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2018年05月29日20:38

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今宵のにまい(ハルサイと牧神の初演に寄せて)

こんばんや!
今から105年前の1913年の今日、パリのシャンゼリゼ劇場でのバレエ・リュッスの公演で、一本の新作バレエが初演されました。音楽を作ったのは実質的にバレエ・リュッスの座付き作曲家のように毎年新作を発表していたロシア出身の新進イゴール・ストラヴィンスキー。
「Le sacre du printempsー春の祭典」と名付けられた新作は、ストラヴィンスキーが夢で見た太古のロシアの春の祭りを踊りと音楽で表現した作品。それまでのバレエ音楽のイメージを打ち破る強烈な不協和音と激しいリズムの洪水は当時のパリの観衆の許容範囲を大きく逸脱したもので、冒頭のバッソンのソロが歌い始めると同時に場内はヤジと地団駄の嵐でパニック状態になりましたが、それでもニジンスキー以下のダンサー、指揮者モントゥー以下のオーケストラは演奏を止めず最後まで上演しました。
クラシック音楽史上に残るスキャンダラスな「春の祭典」の初演のちょうど一年前、1912年の今日は、本来ならストラヴィンスキーの新作が初演されるはずでしたが、作曲が間に合わず、一年延期されることに。そこでプロデューサーのディアギレフは、新作初演をラヴェルの「ダフニスとクロエ」に切り替え、6月に延期、5月公演では既存の音楽を用いた新作バレエを上演することにしたのです。
ニジンスキーのソロによる新作バレエの音楽に選ばれたのは、当時フランスの最先端の作曲家であったクロード・アシル・ドビュッシーの最初の問題作「牧神の午後への前奏曲」でした。ホルスタイン牛の模様をモチーフにした全身タイツを身にまとい、物憂げに悶える牧神をニジンスキーは独創的なソロで演じ、バレエ・リュッスの代表的な演目となりました。

今宵は二つの20世紀の偉大な芸術作品の誕生をことほぐことにしました。
ストラヴィンスキー:
バレエ音楽「春の祭典」
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
サー・コリン・デイヴィス(指揮)
初演を指揮したモントゥーの愛弟子デイヴィス卿とコンセルトヘボウによる美しい「ハルサイ」。初演の熱狂を現代に甦らせたベジャール版のステージ写真を用いたジャケットも秀逸です♪
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ドビュッシー:
牧神の午後への前奏曲
クリーヴランド管弦楽団
ピエール・ブーレーズ(指揮)
ドビュッシー、ラヴェル、バルトーク、ストラヴィンスキーをリスペクトして素晴らしい録音を遺したブーレーズによる名演でドビュッシーとニジンスキーを偲びます♪
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