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2018年05月25日01:18

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「フロリダ・プロジェクト」子どもの時代の夢と、おとなの現実

Ipadで「タンジェリン」を撮影した監督が、
フロリダのディズニー・ワールドの
近くの貧困家庭の子供たちを描いた。
子役はじめ、ウィレム・デフォー以外はほぼ新人。

「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=10258677&id=4476859
http://floridaproject.net/

パステルカラーの家々、草や木の緑、青空、そこに
子ども達の生命力が溢れ、楽しそうであればあるほど、
圧し掛かってくる現実の厳しさに切ない思いがする。

ヘイリー(ブリア・ヴィネイト)は、6歳の娘の
ムーニー(ブルックリン・プリンス)との母子家庭。
ヘイリーは仕事もなく、1日35ドルのモーテル暮らし。

ムーニーは友達のジャンシーやスクーティと遊ぶ日々。
車に唾を吐いて、叱られて洗う羽目になるがそれも遊びにしてしまう。
お金をせびってアイスを買って、3人で舐めたり、
踊るような足取りに、子どもらしい日々の楽しさが溢れている。

モーテル管理人のボビー(ウィレム・デフォー)は、
子ども達のいたずらに手を焼き、大人のいざこざをあしらい、
宿泊料を集め、プールにも、浮浪者にも目を配り、
あちこちの修繕にも精を出す。突っけんどんだが
濃やかに気を配る。デフォーは、さすがに上手い。

3人の子ども達の楽しい遊びは、事件を引き起こす。
スクーティはムーニーと遊ぶことを母親に禁じられる。
ジャンシーは、親はいないが祖母がしっかり育てている。
この2人は貧しいながらも家庭に育てる力はありそうだ。

しかしヘイリーは仕事もお金もなく追い詰められていく。
すぐにカッとして口をついて出て来る悪罵、
気に入らない人には中指を突き立てて馬鹿にする仕草は
まず直らないだろうし、地道にコツコツなんて働きそうもない。
まともな仕事を得るのは難しいだろう。

そして娘のムーニーがそっくりそれを真似る。
ヘイリーも、そんな家庭で育ったのかもしれない。
躾などは思いもしない。貧困の連鎖…。

かなりの人は逆境でも努力をして学び、地道に働いて、
頑張って生活を成り立たせて生きていく。

でも環境にも恵まれず、能力も発揮できないとしたら?
ヘイリーのように…。そして母子で愛しあっていても、
ムーニーは、そのヘイリーと暮らす方が幸せなのかどうか。

ホテルのバイキングを食べさせるシーンは、
手段はともあれヘイリーの、ムーニーへの精一杯の愛情。
世間から見たら、もう呆れるばかりのダメ母親なのだけれど、
ヘイリーはムーニーと必死で生きて行こうとしている。

それが叶わなくなった時の、ヘイリーの叫び、
友達に別れを告げるムーニーの涙。この表情は忘れられない。
そしてジャンシーの一瞬の決意の顔。

ジャンシーがムーニーの手を引いて駆けて行った先は夢の国。
幼児期の最後の夢のあとは、厳しい現実が待っているのだろうか。


このパステルカラーの家で思い出したのは、
アメリカでホームステイをした時のこと。

ワシントンDCやニューヨーク、ロスの、
中の上〜上流家庭が多い郊外でホームステイした家は、
木や布張りの床や壁で、落ち着いた雰囲気だった。

ペンシルベニヤの田舎町のホームステイでは、
家は水色で、私の泊めて頂いた部屋も水色。
ヴェロニカの部屋の壁はピンク、家具もピンク。
ご両親の部屋は赤と黒で、ちょっとビックリ。

ご近所の家も色とりどりのペンキで塗られており、
アメリカの中でも、生活の違いを感じさせられた。
今や日本でも郊外にカラフルな団地が出来ているけれど。

この映画のモーテルは紫色。隣はピンク。
ディズニーワールドも色とりどり。
ふと、「一皮剥くと」という言葉が浮かんでしまった。

そうそう、もし、ムーニーみたいな子が悪さしているのに出会ったら、
私は多分、襟首つかんで叱りつけ、謝らせちゃう。

新幹線で並んでいる時に(親に言われて)割り込んできた子供や、
座席を足で蹴るのに、親に注意されない子にも謝らせました。

そして止めたら、すかさずしっかり褒めます。
「そうよ、列にはちゃんと並ぶの。いい子ね」とか、
「蹴るの止めてくれて、ありがとう、いい子ね」とかね。
そうすれば親は文句を言えないでしょ。
子どもって、社会で見守らなくちゃって思うこの頃です。


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