イマザリルは、輸入されたグレープフルーツ、オレンジ、レモンなどの柑橘類に使われている防かび剤です。認可されたのは、1992年です。しかし、その認可の経緯は、到底納得できるものではないのです。
この頃、輸入作物のポストハーベスト、すなわち作物を収穫してからの農薬使用が問題になっていました。ポストハーベストは、米国などでは貯蔵や輸送のために認められていましたが、農作物に農薬が残留しやすい使い方であり、日本では認められていませんでした。
当時、この問題に取り組んでいた市民グループの日本孫基金では、外国産の農作物の残留農薬を調べていて、アメリカから輸入されたレモンに殺菌剤のイマザリルが残留していることを発見しました。同国では、イマザリルが農薬として認められていて、ポストハーベストとして収穫後のレモンなどに使われていたのです。
しかし、日本ではイマザリルは、農薬としても食品添加物としても認められていませんでした。つまり、イマザリルが残留したレモンは、食品衛生法に違反していたのです、本来なら、このレモンは廃棄されるべきものです。
ところが、当時の厚生省が何をしたかというと、すぐにイマザリルを食品添加物として認めてしまったのです。開いた口がふさがらないというのは、まさにこのことです。国民の健康を守る事よりも、アメリカが日本にレモンを輸出できることのほうが大切なのです。
イマザリルは海外では農薬として使われているくらいですから、毒性が強い化学物質です。急性毒性が強く、ラットに体重1kgあたり277〜371ミリグラムを口から与えると、半数が死んでしまいます、人推定致死量は、20〜30gです。
また、イマザリルを0・012%、0・024%、0・048%含む餌をマウスに長期間食べさせた実験では、運動が過剰になったほか、生まれた子供が授乳期に体重が増えにくくなり、神経行動毒性が認められました。
このほか、国際化学物質安全計画が作成した国際化学安全カードには、「肝臓に影響をあたえ、機能障害や組織損傷をおこすことがある」とあります。こうした危険な化学物質が十分な審査もなされず、添加物として認められ、いまも堂々と使用されているのです。
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