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2019年01月28日15:13

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エッセイ集557:「安倍政権のミカタ」

<安倍政権のミカタ>
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厚労省の「不適切統計問題」とその「問題に対する調査方法の不適切さの問題」がくすぶる中、本日安倍政権下で通常国会が開催されました。

そこで、私自身の「安倍政権のミカタ」を項目に分けて箇条書きにしてみました。

(1) 不適切統計問題
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・今回の「不適切統計問題」に対する対応と担当者の処分は、「森友問題」「加計問題」「PKO日報問題」など官邸や閣僚の関与が疑われていた事案比べると異常なほど迅速(拙速)でした。
・これは逆に考えると「森友問題」「加計問題」「PKO日報問題」の対応の遅さと歯切れの悪さは、やはり安倍政権下の官邸や閣僚の関与があったということの証左のような気もします。

(2)アベノミクス下の金融緩和の実態(その1)
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・デフレ解消をアベノミクス下で目指すための施策が、日銀(黒田総裁)による異次元の金融緩和でした。
・物価上昇→企業の業績向上→給与の引き上げ→消費の増大というのが「金融緩和によるデフレ解消による景気の好転」の図式ですが、この図式にこだわること自体が前時代的だったのではないかという論調が最近増えています。
・国民が将来不安を抱えて消費を抑制する潮流の中で、むしろこの金融緩和に注力し過ぎたことが、実際に必要な「経済構造の転換」や「技術・ビジネスモデルのイノベーション」による将来性を秘めた経済の活性化を遅らせたのではないでしょうか。 

(3)アベノミクス下の金融緩和の実態(その2)
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・アベノミクス下の金融緩和の柱は、「国債の市場での買取り」と「低金利政策」ですが、それに加えて「上場投資信託(ETF)買入」や「年金積立金管理運用法人(GPIF) の株式保有」があります。
・そして実際のところ、国債の市場での買取り、低金利政策は「円安」を生み、ETFの買入やGPIFの株式保有は「株価の下支え」となり、その経済効果がアベノミクスの成果の実体のように思います。
・結果としては、国債の50%近くを日銀が保有するという「自分の尻尾を自分が食べる(=実質的には公的資金の投入)」という異常事態による国債市場の硬直化と市中銀行の経営難を生み出し、その出口政策が見えなくなっています。

(4)消費税増税
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・安倍政権下で消費税の10%への増税が二度先送りされ、その結果本来目指していた2020年の「基礎的財政収支黒字化」は、現在の目標では2027年になっています。負の遺産が確実に将来へ先送りされています。
・また安倍政権は10%への増税に極度に過敏になり、増税分の大部分を景気後退に対する対策に費いやして、実質増税を先送りしているのは誰の目にも明らかです。
・国際化した現在、消費税が10%であることは他国と比べても決して高くはないというのはほとんどの国民は理解しています。
・それにもかかわらず各種の複雑な軽減税率案が混乱を招いています。もちろん低所得者層には何らかの軽減措置は必要ですが、それは例えば地方税を納められない低所得者層への還付金のようなものに絞られ単純化すべきだと思います。

(5)憲法改正と消費増税対応策
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・安倍政権は憲法改正を行い、その2020年の施行を目指しています。そのためには衆参両院で、与党や改憲党派の2/3以上を占める必要があります。
・安倍政権が消費税増税に極度に過敏になり、実質先送りに近い対応策をとっているのは、念頭に憲法改正があることは明らかです。憲法改正のための議席(2/3)を得るために過剰に消費税の対応策をとり、結果的に財政収支改善を先延ばししていることになります。

(6)選挙制度の問題
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・2017年の衆議院選挙では、獲得議席は与党が2/3を占める圧勝でしたが、与党の得票率は過半数に届いていないのが実態です。
・これは明らかに選挙制度の問題で、二大政党を前提とした小選挙区制度が生み出した結果です。(逆に言うと国会の2/3で改憲案が承認されても国民投票では過半数獲得が難しいということです)
・もちろん野党が分裂して政権担当能力がないことは問題ですが、得票率と獲得議席が極度にアンバランスで民意を反映していない選挙制度は正すべきだと思います。

(7)衆議院の解散権の問題
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・今年の秋の参議院選挙が衆参同日選挙になるのではないかと憶測されています。
・実際のところ安倍政権は、内閣不信任決議のない中で「大義なき解散」を今まで2度行いましたから、その可能性は小さくありません。
・ご存知の通り憲法(69条)によると、内閣不信任決議がなされた場合は対抗措置として、内閣総理大臣は衆議院を解散することができ(69条解散)、これが三権分立の基礎ともなっています。
・一方同じ憲法(7条)によると、衆議院の解散は内閣の助言と承認により、天皇が国事行為として行うことができます(7条解散)。これはあたかも本日天皇が国事行為として国会を召集するのと同じです。
・本来、衆議院は69条に基づき内閣により解散され、7条によりそれを象徴天皇が国事行為(ルーチン)として追認するというのが憲法の趣旨のはずです。そういう意味で、内閣が随時任意に衆議院を解散できる現在の憲法には欠陥があるといえます。
・憲法下で存立する裁判所は「憲法に欠陥がある」とは言えないので、「司法の管轄外」としてこれを容認しているのが現状で、不信任決議なき衆議院の解散は内閣の良識の問題となっています。

<まとめ>
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アベノミクスを中心とした安倍政権の成果には色々な評価がありますが、上記しました「不適切統計問題」「金融緩和の実態」「消費税増税」「憲法改正と消費増税対応策」「選挙制度の問題」「衆議院の解散権の問題」を総合してみていくと、それはいくつかの策略(トリック)の組み合わせの上に成り立っているのかも知れません。

資源的にも市場的にも環境的にも飽和状態になっていく世界の中で、国民にかつてはあった裕度がなくなり、問題を先送りするポピュリズムを背景に生まれた政権が海外に数多くあります。

「灯台下暗し」と言われます。日本においても問題を先送りするポピュリズム政策によって我々の現在の生活が維持されているのではないかという問題意識を、常に高い感度で維持しておくことが重要だと思います。

(おわり)
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