昆虫の図鑑を開くと、いろいろなアリが出てきます。学校では、昆虫はどんな生物とならいましたか。体・頭・胸・腹に分かれていて、足が6本、羽が4枚あるのが昆虫でした。でもありには、羽がありません。どうしたことでしょう。
実は、普段よく見かける、蟻は「働きアリ」といって、卵を産まないメスです。巣穴を掘ったり、食料を取ってきたり、働く役目だけになったアリです。しかし夏になると、羽のあるあり、「はあり」が何匹も登場します。オスありと、卵を産む、メスありです。
これらの蟻は、ある晩一斉に巣穴から飛び立ちます。蒸し暑い日が多いようです。結婚飛行と呼ばれるもので、空中でカップルをつくります。ほかの巣穴は蟻も一緒になれば大結婚パーティーになります。
夜、街頭の明かりなどに集まっている、はありを見たことはありませんか。翌朝、道の端などを注意してみていると、大きなアリが一匹で歩いているのを見つけることがあります。これは結婚後、自分で羽を落としたメスありで、新女王です。
新女王は、邪魔の入りにくそうな場所を探し、地面を掘って小さな巣をつくり、卵を産みます。卵からかえった幼虫は、さなぎの時期を経て、働きアリとなります。その間女王は何も飲み食いしません。
生まれた働きアリが女王の面倒を見て、巣穴を広げ、食料を取ってきます。そして女王は毎日卵を産むことだけを続け、働きアリを増やしていくのです。たとえば、ミツバチも女王を中心とした生活をしますが、このような昆虫を「社会性昆虫」といいます。
蟻は一匹だけでは生きていけません。家族そろって初めて生きていけます。働きアリだけを見ると飛べないように見えますが、子孫を残すときには、はありが飛んで活躍するので、ありは昆虫なのに飛べないとは言えないのです。
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