皆様、おはようございます。福田和代先生の『東京ホロウアウト』東京創元社刊を読了致しました。その感想です。
2020年7月。オリンピック開催間近の東京で、新聞社に「開会式の日、都内を走るトラックの荷台で青酸ガスを発生させる」という予告電話がかかってきたのが、すべての始まりだった。直後、配送トラックを狙った予告通りの事件が次々と起こる。さらには鉄道の線路が破壊され、高速道路ではトンネル火災が。あちこちで交通が分断され、食料品は届かず、ゴミは回収されないまま溜まり続け、多くの観光客がひしめく東京は陸の孤島に――。
2020年8月オリンピックが来なかった東京でこれを読んでおります。今回思ったのは、福田先生一段とウデを上げたなぁと言う喜びでして、着想点は良かったけれども、それが作品に反映されてこないのでもどかしい思いをしていたのですが、今回はコロナ禍でも綻びが出かけた「物流」に焦点を当てて、ドライバーと物流センターの団結により危機を脱するところとか、何でこんな大それた計画を実行に移したのか?という「動機」の部分もクリアになりまして安心して読む事が出来ます。
今回感心したのは、スーパーの二代目を継いだ女社長が都知事の要請に毒づくシーンでして、今迄表に出さなかった「女性作家」ならではの強みを描いていて秀逸だと感じたのでありました。彼女と老舗のお豆腐屋さんとのエピソードも実に良いんです。
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488028077
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