《ある世捨て人の物語 誰にも知られず森で27年間暮らした男／マイケル・フィンケル》
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http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin
20歳の時に誰にも告げず突然失踪し、
以後27年間誰にも会わず、
メイン州の森で孤独に過ごした男を追ったノンフィクションです。
孤独が人に与える影響は二分されます。
精神に破綻をきたすか、
または精神の安らぎを見出すか。
ほとんどの場合は前者だそうですが、
中には自ら孤独を求める人もいるようです。
孤独でありたいと願望を抱くのは、
遺伝的な要素があり、
脳内で分泌されるプチドホルモンのオキシトシンの水準が低く、
愛情への欲求を抑制するバソプレッシンというホルモン量が多いと、
対人関係を必要としなくなると書かれています。
世の中のわずらわしさから解放されて、
自由に生きることができるのは羨ましい限りです。
飢えない程度の食べ物と、
読みつくせないほどの書物さえあれば、
自分もそうしたいところです。
ただし、寒さにだけは耐えられそうにありません。
メイン州の冬は厳寒であるにもかかわらず、
発見されるのを恐れ、
27年間一度も焚き火をせずに過ごしたというのは驚異的です。
この男はそれほどまでして独りになりたかったようです。
彼は世捨て人ではありますが、
隠者でも賢者でもありません。
なぜ自分が森に隠れ住む孤独の道を選んだのかも分からないといっています。
けれど、孤独こそが人間の本質であるということを、
無意識にわかっていたのではないでしょうか。
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