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2019年03月27日22:43

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【本】ミランダ・ジュライ著『いちばんここに似合う人』新潮クレスト・ブックス

皆様、お今晩は。ミランダ・ジュライ様の『いちばんここに似合う人』新潮クレスト・ブックス刊を読了致しました。その感想です。


水が一滴もない土地で、老人たちに洗面器一つで水泳を教えようとする娘(「水泳チーム」)。英国のウィリアム王子をめぐる妄想で頭がはちきれそうな中年女(「マジェスティ」)。会ったこともない友人の妹に、本気で恋焦がれる老人(「妹」)―。孤独な魂たちが束の間放つ生の火花を、切なく鮮やかに写し取る、16の物語。


この本の著者であるミランダ・ジュライさまは、カンヌ国際映画祭で新人賞を受賞した気鋭の女性監督であるまして、本書が初めての短編集と言うことなんですが書名になった「いちばんここに似合う人」と言う作品は入っておりませんし、このタイトルとは裏腹に生きるのにシンドイ思いばかりしている人のヒリヒリとした小説がギューッと詰まった短編集であります。短編集と申しましても長さもバラバラでして数ページで終わってしまう「掌サイズ」のものもあれば数十ページにも及ぶものもあります。

この本を読んで思ったのは「性」と言うものと「孤独」を描くことに長けた人だなぁと思ったのと明確な着地点を示していないにも関わらず、読んだあと不思議な余韻を残す作品揃いであると思ったのでした。自分が気に入っているのはまだ見ぬ友人の妹に恋い焦がれる老人を描いた『妹』とかつて痣が出来ていて、手術で取り除いたけれどもある日それが再発してと言う『あざ』がとりわけ印象に残っております。
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