今年の9月は雨が例年よりも多いような気がするが、9月は雨の月だ。
古来から様々な言い方があります;秋の長雨、秋霖、秋じめり、秋ついり、秋こさめ、など。
服部土芳の句に「おもひ出しおもひ出しては秋の雨」があり、風情が秋霖期の特徴とある。
「天高く馬肥ゆる秋」と言われるが、五月と六月の梅雨時と同じように晴天率は低い。
「さつき晴、秋晴れ」という言葉は希少価値があるからこそ、「もてはやされる」ようです。
里では霧雨の中でムラサキシキブの実が色艶を増し、山ではキキョウやリンドウの青紫色が輝いている。同じ青紫色のトリカブトは、穂先に花を沢山付けているため重みで頭を垂れている。
深夜の雨が木々の葉をひそやかに打つ音を聞くと、秋の声だなと思う。季節には季節の音というものがある。今ではもう聞かれない「砧の音」が星空に響く、昔はそれが深まる秋を告げる音であったのだろう。
「音澄みて北斗に響く砧かな」(芭蕉)、ここ山中で聴かれるのは鹿の寂しい啼き声です。
森の人
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