ラピュタ阿佐ヶ谷、戦後独立プロ映画特集。
Movie Walker
https://movie.walkerplus.com/mv28309/
実話をもとにした、セミドキュメンタリーの67分の小品。
2歳で被爆。12歳で原爆症による白血病で亡くなった、佐々木禎子
さん(実在)の死を契機に、同級生と全国の児童による募金活動と彼女を
モデルにした「原爆の子」像の建立を扱う。
この映画の撮影にあたっては、オールロケーション、全て広島で
実際の学校や病院を舞台にして撮影。禎子の同級生たちを演ずる子役
たちも、広島の少年少女を臨時の学級に編成し撮影されたという。
禎子を演じた、菅井美智子さんがとても可憐なだけに、原爆の悲劇
が浮き上がる。だが単に、被爆者による平和運動という教科書的
な面ばかりでなく、禎子の入院により困窮する彼女の家の暮らし向き
や、運動に積極的に参加する生徒を揶揄する別の生徒たち、どちらか
というと最初は「ことなかれ」的態度をとる校長先生、など、運動
の現実的な側面にも丁寧にふれており、それだけに、小品ドキュメン
タリーに終わらない現実感がある。
全てロケーションということは、当時の広島の病院には、
ガラス片が一面につきささり、被爆の跡を保存していたあの壁も
実在したのだ。いまはどうなっているのだろうか?
禎子さんが生きておられれば75歳。いまの日本の現状をどう
思われるか。祈りはきちんと受け継がれているだろうか。児童映画
だが、考えさせられることの多い1時間だった。
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