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2018年01月08日12:59

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投影法に関してモロモロ

この図は斜投影みたいな。

こういう絵というか図がなんとなく懐かしい気がするのは、ちょっと前まで…数十年くらい…は建築スケッチなどでよく使われていたためだと思う。
手描きという言うのもそうだ。描く対象ももちろんそうだが、それらを合わせてレトロな感じを生むのであろう。
さらに言えば、日本人は平安の頃の絵巻でもこういう斜投影のような建物の表現方法を用いている。
それが江戸時代まで続いている。江戸後期になると絵画に透視図(パースペクティブ)を用いる西洋の技法が伝わるが、それまでも日本独自の幾何学がそれを持ってなかったというコトではない。
長い間、斜投影でやってきたため、絵師及び一般の人が透視図的な表現に違和感を覚えて使わなかったんでないかと思うんだが。

透視図というのは、人間の目が見ている状態に近い図法だ。視点から物体までの各頂点を結んだ線と、視点から一定の距離を持つ面との交点を図にする。
これは正投影…普通の図面のように平面や正面、側面などからまっすぐ見た図…の図面があれば定規とコンパスだけで誰にでも描ける(手順通りにやれば。面倒だけど)

斜投影というのは、それを簡略化した架空の図像で遠いところにあるものでも同じ大きさに描くやりかただ。
実は斜投影も正投影と同じものだ。正投影が建物の正面などからまっすぐ見ているのに対して、斜投影は建物の斜め上へ視点を移動させたにすぎない。
例えば立方体があって、その中心を通る線上に視点をもった場合、正面から見ると正方形がひとつだけ見える。しかし、透視図であった場合は、向こう側の面が手前の面より小さいから(手前の面に隠れるが)正方形は大小二つ重なって見える。
しかし、図面というのは大体モノを作るために画くものなので、こういう風に表現してしまうと正しいかもしらんが作るときは遠いところの寸法が縮まってて不都合だ。

正投影ないし斜投影は視点と対象との距離を無限に伸ばすという風に考える。
そうすると遠くのものも大きさが縮まらず、各部の平行な線は平行を保つ。
以前、自分の自転車を改造しようとしたとき、写真から基礎の図面を起こそうと思って撮影しに行ったのだが、このとき自転車を立てといてそこからできるだけ遠くに離れて望遠で撮影した。こうしないと歪むのだ。解像度は問題でない。細部の写真は別に撮ったし。
基準となる主要寸法は測ってるし。
自転車なんてものは厚みが小さいものだから、向こう側にあるものが多少縮まったとしても大した問題ではない。そうでは無くて前後端の部分の距離が中央の部分の距離より遠いことが問題になる。数十メートルからの距離で撮影したがまだ多少の補正は必要だった。
これは絵画の撮影などでも言えることで、広角でぎりぎり入る距離から撮ると大きな絵は盛大に歪む。
本当のことを言うと正確なはずの透視図法もこの点は省略されている。
例えば一本の棒が立ってて、それを正面から見ている場合垂直な一本の線に見える。
しかし、数歩平行に横にずれてみると線は視線の高さを基準として上下それぞれが中心に向かって傾く。線を直線のままにしたら視線の高さ(水平線・ホリゾンタルライン)のところで鈍角ができてしまう。実際的には緩やかなカーブで結ばれるのだが。
絵画やマンガ、イラストなどではこの歪みを正しく表現する場合もある。
しかし、写真に撮ると見えるこのカーブは人間の目というか頭は直線であるという思い込みにより自動補正され歪まないように見えている。
なので正確に描くと不自然に見えるのだ。絵をアーティスティックな表現として用いる場合は別だが、ただ単にカタチを捉えてほしいだけの場合は歪ませないで描いた方が余計なところに注意を持ってかれないために必要な事となる。

昨今は建築業界では3Dで設計なんてコトはやってるんだろうか。機械の方はすっかり2Dでの新規開発なんかは無くなって来てた。3D設計の場合は最初から透視図の状態で見ながら設計するし、時折斜投影に切り替えて確認したりしてたけど。
3Dオブジェクトを作ってしまえば、自動的に正投影図を展開することはできる。ポイントを指定すれば寸法も入る。だけど管理寸法(公差のある寸法)以外は外寸くらいしか入れなくなってたし、正投影図は添付すらしなくなってた。数値制御工作機械を用いる場合は現場でも使わない。紙の図面というのはもう滅びているのかも…

さてさて話を戻してこの絵を見ると、一番下の角に接するように水平線を仮定すると、左右の壁の下限を示す線との間になす角度が異なっている。
これはタダの斜投影だ。両方の角度が同じ場合を等角投影、アイソメトリックという。
なんだけど、うちの業界(機械)では斜投影を含めてアイソメで済ませてたような。
また、機械部品などを設計時に手書きでアイソメ風に描いたのをマンガと言ってた。
2Dの図面を含めて、そうした製造業のモロモロはもう過去の時代のもので、レトロな表現のアイテムとして残るばかりとなったのかなあ…


■銭湯へ、感謝の精密「図解」 27歳女性がSNS発信中
(朝日新聞デジタル - 01月07日 13:35)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=4933743
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