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2019年01月13日14:32

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エッセイ集554:「法律翻訳へのAI活用に思う」

<法律翻訳へのAI活用に思う>
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ヒト・モノ・カネの移動のボーダレス化に伴う日本社会の国際化に対応するため、法務省が法律翻訳へのAI活用を検討しているそうです。

具体的には、英訳済みの法律を原文とセットでAI に学習させて法律用語の翻訳データを大量に蓄積し、なおかつ法務省が2009年から運用している「日本法令外国語訳データベースシステム」のルールに準拠して、日本の法律や運用規則を自動的に翻訳(英訳)する仕組みを想定しているようです。

私自身は技術系の翻訳者ですが、技術がらみの法律(電波法やその運用規則など)の英訳をしたこともあります。下記は私の翻訳した「電波法」の全文です。
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/eng/Resources/laws/090204_3.pdf

ただし、法律翻訳が専門外の私がゼロから翻訳したものではなく、当時すでに翻訳されていたものを「日本法令外国語訳データベースシステム」のルールに合致するように手直ししたというのが実態ですが、それだけで百数十万円もらえたのは美味しいお仕事だったといえます。

その時の私の経験からも、法律翻訳は機械あるいはAIが得意とする翻訳分野のように感じます。

英訳の仕事にもっとも大切なのは、原文の日本語が正しいことですが、法律は文章そのものは難解そうでも、その道の専門家が作成したものですから辻褄は合っています。また上記のように、法令翻訳にルールが定められているので、極論すれば原文と英訳文がほぼ1対1に対応することになります。

そういう意味ではルールが定まったチェス・囲碁・将棋でAIが活躍している以上に、法律翻訳でAIが活躍する余地は大きいように思います。

そういうことで、翻訳の仕事にもAIの波が押し寄せてきていますが、定形の文章や日常会話以外の分野ではAIが完全席巻するまではまだ時間がかかるようにも思います。

さらに今般の法律翻訳へのAI活用方針とその展望を、翻訳以外の分野に広げて考えていくと、決まったルールがありそれに決まった答えがあるような仕事、とりわけマークシートの試験だけ能力評価可能な仕事は、今後AIにその座を譲る可能性が大きいのかも知れません。
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