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2019年05月16日13:01

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ベタ子の死

家のベタのオス、ベタ吉のお嫁さんとして我が家へやってきたベタ子。
やがて、ベタ吉が死んで、二人目の旦那、ベタ兵衛を迎え、仲良くやっていたのだ。
仲良くやるとはいっても、求愛恵愛産卵のほんの一時期しか一緒の水槽にはいないので、人間に例えると、否、例えるのはよそう。

別の水槽に入れても、危険を顧みず、時々跳ねて飛び越えて、オスのところへ自分からやってくるようなところもあり、愛撫を求めてオスの近くに自分から寄っていくようなところもあり。
なにより、その小さな体できびきびと水槽を泳ぎ回る姿は、巨大なひれをひらひらさせて動かないオスとは対照的で、健康で素直なハイティーンの女の子を想像させるものがあった。とてもいい子だったのだ。

寿命が数年というベタが、生涯に何度産卵をするのかはわからないけれど、一年に5回というのは、やはり普通に考えて多すぎると思う。おそらく体力も落ちる、身体も老化する。
孵化し、稚魚になるまでは何とか育てられても、毎回いつの間にか全滅してしまうのは、ひとえに飼い主の技術力が足りないことにほかならず、ほんと、二人には申し訳ない気持ちしかない。

五回目の産卵を終え、また小さな水槽に移されたベタ子が、仕事から戻ってくると底に沈んで動かなくなっていた。
我が家を一時の住まいとしていた動物たち。金魚、どじょう、メダカ、ネズミ、カブトムシ、クワガタらの眠る庭の墓に埋めてやる。

「今までよくがんばったな」

ふいに出た言葉に自分で驚く。
彼女が元気に餌をぱくつく姿を思い出した。






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