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2019年09月10日13:38

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映画「引っ越し大名」その2

こういう映画は普通は映画館で2回は見ない。DVD出るまで待ちます。
でもどうしてももう一回見たかったのね。

その理由は「星野源という人の不思議な雰囲気」。
ネットで調べたら音楽もやって本も書いて役者もやってテレビ番組ももっていた。
しかも数年前に「くも膜下出血」をやらかしている。
これはすごい。死ぬ人もいる病気をこの若さで。
まあ若いので身のこなしなんかに対した後遺症もないのだろうが、
それにしてもすごい。

映画の中での役柄がどんどん変わる。
片桐春之助、あだなは「かたつむり」。
最初は書庫にいて貸し出しや本の整理をする、まあ図書委員ですね。
一日中書庫に閉じこもって好きな本を好きなだけ読めるのが大好き。
出世の望みなんかありません。
それが「国替え」にあたって「書物をあれだけ読んでいるなら知恵者のはず」とばかりに
「引っ越し奉行」(実際にこういう奉行はない)に任命されてしまう。
前任の引越し担当者は亡くなっているがお蘭さんという娘さんがいる、と聞いて
「何か覚書でも」と尋ねていくが「父は藩のために尽くしたのに手柄は上役にとられて」
不遇な晩年を過ごしたとのことで協力を断られる。
「めどはたったか」と国家老に聞かれて答えることができず、
その場で切腹を命じられ。

ここまではぼーっとした焦点の合わない目をした「ひきこもり侍」。
切腹するしかないか?の命の瀬戸際にお蘭さんが馬でかけつけ、
「引っ越しの段取りはこれこのとおり、片桐さまとの間で出来上がっております」
と父親の書いた引越し覚書(マニュアル)と段取りの見出しを出す。
「なんだ、もうできておるではないか」と安堵するご家老たち。
このあたりから、春之助は変わっていきます。
目つきが違うんだよ、どんどん変わるの。
親友の武芸自慢の鷹村さんも、脳みそが酒と女と武芸でできているバカではなくなり、
お蘭さん自身も藩の上役や藩そのものへの不信感を少しずつほどいていきます。

星野源が俳優専念じゃないのにあの成長していく演技ができるのは、
ある意味、三途の川の向こう側を見てきたふっきれ、みたいなものが
多分あるんだろうな、と思いましたよ。

この話はつまり、国替えという藩の一大事の当事者になってしまった3人の若者が、
それぞれに成長していく話だったのだね。
春之助の成長がめざましいのはぜひここにも書きたい。
最初は「外のまぶしい光」を浴びただけでもへなへなしていたのに、
国替えのために身体を鍛え、国替えのための金策で商人に土下座し、
国替えのためのリストラに頭をしぼって「武田の兵法書」にヒントを見つけ、
最期に、家禄が15万石に返り咲いた機会に自ら百姓になったもと藩士を迎えに行く。
すごいなぁ。母上でなくても「春之助、立派になりましたね」と言いたくなります。
最期の最後に国家老に命じられるのも無理からぬところ。

それにしても、15万石を半分以下の7万石に減らされるって大変な話ですよね。
15万石、あのでかい姫路城を維持する大名がそのくらい。
じゃあ「超高速参勤交代」の湯長屋藩1万5千石が平屋のお城でも当たり前か。
じゃあじゃあ、伊達の65万石って実はものすごいことだったわけね。
超高速の中でも伊達の大名行列がやってくるシーンでご家老が驚くシーンがあります
(大名行列が来ると小藩は道を譲る間動けないので)
「なにぃー、65万石か!!」の叫びは心の底からの「勘弁して〜」ということだったのね。

いくつかこの手の「本当の話をもとにした時代劇映画」をみて
「裃は上下同じ生地とは限らない」
「裃の肩がぴんと張って広いのは上位の武士」
「裃の下に着る着物は無地だけでなく、大きい柄が入っていることもある」
などもわかりました。
テレビじゃこういうこと、あまり写さないからね。

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