ある茶店
で、奈良の大仏さまを見てきた男が、まんじゅうを注文しました。
「ほほう!ふっくらとした、うまそうなまんじゅうだ
」
「はい、あんこがたっぷり入っておりますし、おいしさは天下一品
です。こんなにうまいまんじゅうは、よそでは食べられないと思いますよ」
「そうか、たしかにうまそうだ」
さて、まんじゅうを食べ終えた男が、財布
を取り出して言いました。
「うまいまんじゅうであった。それで、代金はいくらだ?」
「はいはい。一皿三つで、九十文(←三千円ほど)いただきます」
茶店
の主人がそう言うと、男は目を
パチクリさせながら文句を言いました。
「えっ
なんだって?こんなに小さなまんじゅうが、一つ三十文もするのかい?値段の割には、まんじゅうが小さすぎるではないか!」
すると茶店
の主人は、すました顔で言いました。
「それはおまえさまが大仏さまを見て来たばっかりだから、とくべつに小さく見えるのでしょう」
ちゃんちゃん
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