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2017年08月18日14:23

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エッセイ集510:「株価の見方」

日本の株価は、米国の経済や株価さらに国際情勢(北朝鮮問題・トランプ政権の不確実性・テロなど)の影響もあり、今朝のように大幅下落することはあるものの、最近の日経平均は2万円前後で推移しており概ね好調に推移していると見られています。

その好調の最大の要因は、日銀の金融緩和による円安に支えられた輸出企業の業績向上であるというのはおそらく一致した見方だと思われます。

しかし、それ以外に下記の3つの要素も日本の株価を押し上げていると思われます。
(1) 年金積立金管理運用法人(GPIF)の国内株式の購入増(総計約35兆円)
(2) 日本銀行の国内株式の間接的購入額の増大(総計約16兆円)
(3) 日本企業の内部留保の増加(総計約400兆円)

東証一部上場企業の時価総額は500〜600兆円ですから、(1)のGPIFと(2)の日銀がその保有分で約10%にもなる最大の機関投資家となっており、その株式保有額の増大自身が株価を押し上げています。

また、日本の企業は内部留保が多すぎ「もっと給与や配当に回すべき」という話を聞きますが、内部留保のおかげで企業の純資産が増え、それも株価を下支えしていると思われます。

こうした株式保有と保有株式の株価の上昇そのものは株主の「含み益」となりますが、投機筋や富裕層は勿論上記の3要素によってその価格が押し上げられた株式を、機を見計らって売却することで「実益」を得ます。

株式の売買による利益自身は、それ自体は経済価値を生まない単に富の再配分による「不労所得」となります。したがって「経済成長が限りなく続き、そのために株価は限りなく上昇を続ける」という架空の話を信じない限りは、投機筋や富裕層が実益を得るとすれば、その陰には必ずそれに見合う損失を被る階層が生じます。

そもそも企業の株式の保有も、本来はその企業の業績による配当が主眼だったはずです。ただ株式の性格上その売買手段が必要になりその売買価格として株価が登場しました。しかし企業の株価自体は、その株主の利害には影響はあっても、公募増資時以外は、その企業にとっては何の価値も生じません。

そういう意味では、株式や株価は、本来は実体経済とは無関係であり経済に従属すべきものなのですが、投機筋や富裕層による「富の再配分」という形で実態経済の根幹にかかわっています。

そして上記した(1)GPIFの株式購入、 (2)日本銀行の株式の間接的購入、(3)企業の内部留保の増大などがもたらす株価の浮揚が、結果的には、「富の再配分」という形で「格差の増大」を助長しているというのは大きな負の側面です。

世の中に「株式」や「株価」はあって当たり前の存在と思われていますが、こういった株式や株価の矛盾や負の側面を見逃さないことも、長期的な経済の在り方を見通すためには重要なことだと思います。(おわり)
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