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2019年03月21日15:15

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【本】三羽省吾著『太陽がイッパイいっぱい』文春文庫刊

皆様、お今日は。三羽 省吾先生のデビュー作である『太陽がイッパイいっぱい』文春文庫刊を読了致しました。その感想です。



大学が「おもんない」と行くのをやめた、三流大学4回生の青年イズミは、バイト先の解体業者でスカウトされ<マルショウ解体>の一員に。組員は、マッチョ系問題児カン、赤面症の美青年クドウ、リーマン崩れのハカセら、見るからにけったいな9人。「ボケ!」「チンカス!」が挨拶代わりという奴らだが、マジメに働き、マジメに恋をし、仲間を思いやることを忘れない。人生どん底でイッパイいっぱいな仲間から、イズミが学んだものとは? 


第8回小説新潮長編小説新人賞にて597編の作品を破って見事受賞した本作。第5回酒飲み書店員大賞も受賞している21世紀に花開いた「プロレタリアート文学」(三羽 省吾先生談)なのであります。
一日で読了したのですが、実はイズミが女性キャラだとばかり思いこんでいて、行きつけの大衆食堂「のがみ」の看板娘であるメロンちゃんと恋仲になるのですが、そういった勘違いでレズビアン小説?と思って随分と時代の先端を書いているなぁと思ってしまったのは此処だけの話であります。
この本を読んでいて感心したのは、作中に二匹の犬が出てきて、一匹は「のがみ」の看板犬であるコタロウと、もう一匹はヨゴレと言う作中では吠えない痩せた野良犬でありまして、人間様以上にキャラが立っているんですよね。それと解体現場に従事した経験でこれを書いたと直接お伺い致しましたが、自分が経験していたとしても此処迄暑苦しい現場を再現させた筆力たるや恐ろしいものがありまして、今迄読んで居なくて御免なさいと心の中で手を合わせてしまった程の哀歓が漂っていて、題名にある『太陽がイッパイいっぱい』とは嘘偽りのない事なんだなぁと思ったのです。

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