［趣味］人類資金 文庫版5巻

勝手に週刊連載「俺の本棚」、第192回。
今回はこれ。
先週に引き続き、福井晴敏『人類資金』、読み返し。
写真の2冊のうち、5巻について。

愛蔵版の最後で真舟を救う為に正体を明かし、その結果として5巻で拘束された「M」。
その前段階として、奪った10兆円の使い途とその目的、何よりも「M資金」に込められた願いが明かされます。
つくづく、福井晴敏という男はとんでもないヤツですよ、ええ。
某名台詞を借りて言うなら、「大変なものを盗んでいきました」というやつです。
ガンダムUCでのニュータイプの解釈にも同じことが言えるんですが、とにかく人類の可能性を信じ、愛しているんです。
絶望感が溢れる世の中で、「それでも」と足掻くことの大切さ。
その先にある「未来」を引き寄せる強さ。
ことごとくツボを突いてくるわけです。
まぁ、思えばデビュー作、より正確に言うならその前から通底するテーマでもあるわけですが。

この作品が書かれ始めた頃と現在では、僅か数年の差ながら「お金」に関する状況はかなり変わっています。
それを頭に置きながら読み返してみると、更にこの作品が面白いですね。