※暴力描写注意。「わりのある仲。」
※ 金銭が絡まなければ使用自由。
大幅な改変等はツイッター @annawtbpollylaまで要許可申請。
自作発言は厳禁です。 ※
想定時間…14分程度。
配役…3:2:1
メイン
槙枝 まもり(まきえだ まもり。)…男性。
宮野 明美(みやの あけみ。)…女性。
???…不問。
サブ
翔太(しょうた。)…男性。
奈子(なこ。)…女性。
力也(りきや。)…男性。
本編。
まもり「ふぁ…。いらっしゃい。」
翔太「お前ちゃんと寝てんの?」
まもり「寝られなかったんだよ。花粉が酷くて夜中ずっと鼻かんでたわ。」
翔太「大変だな。」
まもり「ま、今はなんとか大丈夫だ。…それで、パソコンだっけ?」
翔太「そうそう。まあ遊びに行って、帰りについでに見て行く感じで良いと思うけどな。せっかく初めての給料が出たからちゃんとしたのに買い換えたいんだわ。」
まもり「ふーん。俺は振り込みを確認しただけで引き出しても居ないわ。…あ、ちょっと待ってな。郵便受けに何か来てる。」
翔太「そういうのは帰りに見ろよ。荷物になるだけだろ。」
まもり「気になるんだよ。」
翔太「何だった?」
まもり「…ああ。誰かと思ったら…幼馴染からの…へえ。結婚報告。律儀になぁ。」
翔太「そっちもか…。俺の方も最近同年代の結婚が多すぎて億劫だわ…。」
まもり「…。」
翔太「どうした?」
まもり「…いや、ちょっと昔を思い出して。あいつは幼馴染だけでなく、昔…そうか…5年前まで恋人でもあったから。」
翔太「ってことは高校生の頃か。」
まもり「明美?もうそろそろ大丈夫?」
明美「まだ無理かも…。」
まもり「ふふ。なら、まだここに座っていようか。」
明美「足が震えてまっとうに立てそうにない…。」
まもり「自分で乗りたいって言ったのに。」
明美「あのジェットコースター…今まで乗って来たのと全然違ってて…。むしろこういうの得意な方だと思ってたのに…。」
まもり「…。」
明美「ごめんね、もう少しで大丈夫…だと思うから。」
まもり「大丈夫だよ。寝不足なのもあって俺も休憩したかったところだし。…ちょっと座ったまま寝てようかな。何かあったり歩けそうになったりしたら起こしてね。」
明美「うん。」
まもり「…。」
明美「…。」
まもり「…。」(寝息。)
明美「やだ、やめて!まもり君!?なんで?さっきまであんなに楽しく…やめて!痛い!」
まもり「黙れ。」
明美「ぁぐっ。……お願い…もう叩かないで。」
まもり「黙れ。」
明美「っ…。」
まもり「…。」
明美「……んぅっ…!…あっ!…。」
まもり「黙れ。」
明美「ごめんなさ…あっ!…ぅ…。」
まもり「…。」
明美「……ぐ…。…んっ……ん……ん!ぐぇ!!…げぁ…あ…うぇ!!」
まもり「…。」
明美「あ…ごめんなさい……。」
まもり「っ……。」
明美「あ、起きた。もう大丈夫!次はどこ行こっか!」
まもり「…明美が行きたいとこが良いな。」
明美「それならね!」
まもり「おはよう。」
奈子「あ、槙枝(まきえだ。)、それに明美。学校来るのおせーよ。さ!約束どおり、先生が来るまでに昨日のデートの事、根掘り葉掘り聞かせてもらうからな。」
明美「奈子ちゃん…それ本気だったの?もぉ…。」
奈子「んなこと言ったって槙枝も明美も人気者なんだから、裏でどんな事してるのか気になるだろ?」
明美「…。」
奈子「明美?」
明美「あ、ごめん。…もう、恥ずかしいけど…そうだね…。」
まもり「あはは。別に構わないけど。…ともかく俺は席に着いてるから、またね。」
明美「あ、うん。…またね!」
まもり「…。」(溜息。)
力也「お前も宮野さんも大変だな。」
まもり「まあね。」
力也「人気者もつらいってわけだ。」
まもり「…。」
力也「というか実際、あの話ってどこまで本当でどこから尾ひれなんだ?」
まもり「あの話って?」
力也「中学の卒業式の日にお前が宮野さんいじめてた奴ら全員殴り倒したって話。」
まもり「ああ…二年前の…。まず、俺はその話が皆の中でどういう風に噂されてるのかを正確に知らない。」
力也「えーっと、確か…。中学の頃、当時からお前と付き合っていた宮野さんをいじめていた女共が居て…。それが日に日にエスカレートしていって、卒業式の日にそいつらが男子生徒数人を呼んで協力してもらって、そいつらに押さえてもらった上で女共が宮野さんのお腹を蹴って遊ぼうとして…。その時お前がそいつら全員叩きのめしたって。」
まもり「…まあ間違ってはいないけど。」
力也「けど?」
まもり「…いや、多分話すと長い。…あと、悪いけど今ちょっと疲れてて。先生が来るまで、寝かせてくれないか。」
力也「おお。デート疲れってか。羨ましいな全く。」
???「やめて!悪かった!私が悪かったから!!」
???「まもり君すごーい!」
???「宮野にもちゃんと謝るから!!もうしないから!!」
???「もっともっと!!」
???「そいつには俺も虐められてたんだ!!」
???「俺達はそいつに脅されて…。」
