mixiユーザー(id:8658267)

2017年11月08日00:27

638 view

「ル・コルビュジェとアイリーン」「アイリーン・グレイ」

メアリー・マクガキアン監督「ル・コルビュジェとアイリーン 〜追憶のヴィラ」2015年
マルコ・オルシーニ監督「アイリーン・グレイ 孤高のデザイナー」2015年

Bunkamuraル・シネマで上映中で、元々は別の映画を観る為に都内に出るついでに火曜日ならル・シネマの割引日だから何か面白そうな映画やってないかなと思って検索して知りました。ル・コルビュジェはフランスを代表する建築家で正直言って私はあまり好きではなかったのですが、そのル・コルビュジェと関わりが深かった女性デザイナーというキャッチフレーズに興味を覚えて行ってきました。

いざ行ったらとても良かった!全然知らなかったのですが、何とサンローランが愛用していた一人掛けソファをデザインした人でした。アイルランド出身で母は貴族の系譜、父は画家。「追憶のヴィラ」の方はアイリーンが恋人であり建築誌を編集していたジャン・バドヴィッチとの交流を経てル・コルビュジェと出会い地中海に面した海辺の家を共同で制作する話が前者のメイン。後者の方は前者の映画を作る為にいろいろな人にインタビューしていく過程で盛り込みきれなかった様々なエピソードや彼女の作品を紹介するドキュメンタリー。特に日本人と出会って漆を使った家具を生んだことから注目された話にはびっくりでした。また、全般的にル・コルビュジェに批判的で、住居というのは機能的である以前に人が生活する場であり快適であることが大切という強い信念と人生哲学を貫く姿が印象的でした。

特に建築に興味なくてもお薦めと思います。
作品を知るにはドキュメンタリーの方が良いですが、彼女の制作姿勢は自分のため次いで恋人のためという風に生きざまに深く関わってくることもあり、またル・コルビュジェとどこで何故もつれたのか等を理解する為には前者を観た後にドキュメンタリーを観る方がわかりやすいと思いました。
ル・コルビュジェのことはちょっと図式化して画一的に描き過ぎかもしれないとは思いましたが、自分があまり好きではないと感じていた理由の方向性が示されていた気はしました。

伝記の翻訳も出ていましたが…さすがにまだそこまで首を突っ込む余裕は……
でも同性愛者だったというのも興味深く、女性の同性愛者はナチュラルであることに拘る人が多いと改めて感じました。太陽の光の入り方や風の吹き抜け方などをとても意識したり、建物の内と外も一体化させようと外壁を作らずカーテンのようなものだけで遮っていたり、椅子も自分用と恋人用で肘の長さを違えていたり、モダニストでありながら人間主義的かつ自然主義的な姿勢には強く共感と親近感を覚えました。

や〜とにかく冒頭の彼女の創作インテリアを映しているシーンで「あら、これサンローランの椅子に似ているわ」と思いながら眺めていたら続いて彼の遺品オークションのシーンで彼女制作の「竜の椅子」が出てきてびっくり!自分のデザイン直感もまんざら外れてもいないのかも、と心の中でふふっと思ってしまいました。


もう一点、えっ気になったのは「追憶のヴィラ」の方のエンディングクレジットにジュリアン・レノンの名前が出ていたような気がしたこと。驚いて終映後にパンフを眺めてみましたが、特に音楽担当などには名前が見つからず、帰宅してググると写真を撮影している人に名前が挙がっているのですが…これってジョン・レノンの長男(最初の奥さんとの間の)で「Hey Jude」のモデルにもなっていたと言われるジュリアン?!ひき続き調べてみます。



原題 The Price of Desire
http://www.bunkamura.co.jp/cinema/lineup/17_corbusier.html
原題 Grey Matters
http://www.bunkamura.co.jp/cinema/lineup/17_graymatters.html
7 8

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する