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2020年06月29日08:39

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藍那の鞄が・・・

あの日、藍那が持っていた鞄を、引き継いでずっと使ってきた。その時、鞄に入っていた財布、iPhone、スケジュール帳も、そのまま鞄に入れて持ち歩いている。スケジュール帳には、翌月に私と一緒に観にいく予定だったお芝居のチケットも挟まれたままだ。

その鞄の持ち手が千切れる寸前になっているのに、今朝気付いた・・・時の流れを感じた・・・

千切れてしまっては嫌だと思い、あわてて仕舞い、次に何を持とうかと藍那の部屋を物色した。そして、エルメスのキャンバス生地のエールバックジップにすることにした。

これは、たしか・・・大学入学が決まったお祝いに買ってあげた鞄ではなかったかと思う。わたし自身がブランド品に全く興味がないので、娘に高価なブランド品を買い与えることはほとんどなかったけど、この時は、藍那の懇願もあって、けっこう奮発した覚えがある。

神戸のエルメスのショップでこの鞄を選び、その後、わたしのパソコン通信仲間(香港映画ファン)との銀幕会(一緒に映画を見て、その後は食事をする)に連れて行った。みんなに「いいの買ってもらったね、よかったね」「かわいいお嬢さんね、お母さんの自慢でしょ」などと言われて、はにかみながらも嬉しそうにしていた藍那を思い出す。

藍那のものは何一つ捨てられないが、共通の思い出のあるものには、とくに執着してしまう。たとえば、わたしのバックスキンの靴だが・・・女子大を卒業してから、大学時代によく通っていた大学近くのパスタ屋さんに連れて行ってくれたことがあったのだが、その時に履いていた。お店の人が「お母さん、おしゃれだね。靴にも気をつかっていてステキ」と、藍那に言ってくださった。すると藍那は「この人、ファッションに全然興味がないから、服も靴も、みんな伸ちゃん(父親)が選んでるんよ」と、口をとがらせながら、それでもどこか嬉しそうに、どこか誇らしげにしていた。そんな靴だから、その日以来、秋から冬の季節は、ずっと履き続けている。当然、今やボロボロで雨の日などは水がしみ込んできて靴下がビチョピチョになるが、捨てられないどころか履くのをやめられない。

他人は、こんなわたしの執着を愚かだと思うかもしれない。哀れと思うかもしれない。その通りだと思う。けれど、頼むから整理して前向きに生きろとか言わないで欲しい。こうしているから生きていける・・・そういう人もいるのだ。

あれからずいぶん時も過ぎて、ずっと持ち続けた鞄の持ち手も千切れてしまいそうになったけど・・・わたしにとっては・・・実家を出て何年もたっていたし、毎日連絡してくるような娘ではなかったからか、今も少し離れた場所で好き勝手に暮らしているような感覚が・・・だから時々ふと思う・・・顔を見せに帰ってきてくれなくても、元気に暮らしているならそれでいい・・・なんて・・・・・・
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