Nathan Lents (著), 久保 美代子 (翻訳) 2019年
本書の最後にかいてあるが、進化は目の前にある問題を解決するが2世代、3世代後のことまでは考える能力はないらしい。我々人間は自分たちが進化の最高傑作と思いたがるが、人間の体全てが最高傑作でもないらしい。
第1章でそれらの例を(前向きの方が良いのに)後ろ向きの網膜や(下にあるべきなのに)上についた副鼻腔などいくつも挙げてある。特に脳から咽頭に行く反回神経という神経が迷走神経に収まり遠回りして大動脈弓(心臓とつながる大血管)と絡まるように交差して咽頭に上がっていくらしい。脳から咽頭に行く3倍の長さがあり心臓血管と絡んでいるので心臓手術で気を遣うところとのことだ。これも進化が先を見通せないためであるらしい。キリンの反回神経は何と5mにもなるというから人間はまだましなのかもしれない。
第2章では人類が得た新しい食物により自分で作る能力を失ったという省エネに伴うマイナスの進化が挙げられている。米(玄米でなら)や野菜果物(皮つきなら)という栄養源を得た人類がビタミンを作れなくなりその後栄養不足に陥った歴史が述べられている。
第6章の「だまされやすいカモ」はカジノを推進しようとしている横浜市長に是非とも読んでもらいたい。賭け事にはまる人間の心理を分かりやすく書いてある。
進化した結果の人間の体と心の拙いところをくだけた分かりやすい文章で書かれていて面白く読める内容だ。
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