、分かりやすい。
その上で産経などは、「菅氏には大ナタを振るってもらいたい。」と、「こんな『学術会議』など、日本の軍事大国化には邪魔なだけで税金の無駄遣いだから潰してしまえ！」と菅に懇願している始末である。
なんともそら恐ろしい言論機関である。
これに対して、わが東京新聞は問題発覚直後から、「任命拒否撤回を！」の大論陣を張り、今日８日時点でも２回社説を掲載、さらに解説欄、コラム、投書欄でいろいろな角度や視点で「任命拒否撤回」の論陣を張っている。
この「任命拒否撤回」の論陣のポイントはいくつかある。
�ヽ慳笋隼彖曄�表現の自由への侵害
↑
産経、読売はこの批判は当たらないとキッパリ否定している。
��日本学術会議法の解釈の政権の恣意的な変更
↑
これは、政府が1983年、会員の選出方法について、学者による選挙制から、学術団体の推薦を踏まえた首相の任命制に改めた際、「政治的介入が予想される」という野党議員の指摘に対し、当時の中曽根首相が「政府が行うのは形式的任命にすぎない」と答弁した経緯があるねを踏まえての議論である。
��政府が６人の拒否の理由を明らかにしない
↑
これについては、産経、読売とも政府の説明不足を批判している。
もっと明け透けに理由を語れといいたいのであろう。
等が挙げられるが、７日の東京新聞の「私設論説室」の豊田洋一論説委員の論調が冒頭の憲法六条との兼ね合いを解説していて興味深い。
これは、�△量簑蠅反爾�関わる。
「…に基づいて」という題のコラムであるが、こうある。
「日本学術会議法は、会員は同会議の『推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する』と定め、政府はこれまでの国会答弁で、首相の任命が『形式的』であると繰り返し説明してきた。首相には裁量の余地を認めていない。しかし、菅首相は国会で確立したこの法解釈を唯一の立法府である国会に諮らず、内閣だけの一方的判断で変更した。前内閣から続くこうした粗雑な法運用は容認できない。」
これは、安倍政権の集団的自衛権の解釈改憲や、黒川検事の定年延長問題など、安倍政権の十八番とするやり方であった。菅は当然ながらその手法も継承しているのである。
そしてコラムはこう続ける。
「日本国憲法第六条は『天皇は、国会の指名に基づいて、内閣総理大臣を任命する』と定める。
この場合、国会が指名した首相(中略)が任命されないことはあり得ない。『…に基づいて』の任命が形式的であるのは明らかだ。今回の任命拒否は、首相の任命が国会の指名通りでなくても構わないという憲法解釈につながりかねない、極めて危険な法解釈の変更である。」と述べている。
その通りであろう。
これに対して、政府は憲法15条１項の【国民の公務員選定罷免権】を持ち出し、今回の任命拒否の根拠としているが、これも憲法学者に、「憲法15条は、抽象的な理念を言葉にしており、実質的な権利を定めていない」というのが学説であると批判されている。
このように、政府の言い訳は場当たり的でその理屈も苦し紛れでしかなく、憲法学者に言わせれば「法秩序の統一性、連続性を破壊する行為」であるようだ。
また、こういう見方もある。
これは、��にかかわる問題で、今日８日の東京新聞「本音のコラム」の青学の名誉教授三木義一氏の指摘だが、「法の世界では行政が行う不利益処分には理由付記が必要になっている。」「権力者による処分には理由付記が必要」とのことだ。
考えてみれば当然である。
これは、「行政」に限らない。
例えば企業での「解雇通告」には「なぜ私が解雇されるのか？」の理由が必要だろう。
それを社長が「総合的、俯瞰的理由で…」などとほざいたら「ふざけるな！」となるだろう。
こんな非常識な話はあるまい。
この任命を拒否された学者に対しても拒否した当事者からその理由を丁寧に説明するのが常識的かつ当然の対応であり、礼儀であろう。
しかし、菅政権はその社会人として常識的な対応すらできないのである。
さすが安倍の遺伝子を受け継ぐ政権である。
また、今日の東京新聞社説には気になる記述もあった。
「(首相が学術会議の推薦通りに会員を任命する義務はないとする2018年作成の)内部文書作成は首相官邸の指示で始めたものですらないという。官僚の暴走ではないのか。」という一文である。
この流れは官僚主導で行われている可能性を示唆している。
まさに、現下の官僚の一部は、憲法15条２項にある「すべての公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」に背き、一部の権力者とブルジョアジーの奉仕者へとなりさがっているのである。
官僚と政治家の憲法軽視、思想的劣化が甚だしい。
思想家の内田樹氏はこう指摘する。
「菅氏は任命拒否の理由を説明しておらず、詭弁とさえ言えない。あり得ないことが起きているのに、７年８ヶ月余りの安倍政権で、権力者はこういうものだと国民が慣らされてしまった」
そう、我々は安倍や菅に飼い慣らされてはいないか？
もっと怒りを持つべきである。
今回の問題はただ、学者の一部のインテリゲンチャー層に降りかかった火の粉ではない。
「『学問の自由の侵害』であるのみならず、日本の『民主主義の危機』を招来する」もの(投書)であり、「主権者たる国民(中略)に対する冒涜にほかならない。」(東京新聞社説)
菅政権は「こんな調子で国政を続けていくつもりなのか。増長しないでよね。」(斎藤美奈子氏本音のコラム)と声をあげなければならないのである。
そして、このような事態を許しては泉下の羽仁五郎大先生に私たちは顔向けできまい。
羽仁五郎氏も今の日本がこんなにもガタがきているとは夢にも思わなかったであろう。
菅政権による、日本学術会議候補６名の任命拒否を私たちは絶対に許してはならない。
どーよっ！
どーなのよっ？
※画像は日本学術会議の設立に尽力した憲さんの尊敬する歴史学者、故羽仁五郎氏
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