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2018年01月09日11:52

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エッセイ集523:「成人式の晴れ着騒動に想う」

<成人式の晴れ着騒動に想う>
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昨日は成人式。晴れ着の販売・レンタル・着付けの某社が急遽閉鎖して、多くの新成人が晴れ着を着ることができず、また購入した晴れ着が入手できるか、あるいは支払ったお金が回収できるかもわからないという話。

昨年末の娘の結婚式・披露宴でその晴れ着姿を見た私としても他人事ではないようにも思います。

しかし実際のところ、私が真っ先に思い出したのは長谷川町子の「意地悪ばあさん」の一話。

「親戚の娘の成人式のお祝いに『意地悪ばあさん』らしからずお祝儀袋を渡す。その娘が喜んでその袋を開けると、『先ずは疑ってかかれ』とのメモだけが入っている。」
これを今回の一件に結びつけるのは不自然かも知れませんが、いかにも新成人に対して相応しい警句のようにも思われます。

ちょっと冷淡にも見えるこの私の態度には、人生の通過儀礼をさぼってきたことがその背景にあるのかも知れません。

例えば「七五三」は、我が家が貧乏だったからか親の流儀か分かりませんがその記憶はありません。

大学の「入学式」は校舎がバリケード封鎖されており中止。成人式は留年して家出中で全く無関心でした。5年がかりで何とか卒業しましたが、卒業式があったのかどうかこれも記憶にありません。

また結婚については、「一緒に暮らしたい」ということ以外は全く頭になかったので、セレモニーとしての結婚式や披露宴はその気持ちに余り相応しくないようにも思いやりませんでした。

ちなみに下記は「母親の短歌集」に見る私の成人式時代ですが、私が成人式や晴れ着とは無縁であったことを母親の目線から上手く表現してくれているように思います。
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「紛争の大学に入りし無垢の子の書棚に思想書忽ち数増す」
「おそれいしものにま向ふ更けし夜をデモより帰りし子の顔の傷」
「大企業にあやつられゆく学問を虚しと目落とす横顔のやつれ」
「留年とひとこと告げて下宿すと家を出でたり花曇る日に」
「満開の花川べりに続けども心開かず伏目に歩む」
「子の悩み吾にひびけど術なくて汝より悲しき母なれば切なし」
「耐へつつ積み上げゆくが信条の吾の生き方子は如何に見む」
「漸くに目と目が素直にかち合いて心よみあふ母と子二人」
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