肉親との別れ

川越

川越が好きになりたい。母にも川越を好きになって貰いたい。
そう、思っている。

「川越セントノア病院」ここが母の終（つい）のすみかになりそうだ。
10月24日 都立 大塚病院から転院。

20日間の入院中、「退院してしまったら自分で病院を探さなきゃいけないわよ。 しかも病院は、3ケ月で出されるから次々 転院先を探さなきゃいけないし、大塚で探して貰って 転院 という形にした方がいいわよ」というアドバイスもあり、

グループホームの申し込みをしたばかりでもあり、認知症オッケー、徘徊も大丈夫です、という施設の見学もしたばかり。 一体、母にとって どこがいいんだろう。
問題はどこにしても月額20万という費用の支払い。

毎月 20万 1年で240万 5年生きたら、、、1200万の支払い。
母から多少預かってはいるものの、10年生きるのは 勘弁して、という状況になってしまう。

大塚病院のケースワーカー 長谷川さんが 「川越でもいいですか？」
と、探してくれたのが セントノア。月額 12万4千円
これならなんとか やれそうだ。

しかも病院だから治療費込み。最期まで見てくれて3ケ月で病院から出される心配無し。
全員、お仕着せの服を着るし 靴下まで貸し出しで洗濯費用も込み。なんやかんやと費用を20万から さらに加算される心配が無い。

「お願いしますっ」

初日、母を預けて そのまま一人で東京に帰る気になれなくて 川越に一泊。
翌日 午前中は 市内の博物館へ。 午後は 母の面会に。

秩父地方もそうだけど 川越の人も祭りが好きなんだなあ。年中 祭やってる感じ。

今、住んでる文京区は氏神様の氷川神社が年に一回。しかも表と裏の年があって
御輿がでるのは2年に一回 表の時だけ。さっぱりしてる。

埼玉の人は元気だなあ、少子化とか高齢化とか関係ないんだろうか？そしてそんな川越をとても気に入っていた人物がいた。

徳川家康

なんと川越に「東照宮」があるとは知らなんだ。展示資料をみると、家康が亡くなって後に駿府から日光東照宮へ移される途中、川越に4泊もしている。（他はせいぜい 2泊か1泊） なるほど江戸に立ち寄る必要は無いし、駿府からまっすぐ直線で日光に向かうなら川越を通る。ちょうど中間点だ。

展示資料によると、川越には、鷹狩りでよく来ていた上に、家康 お気に入りのお坊さんがいて そのお坊さんが念入りに家康の法要をしたという。そこが東照宮と呼ばれるようになった。

「鷹狩りなら 静岡でもできるでしょうにねえ」と入り口のおじさん。

きっと 鷹狩りは ついでで、そのお坊さんに会いに来てたんだな。三代将軍の家光も鷹狩りで川越に来ていた記録がある。

それは、同じ時期だったのかも。家康は家光を可愛がっていたし、期待していた。爺ちゃんと初孫は この川越で待ち合わせをして、鷹狩りを楽しんだり、祭りを見たり、坊さんの説話を聞いたり、将軍としての政治の相談をしてたのかも。

確か、家康を日光に移したのは家光だから 、そしたら 川越での丁寧な法要はうなづける。徳川家の将来を見据え、全国に目を光らせながらも この時ばかりは、祖父との別れを悲しんだのだろう。

予防策

友達の多い人は 認知症になりにくいらしい。
母には長年の友達がいなかった。東京に来る時も「近所に友達はいないし あんたがいればいい。」と言って あっさり 出てきた。その娘が自分の止めるのも聞かず、ヤクザと付き合い始めて自分を殺そうとしたのだからさぞ恐ろしかったに違いない。 今、私は「とうとう5年目で 母の手を離してしまった」と思って涙が出るが 母は 「やっと安全な場所に逃げ切った」と安心しているのかも。もう少し時間がたったら そのあたりを聞いてみたい。

友達をたくさん作って 大切にしよう