ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770〜1827)作曲
ピアノソナタ第14番「月光」嬰ハ短調Ｏｐ．27-２
Ｐｆ：奥戸 雅子
中トリはハイドンの弟子ベートーヴェン。
曲目としては本曲を目当てに行った。ベートヴェンの三大ソナタの一つで演奏機会も多く、
ＰＡＣでは先々月に聴いたし、この小ホールでも聴いた事がある。第１楽章が有名で「月光」の
愛称のもとにもなった。しかしＯｐ．27はSonate quasi una Fantasiaつまり幻想風ソナタであって
作曲者は月光について考えてはいない。しかし幻想を呼び起こすような和音である。それが
＃ソ＃ドミの和音。嬰ハ短調は＃ドミ＃ソが主和音であるが、それを変形させて得意の属音
始まりにしている。Adagio sostenutoが指定されているがテンポは良かったのではないかと思う。
ある程度の強弱があって聴き手が聴き易い。第２楽章Allegrettoは、私は舞曲又はスケルツォと
捉えている。遅い演奏が多いのが不満であるが奥戸さんの演奏のテンポは良かった。
終楽章となる第３楽章は第１楽章で提示した＃ソ＃ドミをアルペジオで、しかもPresto agitato
で弾くという高難度が要求される。但し弱音で奏でよ、とベートーヴェンは書いている。
しかしペダルを踏みっぱなしであったらしくウァーンと鳴っていた。何故、弱音かと言えば
アルペジオの後続の重い和音に仕掛けているスフォルツァンドが効かなくなるのである。
残念だったのは繰り返しが省かれた事。終楽章はソナタ形式で提示部―展開部―再現部と進むが
提示部は１括弧による繰り返しが指定されているが、これが省かれて２括弧へ飛んだ。
全体的に纏まった演奏であったと思う。
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