(この日記内容は記事内容の関連事項です。)
最近、妊娠検査を自宅でやって陽性出ているのに受診が妙に遅い患者が多め。
はじめての妊娠なのになんで?と思っていたら「ネットに2週間後に行けと書いてあった」と
とある患者さんがおっしゃったのでたまげた。
自分でもネット検索してみた。
「妊娠」「いつごろ受診」で探すと、いくつかそういう情報のサイトが出た。
まずは、その多くが「陽性出たらなるべく早く受診」と書いていたので安心した。
理由として「子宮外妊娠」の可能性をきちんと書いてあるし、これを見たらいいのに。
ただ、こういう医学的に納得できる、産婦人科医にとっては当たり前なことが
すべての「ご案内」ページに書いているわけじゃない。
一番かちんときたのが
「生理1週間後に陽性が出たら妊娠5週」
「妊娠6から7週にならないと胎児心拍がわからない」
「胎児心拍がわかるころに行ったほうがお得」
…お得、っていったい何のことだよ…
そもそも、ちゃんと基礎体温つけてないなら排卵日はわからない。
ってことは、「生理予定」はあくまでも「予定」なので
「予定1週間後に検査陽性」なら妊娠していることはマチガイないけど、
ほぼだろうがおおよそだろうが「妊娠5週」かどうかはわからない。
さらに、大事なのは「胎児心拍」じゃない、「子宮内の胎嚢がある」かどうかだ。
胎児心拍が見えたあとで消えてしまうことは、実は珍しいことじゃない。
胎嚢だけできて胎児が見えないままの稽留流産もあるけど、
胎児心拍が見えて、胎児の形ができたあとの稽留流産だってあるのだから、
胎児心拍の確認なんてあまり重要じゃないのだ。
子宮内に胎嚢、すなわち赤ん坊が入る袋が見えるかどうか?
これが見えてくればそのうちいずれ中に胎児が見えてくる、
もしくは子宮内妊娠として流産する。
でも子宮内に胎嚢が見えない場合、子宮以外の場所に妊娠している可能性がある。
これが「子宮外妊娠」でその90%は「卵管妊娠」。
狭い卵管内に受精卵が着床すれば、受精卵成長にともなって確実に卵管破裂が起きる。
腹の中に大出血して妊婦は死ぬ。
卵管の特に狭い部分に妊娠した場合、破裂は妊娠8週より前に起きる。
妊娠7週に受診したら「胎児心拍が見えてお得」どころか自分が死ぬかもしれない。
さらに胞状奇胎というヤバい病気もある。
これは、胎盤になるはずの組織の異常増殖により胎児が発生しない。
(発生しても異常組織に飲み込まれることもある)
だから胎嚢が見えないことが多い。
この異常組織は増殖速度が速く、週数が早いのに子宮はどんどん大きくなり、
子宮壁を食い破ってしまったり、血液に入って肺転移したりすることがある。
肺転移すると「絨毛がん」と呼ばれて抗がん剤治療が必要になる。
だから「お得」どころじゃないって言っているのになぁ。
自分の子の命、場合によっては自分の命がかかるのが妊娠初期なのに、
1回か2回の受診をけちっていったいどういうこと?
その受診料金節約していったい何が買えるの?自動車とか?
そんなに受診料払うのがいやなら妊娠しなきゃいいじゃん。
…と、思う。
■長野の障害者施設に流産の胎児 性的虐待の疑いで調査
(朝日新聞デジタル - 04月29日 05:19)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=5091451
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