???「何言ってんだお前ら。お前らだって宮野さん押さえつけてただろ!同罪だ!」
???「まもり!こいつらもやっちまえ!!」
???「許して!お願いだから…!」
???「すっげー!やっぱりまもりつええ!!」
明美「…ぁぁ……。」
???「すっごい!槙枝(まきえだ。)君かっこいい!!」
明美「…あ…ぅ…。」
まもり「あ…。」
明美「ひッ…!………。」
???「こいつらどうする!?」
???「もう使わないんだし、制服をさ…あっ。」
???「まずいまずい!先生来た!!」
力也「まもりー。」
まもり「ん…。あれ、もう先生来た…?」
力也「いや、違うけど…すっげえうなされてたから…大丈夫か?」
まもり「ああ、そっか…ありがとう。大丈夫。最近悪夢ばかり見て困っているだけだから…。」
力也「へえ。そういうのって…なんだっけ。潜在意識?とかが影響してるって言うけどどうなんだろうな。」
まもり「多分俺の場合それはあるんじゃないかな。思い当たる節がありすぎる。」
奈子「それでそれで!?」
明美「それで。も何もない。これで終わり。」
奈子「えー。つまんねーな。」
明美「分かったらさっさと前向いた。私は予習にいそしむから。」
奈子「なんだかなー。お前ら付き合い始めて…えっと?3年?くらい経ってるのに」
明美「それ以上言ったら今日ずっと無視するよ。」
明美「ただいま。」
―――。
明美「あれ、お母さん今出ていくとこ?」
―――。
明美「それなら…じゃあ、もしあったら単三の電池、ついでに買ってきて。」
―――。
明美「行ってらっしゃい。」
―――。
明美「…。」
明美「…。」
???「明美良いなー。あんな強くて格好良い彼氏が居て!」
???「怖い?何言ってるの?」
???「あ、でもほら。大丈夫だよ。ちゃんと槙枝君に守ってもらいな?」
???「…(舌打ち。)。先生達、まるで槙枝君を悪者みたいに言って本当ウザいわー。」
???「いやあ、スッキリしたよな!まもりに殴られてる時のあいつらの顔見た?普段調子に乗ってるあいつらがさ!」
明美「私の…。」
明美「―――私も好きだよ。―――」
明美「ほんと。薄っぺらいな…。」
まもり「ただいま。」
…。
まもり「…あれ。母さん、今日は残業かな。」
…。
まもり「……。」
???「一人だね。」
まもり「出てくるな…。」
???「今は我慢しなくて良いんだよ。」
まもり「…やめてくれ。」
???「知らなかったよね。誰にも非難されないで人を意のままに傷つけるのって、あんなに楽しいんだ。」
まもり「…思い出させないでくれ…。」
???「でも、あの時明美があんな怯えた顔で見てくるもんだから冷めちまったよな。」
まもり「それがあってくれて良かったんだよ…。」
???「でも、冷めると同時に思ったよな。…いつもあんなに可愛く笑いかけてくる、あの明美を」
まもり「やめろ。」
???「あんな恐怖に歪んだ顔に変えてやった事が」
まもり「やめろ。」
???「嬉しくて、興奮したよな。」
まもり「そんなわけがないだろ!」
まもり「もし明美をあんな風に殴り倒せたら」
まもり「やめろ!」
まもり「明美の顔をあいつらと同じにしてやれたら」
まもり「黙れ!」
まもり「あいつらを殴るよりも」
まもり「黙れ!!」
まもり「もっと楽しいだろうなって!!」
まもり「黙れ!!!」
まもり「…はぁっ…はぁっ…。明美…。」
明美「まもり君、おいしい?」
明美「えへへ。やった。喜んでくれてる!」
明美「まもり君。好きだよ。」
まもり「あ…ぁ…。」
明美「やめて!痛い!痛い!!」
まもり「ぐ…ぅ…。」
明美「お願いだから!いつものまもり君に戻って!」
まもり「ぁ…ああ…ぁ…。」
明美「ごめんなさい…。もう何も言わないから痛いのやめて…。」
まもり「…。」
まもり「…くっははは。」
まもり「現実にしなけりゃ良いんだろうが…。」
まもり「どんな最低な欲望でも、現実にしなけりゃ良いんだろうが…。」
まもり「誰が…!!」
明美「まもり君。どうしたの?急に呼んで。」
まもり「明美。」
明美「うん?…うわっ。」
まもり「…。」
明美「どうしたの急に…。ちょっと苦しいよ…。」
まもり「好き。」
明美「?…うん、私も…好きだよ?でも、どうしたの…。」
まもり「勘違いだったらごめんね。」
明美「…?」
まもり「…明美、俺の事怖いだろ。」
明美「…。」
まもり「ごめんね。」
明美「…怖い。」
まもり「それで正解だよ。2年も待たせてごめん。…別れよ。」
明美「…まもり。」
まもり「うん。」
明美「好きだよ。」
まもり「うん。」
明美「別れよ。」
まもり「今までありがとう。」
明美「…ごめんね。」
まもり「あいつが結婚ね…。」
翔太「…。」
まもり「ん?」
翔太「どうした。」
まもり「いやお前がだよ。どうした。その慈しんだような目は。」
翔太「…お前につられただけだ。」
完。
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