mixiユーザー(id:18013379)

2019年09月25日23:01

147 view

王位戦最終局 一日目


 王位戦は最終局が今日から指されていて、豊島名人・王位が夕方から大長考の末封じ手となった。でも、あそこで大長考するのだから封じ手は「7五歩」と言っているようなもので、そうであるなら後手番の木村九段が良いのかもしれない。違う手があるのか? 明日の封じ手開封が楽しみである。
 豊島名人・王位が7七圭と桂馬をぶつけて、さらに6五歩を打って無理やり後手陣をこじ開けに行ったあたりは、現名人らしい将棋といえばそうなのだろうけど、素人目にはちょっと無理筋なのでは、と見える。実際先手玉の囲いが事実上無くなり、後手側から7五歩と軽く捌かれてしまって、相当危ないように見える。一日目で玉頭に火がついている状態なのだが、もちろん名人はその変化を読んだうえで無理筋にも見える攻撃を仕掛けているのだろう。後手側からはいずれ5五歩を突いて角道を止めながら中央を狙う筋もあるので、先手玉の右側が「広い」と言っている場合でもないように思える。
 現代の将棋は、玉形が薄くても「捕まらない」形で攻めぎ合いを制する側が勝利を勝ち取るケースが良く見られる。流行系といえばそうなのだけど、これは人間より高速で指し手を読めるコンピューターの発達なくては無理な発想だ。
 人間の思考力の限界に、自玉の詰みを読みながら一手勝ちを狙う、という戦術が相当負担なのは事実で、それゆえ近年「自玉Z」という戦い方が流行した。相手にどの駒を何枚渡しても自玉に詰みがない状態、を作り出せば相手玉を寄せることに専念できる。ところが、コンピューターはこうした思考を無視して、自玉がZかどうかなどお構いなしに、何億手も読んで最善手を計算してしまう。
 人間の思考力の及ばない手を「最善手」として示されると、さすがにハッとする訳で、初期の頃は、コンピューターは「弱い」と言っていてもバカにされることはなかったが、2019年の現時点ではほぼそうではなくなっている。
 プロの将棋指しは、そうしたコンピューターの助けも借りながら、人間の発想でその上を行く強手を生み出そうとしている、というのは分かるのだが、いずれコンピューターの足元にも及ばなくなる日が来るのだろう。

 とはいっても、将棋は人間と人間が指すもの。お互いの研究はあっても、どこかで新手が出てくるのだから、その先は未知の世界。二人の思考力のぶつかり合いになる。それは見ていてとても面白い。

 封じ手の後、引用の藤井七段の対局を見に行ってみると終盤戦。ちょうど、竹内五段が角を打ち込んで飛車取りにしたところだった。藤井七段はこの飛車取りを受けることなく銀取りに桂馬を打つ。
 このシチュエーションを見て、明らかに藤井七段が優勢、と思うのだが、おそらくそれは見ている人がほぼ全員感じたところではないだろうか。寄せきれるビジョンがなかったら飛車が逃げるとか、が普通の発想だろう。
 この打った圭が銀を取った手がさらに金取りになる味の良い手で先手玉には詰めろが掛かりそうなのだけど、後手玉はかなり安全、と対照的で、藤井七段が負ける気がしないのである。竹内五段が取った飛車を7二に打ち下ろして、一見すると攻撃準備に見えるのだけど、後手側の攻めが早く間に合わないように見える。(実際全然間に合ってなかった。)
 この終盤戦だけ見ていると藤井七段がリードを広げていった、というよりは竹内五段がまずい手を指して差を詰めることはできなかった、という印象である。
 前例もない、研究の範囲でもない終盤戦で、双方の実力がもろに出てしまう場面を見ているのだけど、藤井七段はC級棋士を相手にして負けるレベルではないのが実情だろう。早くB級に昇級して順位戦で見ごたえのある将棋を指してほしいと感じる。

 ---------------------------------------------------

■藤井聡太七段、竹内雄悟五段に勝利「難しい将棋だった」
(朝日新聞デジタル - 09月25日 22:09)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=5802225

 将棋の高校生棋士、藤井聡太(そうた)七段(17)が25日、大阪市福島区の関西将棋会館で指された第61期王位戦(新聞三社連合主催)の予選で、竹内雄悟五段(31)に124手で勝った。

 午前10時に始まった対局は午後7時47分に終局。勝った藤井七段は「最後まで難しい将棋だったのかなという気がします。過去2回は予選で敗れてしまったので、王位リーグに入っていけるよう頑張っていければと思います」。敗れた竹内五段は「中盤で手応えがある局面かと思ったところで悪い手を指してしまったので。終盤、結構どっちが良いか分からないくらいの戦いになっているかなと僕は思ってたんですけど、そこでうまく指せなかったので。それも実力で、仕方ないと思いました」と話した。

 藤井七段の次の対局は30日、東京で。第69期大阪王将杯王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)の挑戦者決定リーグ戦の1回戦で、三浦弘行九段(45)と対戦する。藤井七段は「トップ棋士の方、6人と指すことが出来るので、自分の力を尽くして指したいと思っています」と意気込みを述べた。(佐藤圭司)
2 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する