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2020年01月03日08:24

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ルームチューン 拡散、吸収の奥義

ルームチューンはグッズは違えど、ほぼ拡散か、吸音ですね。

拡散の代表例が古くからある天井に多く使われたスカイラインであり、壁に多く使われたQRDでしょう。
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昨日壁の一部に貼り付けた4枚1,999円のこれも拡散専門です。
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吸音の代表例は昔からの凸凹スポンジやフェルト、グラスウールなどの綿系。

今は素材革命や共鳴吸収理論と加工が進んで、サイドのYAMAHAの音響ボード
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カルム材という新幹線の防音壁などに採用された有孔だらけの加工アルミを使ったKOTOBUKIさんの音快速。
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現用の同じくセラミックカーボンの有孔だらけのASKAさんの韻(HIBIKI)。
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これらがかつてのスポンジや綿類と異なるのは、これらが高域を中心としたせいぜい中音までの吸音に対して、100Hz前後からの低域まで吸音する能力があることです。

素材革命の中で生まれた有孔構造が特徴のようです。
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その両方の性能を持っているものに、現用のKRYNAさんの拡散のAstecaと吸音Watayukiを組み合わせたアステカタワー
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日本音響エンジニアリングさんの最近よく見かけるようになったシルバンとアンク。
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あるなしでの残響特性に大幅な違いが出ていました。
形状からは拡散グッズに見えそうですが、吸音も兼ねたものです。

これらをどう使いこなすのがいいのか?
以下はあくまで個人的見解ですが、音楽室の設計、そうしてすでに25年前に音場(サウンドステージ)の再生を目指して、コーナーバスターなどのルームチューングッズを輸入販売していたクリアサウンド今井・CSフィールドの今井社長の取り組み。

各オーディオ店、メーカー試聴室でのルームチューンを見聞きしてきてわかってきたことがあります。

それは基本は3つ。

スピーカーからの一次反射部分、コーナー、スピーカー裏。この3点です。

『スピーカーの一次反射部分』

ここは絶対にトリートメントしないと明瞭な音、綺麗な音場は現れません。

やれケーブルだ、インシュレーターだ、パーツ交換だはこれらが整った上のことですね。

プロ音響のinterBEEでよくわかりました。

この各社PAスピーカー聴き比べ。
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そうしてBOSE社の指向性コントロールの図解説明。

ダメな指向性
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理想的な指向性とリスニングエリア
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つまり、横壁など壁から反射した音はリスナーに聴かせたくない。
音を濁らせて不明瞭にさせないという現代最先端のPAの指向性コントロール技術です。

この指向性コントロールは古くはホーンの開口で行われてきましたが、現代ではこのようなボックスに収められた複数のユニットどおしの相殺で行う方法。
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DSP制御というデジタル補正で行うメーカー
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左の仰角を様々にしたラインアレイと異なって、ストレートのイタリアの右のメーカーはこの複数のラインアレイスピーカーモジュールをDSPでコントロールすることによって、1Fのみがリスニングエリア、2Fのみ、その両方を実演されました。

いずれも、後方への音まで消して、後ろ壁からの反射反響が起こらないようにしているのです。

ところで、ヘッドホン、イヤホンでの聴取。
頭内定位を除けば、音そのものに問題はないことは誰もが確認しているどころか、これが一番明瞭で情報量が多いですね。

それだけ我々はルーム音響の影響を嫌でも受けていて、本来のソースから出たスピーカーからの情報を、反射、残響で適当に相殺され、またタイミングのズレた音でかつてのバネや鉄板で加えた人工エコーか人工リバーブのように不自然に増強されているということなんです。

これは単純な伝送周波数特性の測定だけではわからないと思います。
つまりグラフィックイコライザー、パラメトリック・イコライザー、アキュフェーズのボイシングイコライザー、トリノフの3D補正イコライザーで補正修正できる対象ではないということです。

一次反射からの音は本来のスピーカーからの直接音とはタイミングが異なり、反射も帯域均一ではないために、音域に凹凸がある好ましくない反射音が耳にダイレクトに飛んできます。

ここを「拡散」か「吸音」で処理して耳に届かないようにする。

これが一次反射部分の基本セオリーです。

その部分の発見は簡単で、鏡を壁や天井、床に当てていって、リスニングポイントからスピーカーが鏡に映し出されたその場所です。

「コーナー、スピーカー裏」
こちらはどちらも共通で、低音が吹き溜まる箇所です。

うちの防音ドアからのドアポケットも同様です。
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その場所に行けば耳でわかります。

淀んだドヨンとした低音楽器の音とは思えない奇妙な響きが混じっているはずです。

ここの対策は吸音しかありません。

低音といった波長の長い音波を拡散させるのはかなり厳しい。


以上です。

その他フラッターエコー、定在波の問題もありますが、こちらは対向する壁面や床と天井になるべく平行面を作らないことに尽きますので、後からの対策も容易です。

ではグッズ選びです。


『避けたいこと』

拡散で気をつけるのは素材そのものの共鳴音です。

例えば部屋全体に大量にQRDを貼り付けたお宅の音は10秒で去りたいといった音でした。
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この薄い板が鳴ってしまって、大量のそれが同じ周波数で鳴っているものだから、異様な音響癖として響いていたのです。

今の音楽室には見えるようにCD,SACDを置いていないのは、かつて異様な特定の音がとても気になるようになって、原因を調べたら、これらのプラスチックケースの共鳴音とわかったからです。

木自体の共鳴音なら楽器の大半の素材であることもあって、耳に優しい共鳴になるのが、この石油化学物質のプラスチック系と金属系の共鳴、ガラス戸などのビビリ音はいただけません。

対策は同じメーカーの同じ音響グッズだけに統一しないことに尽きます。

吸音で気をつけたいことはスポンジ、綿、フェルト類は部屋に入れないことに尽きます。

これらは高音だけを中心に、せいぜい中音までが限度の吸音能力しかなく、低音吸音に役立たないために、こういうのをたくさん入れた部屋は低音楽器が必ず不明瞭。
声帯域の吸音だけ強烈なので、耳に圧迫感すら感じるほどです。

今は上記の素材革命、共鳴解析で低音まで吸音できるルームチューングッズが現れていますので、部屋に入れるのはこういったものにしましょう。

拡散はある程度自作できる余地がありますが、吸音はカルムであったり、セラミックカーボン材を入手できないと自作も出来ない、YAMAHAのボードの内部構造を再現できないなどで、市販品を購入せざるを得ず、ある程度のコストはかかりますね。

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