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2017年08月08日19:08

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岩手山、八幡平　H29.08.03

昨日は早池峰山を登り終えて、ここ岩手山の馬返しキャンプ場で車中泊としていたのですが、短時間ながらも爆睡して3:40に目を覚ますと、早速、朝食の準備に取り掛かりました。先ずはテルモスに熱いココアを淹れてザックに詰め込み、手軽なので重宝している棒ラーメンとスライス餅のスープを作って胃の中に流し込みました。それにしてもこの時間は大してお腹は減っていないので、義務的な作業ではあります。周りには既に10台程の車が停まっており、明るくなるに従って次第に慌ただしくなって来ました。急かされる様にして丁度5:00に登山を開始、今日も自転車用のザックを担いでいるだけなので足取りは軽いです。因みに私は雪歩きでなければストックは使わない主義ですし、季節に関係なくアンダーシャツ1枚とジーパンの姿で登っています。私、何でも○○然としたスタイルが嫌いなんです。

この柳沢コースでは登りは旧道で下りは新道を使いました。所要時間はどちらも全く同じなのですが、やはり見通しが良くて火山に特有の岩礫地を行く旧道の方が面白いと思います。七合目の鉾立で2つの道は一緒になり、ここからは岩手山の頂が間近に見えているので趣がありました。

㊧　柳沢コースから岩手山、旧道五合目付近
㊨　七合目の鉾立より、岩手山

鉾立からは灌木帯を縫う様にして八合目避難小屋まで。ここの御成清水の美味しかった事！ここで私と前後して登っていた、盛岡から来られた同年代の方と話を交わしました。不動平からは右の登山道を通ってお鉢の縁に出ると、時計と反対回りでお鉢巡りをしながら岩手山山頂を目指す事にします。

㊧　八合目避難小屋への道程
㊨　お鉢巡り。左奥が岩手山山頂（薬師岳）、中央に妙高岳

そしてここでも妙に歩調が合うものだから、あの同年代の方と一緒になっては世間話に講じたりしていました。その方は岩手山は3回目という事で、中央に聳えている妙高岳にも登って見たいとの事でした。砂礫地に特有のコマクサやイワブクロを愛でながら、岩手山山頂へは8:30に到着。眺望を楽しみながら、その方と東北の山の魅力について話し込んでいました。やはり雪の時期が面白そうですね。そして彼とはここで別れたのでした。

㊧　お鉢の内側に岩手山神社奥宮
㊨　岩手山山頂から八幡平を望む

本日は曇の切れ間からの日差しが心地好い、梅雨明け直後の絶好の登山日和でした。この後は八幡平にも登る予定なのですが、ここが本命とばかりに下りてしまうのが勿体ない様に思われました。お鉢の縁にある岩手山山頂（薬師岳）と中央の妙高山は、火山の荒々しさを伴ってとても絵になる風景ではありますね。

㊧　妙高岳山頂より、薬師岳
㊨　御室火口より、薬師岳と妙高岳

不動平への右の登山道は、短いながらも丸で富士登山の大砂走りの様で面白かったです。時間があるならば外輪山である鬼ヶ城まで足を伸ばしても良さそうでした。続々と登って来る登山者と挨拶を交わしながら、足取りも軽やかに下って行きました。
下山間際にあの同年代の方を追い越して言葉を交わします。11:20に下山。出発の準備に手間取っていると、わざわざ私の所までお別れを告げに来られたのでした。車のナンバーが岩手山の標高と同じだと、少し誇らし気に話していたのが印象的でした。

