秋の野山を歩くと可憐な野菊に目が止まるが華やかさはなく、ひっそりと控えめに美しく咲いている。
わが国を代表する「菊」が万葉集には詠まれていないのが不思議です。
江戸時代になると、他の植物も同じですが、品種改良がおこなわれ、「菊」に関しては「菊細工、菊人形」など創意工夫され、現在でも秋になれば日本各地で「菊人形展」が行われています。
ジャポニズムの新思想に誘われたフランスの作家ピエール.ロティの日本体験作「お菊さん」(1887)も書かれ、明治元年(1868)に「菊花」が皇室の紋章と定められた。
また「菊」は日本人の美の世界における精神的象徴となり、ルース.ベネディクトの作品「菊と刀」
(1946)にも取り上げられている。
高浜虚子が「初恋」と題して「おもかげのかりに野菊と名づけんか」と詠んだのはそのもので、伊藤左千夫の「野菊の墓」にもでてくる。
その野菊の一種と思いますが、ミヤマヨメナ、アズマギク、ヒメジオン、ノコンギクなど高原のいたるところで咲けば秋のこの時期花が少ないので散策も楽しくなるだろう。
山口素堂
名も知らぬ小草花咲く野菊かな
森の人
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