カスピ海は、世界最大の湖として知られて来ました。
「海」とついていますが、
完全に陸地に囲まれていますので、形状的には湖のような感じです。
しかし、塩湖でもあります。
広さは371,000㎢で、日本の全国土378,000㎢とほぼ同じ広大な面積を有していて、
湖のイメージではないかも知れません。
このカスピ海が、湖か?海か?について、
20年以上にわたってロシア、イランなど沿岸5か国で論争が繰り広げてきましたが、
カザフスタンで8月12日に開催された5カ国の首脳会議で、
事実上「海」で決着したと、今日の産経新聞がネットで報じています。
何でこのような面白いニュースを、
日本のマスコミが今まで報じなかったのか分かりませんが、
BBCでは、8月13日に報じていました。
もちろん、この首脳会議は学術的に海と決めた訳ではなく、
協定上に海と表現されているものでもありません。
湖ではなく、海と同様の取り決めを行ったとの事です。
海と湖では、法的な枠組みが全く異なります。
湖ならば、国際的慣習により水域内の資源は沿岸各国の共有財産となり、
均等に配分されます。
しかし、海となると、国連海洋法条約が適用され、
沿岸線の長さに応じて領海などが設定されます。
権益も基本的に長さに比例する事になります。
イランは沿岸線が5カ国で最も短く、
しかも湖底に眠る天然資源は北部や中央部に偏り、
イラン沖の南部は乏しいことが判明したため、
海だとすることは到底承服できる話ではありませんでした。
旧ソ連時代には、湖とされ、1991年までは、共有の財産でした。
カスピ海はキャビアの世界的な産地として知られ、
その利益も両国で折半されて来ました。
ところが、ソ連の崩壊により、
新たに、カザフスタン、トルクメニスタン、アゼルバイジャンが誕生しました。
更に、1990年代半ばに豊富な天然資源が湖底に発見されると、一層複雑になりました。
現在では、原油500億バレル、天然ガス8兆4000億立方メートルの埋蔵が確認され、
「第二のペルシャ湾」とさえ呼ばれています。
こうした状況の中で、今回「カスピ海の法的地位に関する協定」が調印されました。
協定の詳細な内容は、分かっていませんが、ロイター通信などによると、
1 各国沿岸から15カイリ(約28km)をそれぞれの領海とし、
25カイリを排他的漁業水域とする。
2 沿岸国以外の軍がカスピ海に入るのを認めない
3 領海外の地下資源の分配については継続協議とし、
湖底へのパイプライン設置は当事国同士の合意で認める
以上の3点が、骨子とされています。
協定では、湖か海かについては直接、言及されませんが、
沿岸線に応じて領海が設定されたことが注目され、
事実上、カスピ海を法的に「海」と位置づけたことを意味します。
これまで湖と主張して来たイランは大幅に譲歩した形になります。
アメリカの経済制裁は、他国を巻き込むような感じで、強められています。
イランのロウハニ大統領は、窮地に立たされている感じですが、
イランの強硬派は、
「5等分すらのめない。本来、旧ソ連との間で合意していた50%の取り分が筋だ」と
主張しているようですから、更に政権が不安定になりそうな気配です。
今回のイランの譲歩は、国際的孤立回避をもくろみ、
ロシアなどとの関係強化を図る方が国益にかなうとの
現実的判断があったのでしょう。
イラン問題は、今後の世界の政治や経済に大きな影響を与えます。
注視していないといけないのでしょうね。
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