その時、ワタシはなんとなく気分が沈んでいた。
なにか事件があったというわけではない。
ただ、どんよりと、気分が沈んでいて、ちょっとだけ泣きそうだった。
ワタシの足元にはモンが丸くなって寝ていた。
ワタシは最初、モンに「モン、スキスキして〜」とおでこを持っていった(笑)。
もともとモンは頭の上から触られることが苦手な犬である。
それなのに、突然ワタシのネコの額のようなデコチンがせまってきたものだから、若干パニックをおこして、少し唸り声を上げた。
「そっかそっか、モンは頭の上の方から手とか来るのが嫌いやもんな。ごめんよ」
ワタシがそうモンに謝っていると、隣の部屋で寝ていたクーちゃんがモンに怒りにやってきた。
「いいよいいよ、モンは悪くないよ・・・」といいながら「クーちゃん、今ちょっと頼むわ」と言うと、クーちゃんは身体を丸くして静かに目を閉じた。
ワタシはデコチンで「スキスキの挨拶」を思う存分して「ありがとう。やっぱりこういうのはクーちゃんでないと、モンにはまだ無理やわ・・」と言った。
普段モンがひっぱりまわしているいらない枕を引きずってきてクーちゃんのベッドの横に横たわってしばらくクーちゃんを触っていた。
普段は手先を触られるのを嫌がる犬が、こんなときは「ほい」と片手を出してくれる。
ワタシはガサガサになった肉球をなでながらしばらくその手の暖かさに慰めてもらう。
しばらくクーちゃんの手を取って、一緒に横になりなって、どっちも黙ってただジッとしている。
そして、しばらくして、浮上の兆しが見えると「センセイ、ありがとうございました」とお礼を言って離れていく。
ワタシにとって、クーちゃんはこんな犬なのだ。
この先、こんな犬にであえるのかな、と思う。
モンちゃん・・・・・これは年の問題もあるから落ち込まないように。
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