台風一過、束の間の秋晴れまの日溜まりには、赤トンボが群れて日向ぼっこをしている。
堀口大学は「十月は、やさしく、甘い。山の湖のやうに空が碧く澄んで、薔薇の花の思ひ出の匂ひがある」という。
初秋から夜寒の候へ、秋雨ヵら紅葉へとしだいに秋が深まって行く今頃の季節は、移ろいの姿が繊細で、ものさびしく、そして、やさしくて甘い。
[詩生晩酌」(堀口大学)
空から落ちる運の矢を待つ
毎晩ゆっくり酒を酌む
膳の上には一二品
好みの小鉢とさかずきと
まわりに細君
子らの顔
何よりの
これがさかなさ
口にも合うが
気にもいる
森の人
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