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2018年05月27日21:50

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BSジャパンの番組で取り上げられていたコストコ

 BSジャパンという、名前からすると日テレ系列みたいなのに、実は東テレ系列というまぎらわしいBS放送局がある。ここに日本経済新聞が番組を持っていて、コストコを取り上げていた。このころ、なぜかコストコやIKEAのことをよく考えていたので、録画して見てみた。

 もっとも、その日のメインテーマは行動経済学で、コストコはそのとっかかりとして触れられただけだった。まずは、年会費を払っているので、行かないと損をした気がする、サンクコスト。

 あるいは、店に入ってすぐのところには貴金属品や宝石、高級アクセサリーや液晶ディスプレイが並んでいて、その後が日用品や食品なので(たしかに川崎のコストコもその配置になっていた)、安く感じてしまうというアンカリング効果。これって言うほどかと思うのだけど、IKEAの順路で2Fの家具を見てから、1Fの鉄製パエリヤ皿が数百円と見ると、えらく安いような気がしてなんとなく手がのびそうになった記憶はある。パエリヤなんか、滅多に作って食べることなどなかろうに。

 あと、あの大きなカートも実は罠で、無意識にあの空間を埋めたいという心理が働くそうである。カートを押しながら見て歩いたことがなかったので、これは盲点だった。関係ないかもしれないが、ふつうのスーパーの通常サイズのカゴで買い物していていっぱいになりかけると、たしかに残りは次の時に買おうかと思いはする。

 他にも試食を提供すると、返報性といって買いたくなる(買わなければいけなような)気分になるそうである。でも、これって別にコストコに限らず、大手のスーパーはだいたいやっていると思う。そして、たしかについ流れで買いそうになるから、個人的には試食を見かけるとつい避けてしまう。そういう人はそれなりにいる気がする。

 それから、客を飽きさせないよう季節ごとに商品の配置を変えているそうである。同じものは同じところにあった方が便利だとは思うけれども、コストコは毎日通うようなお店ではないので、そうした利便性よりも、いつもなにか違うと思わせる方が購入意欲を刺激しやすいのかもしれない。

 あと、あれだけスペースがあれば商品ごとに幅広いバリエーションを整えることも可能なのだけれど、選択肢が多すぎるとかえって選択できなくなるので、種類はあえて抑えているという。

 ここもIKEAも返品を容易だと謳っているが、実際に返品する人は、やはり少ないらしい。コストコは単価の安い日用品をわざわざ車で戻ってまで返品しようとはしないだろうし、IKEAに至っては箱から出した家具のパーツをまた元に戻して車に積みこんで持っていくなんて、考えるだけでもうんざりして放置してしまう人の方が圧倒的に多数だと思われる。

 そんなわけで、取材先であるコストコの了解をえて放送している以上、本当にエグいことがあったとして、そこは放送しないだろうなあと思う内容だった。
 基本的には、ちょっと前までEテレで放送していた『オイコノミア』でほぼ網羅していた内容だったと思う。というか、『オイコノミア』の案内役の先生がこちらにも出演していて、極端回避性について解説していた。
 ざっくり説明してしまうと、定食に松・竹・梅の三等級があると、中央の竹の注文が最も多いそうである。ニューヨークの寿司レストランでは、100ドルのコースしかなかったが、120ドルと140ドルのコースを追加したところ、120ドルのコースが最も売れ筋となって客単価があっさり上がったという。
 健康ドリンクなどで、500円・700円・1200円・3000円のラインナップがあったとして、3000円の最高級品は1200円の高級品を売るためにあるのだと思う。数が出ないからといって3000円の商品をなくしてしまうと、1200円の商品を買っていたかなり層が700円の方にシフトしてしまうはずである。

 番組では触れられていなかったけれど、コストコとIKEAについていえば、買い物をしている客の妙なテンションが一番の見どころだと思う。そして、そのテンションを客が互いに及ぼし合って、全体として妙なグルーヴが、あの巨大な店舗の躯体全体を覆っている。その様子を見るためだけでも、一度は行ってみた方がいいと思う。
 それから、どちらもフードコートはそれぞれアメリカンや北欧の感じがあっていい。本当のアメリカンや北欧はまた別ものだろうけど、異郷感を堪能できて楽しめる。特にいずれもホットドッグを食べると濃厚にその空気を感じとることができると思う。

 個人的にはコストコもIKEAも、かならずしも見通しのよくないレイアウトの、その限定した視界の中にこれでもかと商品を展示しているのが似ている気がする(そういえば、ドン・キホーテもそんな感じである)。
 丸亀製麺やはなまるうどんでついトッピングのてんぷらをとってしまうのも、手に取りやすいところに大量に置いてあるのがミソではなかろうか。欠品がない、ということではなくて、常時あふれんばかりにモノが積み上げてある感じが、購入のハードルを下げていると思う。

 もっとも、これは逆のケースもあるので一般化は難しい。こちらも番組中で取り上げられていたけれど、通販番組で「注文殺到により品薄」の表示が出ると、さらに注文に拍車がかかって即刻完売してしまうのだった。
 これは客の方にも取材していたのだけど、売り切れという、購入機会が失われるかもという状況に焦って、明らかにそれが本当に必要なのかの検証が不十分なまま電話に取りついて注文している姿が印象的だった。
 通販番組側はインタビューに答えて、顧客はなにが品薄なのか知りたがっているはずだから、こちらからも積極的に提供していると殊勝なコメントをしていたけれど、品薄を打つ前と打ってからの注文の動向ぐらいは把握しているはずで、なんかちょろい商売だなあと思ってしまったのだった。実際にはいろいろ大変なんだろうけど。

 えらそうに書いてしまったけれど、焦って購入については、自分も20年ぐらい前に一人旅をしていて、たしか熊本駅の弁当屋のオヤジにまんまとやられたことがある。
 それまで、別に弁当なんか食べたいとも思ってなかったのに、そのオヤジのワゴンに弁当が一つしかないのを見て、つい買ってしまったのだった。やれやれ、どうにか食いそびれずにすんだとゲットしたばかりの弁当をパクつきながら窓の外を眺めていた私の目の前を、当然のごとくオヤジがまたワゴンに弁当を一つだけ乗せて横切っていったのは言うまでもない。
 いまだにあの時の弁当代は授業料だと思っている。弁当そのものはおそらく何の変哲もないただの幕の内弁当で、特に味わって食べた記憶もない。

 そんなこんなで、行動心理学といっても、昔からある販売上のノウハウにそれらしい名前をつけただけかなあと思ってしまうようなところも、あるといえばあるような気がするのだった。

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