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2020年05月26日19:00

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【本】【ブックカバーチャレンジ7日/その6】

皆様、お今晩は。残すところあと二回になりました。今回取り上げるのは大河ゴシック浪漫の大傑作。ロバート・ゴダート著の『リオノーラの肖像』1993年1月1日刊行 文春文庫です。


ミアンゲイト館でいったい何が起こったのだろう、かつては笑声に満ちていた貴族の館に?ソンムの会戦で帰らぬ人となった父。自分を生んだ直後に世を去った母。館の客人を見舞った殺人事件―。リオノーラ・ギャロウェイは生きる情熱を、館にたちこめる謎を解くことに捧げたのだが、ある日…。

自分でも意外ですが、この6回目迄三度の飯より好きな大河浪漫を入れていなかったのですが、今回ようやく入れる事が出来ました。本書はとても重厚な構造を持った作品でありまして、冒頭から70歳になったヒロインであるリオノーラ・ギャロウェイが第二次大戦後娘にを連れ第一次大戦の激戦地であったソンムの戦闘で行方不明になった兵士の記念碑「チエブヴァル英国記念碑」を訪れるところから物語は始まるのですが、このヒロインの人生が波乱万丈なんてものではなくて、ミアンゲイト館の当主であった父ハロウズのの戦死日と自身の誕生日との関係で、リオノーラがハロウズの実子ではあり得無い事が分かるのであります。そしてまた、出産後すぐに亡くなった筈の母(同名のリオノーラ)が、実際は失踪した疑念が湧く。更に、貴族である祖父の若い後妻オリヴィアから陰惨なイジメを受けた事が語られる。之だけでお腹一杯になるんですが、更に謎の訪問者が彼女の元を訪れ、父親に関する壮絶な過去を語りだすと言う所で物語が一気に加速し、未解決の侭の殺人事件や父との友情とそして父の戦死に至るまでを語るのでありますが、まだまだ続きます。巨大なラッキョウの皮を剥いでいくように次第に真相が明らかになるのですが、それは読んでのお楽しみでありまして、これ程迄に大河浪漫とゴシック浪漫が融合した作品を他には知りません。ロバート・ゴダードの他の作品でも『闇に浮かぶ絵』が物語としては並ぶ出来だと思いますが、読後のカタルシスでは本書に勝るものはありません。

今迄に読んだどんな小説よりも人生観を変えてしまったある意味罪作りな一冊でありますが、ブックオフの100円棚にあったら迷わずに購入して欲しい一冊であります。

さて、最後の一冊を何にするかを現在考慮中。28日のアップ予定でおります。


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