㊧　鬼ヶ城と不動平避難小屋
㊨　イワブクロ（岩袋）

八幡平に向かう途中で、眠気が増して来たので松尾八幡平物産館あすぴーてで仮眠をしていたのですが、ハーレーの爆音で目を覚まされると、簡素な昼食を摂ってから車を走らせました。大更八幡平線というワインディングロードを走らせて見返峠を目指していたのですが、その道中に後方からスポーツカーが追い上げて来ると、いやが上にも速度は増して来ます。標識には夏の交通安全週間と掲示されてはいるし、どうしたものかと考えていると目前には軽自動車が。ああこれでゆっくりと走られると思いきや、前の軽が猛然といきなりダッシュを始めます。それにぴたりと付ける後ろの軽。一瞬怯む前の軽。と、ここでお互いのアドレナリンに火が付いた様で、軽のポンテンシャルを最大限に発揮した走りを見せたのでした。後ろのスポーツカーはと言えば、それを半ば呆れながら付いて来る様でした。見返峠を越えて走り去る軽。顔を合わせるのもあれなので、少し寄り道をしてから八幡平の登山口に停める軽。実はここからの登山は安易過ぎるのではないかと思っていたのですが、この追走劇がその思いを帳消しにしてくれたのでした。

登山口からは13:25から歩き始めたのですが、八幡平の一般的な周遊コースは1時間程の道程です。よって自転車用のザックの中身は更に少なくなって、足元もウォーキングシューズとしました。めがね沼経由で13:45には八幡平山頂へ。ここからの眺望は全く効かずに、その先の広大な火口湖である八幡沼ではイワナの放流を夢想していました。

㊧　八幡平にて、八幡沼
㊨　八幡沼のニッコウキスゲ（日光黄菅）

実は最初、ここは単なる観光地かと思って侮っていたのですが、尾瀬を思わせる様な湿原が広がっているのを見て驚いていたのでした。逍遥という言葉がぴったりと来る様な、丸で風景と自身が一体となった様な多幸感は格別ですね。まだ時間に余裕があるので、折角なので茶臼岳まで足を延ばす事にしました。
たとえ観光で訪れていたとしても、周遊コースからは少し外れるのですが、源太森までは足を延ばすべきだと思います。ここからは八幡平を一望の下に見渡す事が出来ます。そこから30分程で黒谷地湿原へ。ここのこじんまりとした湿原も見事な物でした。その近くにある熊ノ泉の清水の美味かった事！ここも黒谷地湿原の駐車場から15分で来られる所なので、是非寄って頂きたい所ではあります。

㊧　源太森からの眺め
㊨　黒谷地湿原

黒谷地湿原からはなだらかな登り道を辿って茶臼岳へ。少し後悔していたのは、やはり登山靴を履いて来るべきだったなという事でした。それと源太森からは歩を進める毎に足元からわんさと赤とんぼが舞い上がっていたのが印象的でした。そして“トンボが飛ぶ時期になったらアブやブヨの類が居なくなる”という言葉を思い出していたのでした。15:30に登頂、目の前にある岩手山が雲に隠れて見えなかったのは残念でしたが、やはり展望を得られてこその山頂ですよね。

㊧　熊ノ泉
㊨　茶臼岳から八幡平を眺める

その山頂での出来事。岩の上に立って、写真を撮りながら眺めを堪能していると、突然ガサガサと50m先の灌木が揺れたのです。何だろうと思って目を凝らしていると、暫くしてから又ガサガサと、今度は黒っぽい頭を出して周りの様子を窺っているのです。あれは明らかに熊やん。私は「ハッ！ハッ！ハッ！」と大声を出して威圧して見ます。すると暫くは静寂が訪れて…しかし堪え切れなくなったのか、前よりも一層ガサガサと音を立てて、今度は「フォッ！フォーッ！」と唸り声を立て始めたのです。これはあかんわ。気が立って来た様なので急いでその場を後にしました。私、登山中に熊を見たのはこれが初めてなのです。そしてこの後は気を紛らわす為に一人カラオケをしながら帰路に就いたのでした。湿原歩きを堪能しながら17:10に下山。

㊧　湿原に架かる木道
㊨　湿原に架かる木道

もうこの時間になると寂し気な駐車場を後にして、今度は八幡平樹海ラインに沿って車を走らせます。直ぐ途中の、所々で蒸気の上がっている藤七温泉に立ち寄ると、日帰り入浴は後30分程で終わるとの事で慌てて入って来ました。白濁した硫黄泉は如何にも疲れた身体に効きそうでした。この後は松尾八幡平ICから高速に乗って、途中で何度か仮眠を挟みつつ、何と11時に家に帰り着いたのでした。流石にこの後、2日間位は疲れが取れませんでした。