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2017年06月30日12:20

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「学業は」って?

 鷺宮定跡はまだ途中まで勉強した段階で、

 相当の記憶力が必要

 というのが、今のところの感想。


 かなり深く研究されていて、後手番がどのように指しても先手が指せる形に持っていける、というのは確かなようだが、似たような変化を手順を間違わずに指さなければならない。なるほど、アマなら二段以上でないと推奨できない、と言われるのは納得する。そして、定跡形から外れるとあとは力勝負となるので自力は必要だろうし、一朝一夕とはいかない。

 私は、決して記憶力が良い方ではないのだが、プロの将棋指しが私より記憶力が劣っているとは到底思えない。よって、中学の授業は学校で授業に出ていれば問題なくこなせるだろうから、要は「学校に行けさえすれば」問題はない。

 対局が、学校が休みとなる、土日に行われるような配慮、はあっても良かろうとは思う。勿論、これだけ勝ち進んでいるのである、必然的に対局数は多くなるし、学校を休まざるを得ない日はこれからも増えるだろう。
 とはいっても、現状で既に収入があるのだから、今後学業が必要か? といえばそうでもないだろうし、そうすると中学の授業で大事なのは、公民と英語ぐらいだろうか?


 先日、藤井四段が高校に進学した方が良いか、などというアンケートを一般の人に聞いて回った結果、みたいなものがあった。
 既にこれだけの強さ、学校へ行く必要などみじんも感じないが、そうではないケースがあるとしたら、


 「プロの将棋指し、という職業がなくなる。」

 というケースだろう。
 この議論は、まじめにやる必要がある。

 そもそも、将棋を指していてお金をもらえる仕組みは、主に新聞社が将棋欄を埋めるためにスポンサーとなって、棋戦をやっているからで、それ以上のパイがあるわけでは無い。新聞に載る棋譜を楽しみに読む人がいるからこそ成り立つ仕事である。
 プロのスポーツのように、スタジアムに行く観客がお金を落としてくれる、というのとはちょっと仕組みが違う。

 数年前なら、こんな心配自体、杞憂であったはずだが、ポナンザが強くなり簡単に人が勝てなくなったことと、藤井四段の出現とは大きく関係している。従来なら、人が頭で考え、そしてその手順が成立するかどうかはプロの将棋指しにとっては重要な問題だったわけだが、その答えをコンピューターが示してくれるようになった。
 手順を研究する、あるいは新手を研究する時間は大幅に削減されているはずだ。
 この、成果を見事に取り込んだ結果が、藤井四段の出現とも言える。

 今後、同じ手法で四段に上がってくる棋士は当然いる。10年もたてば、若手に何人もタイトル戦に出場する棋士がいる、ということは想像に難くない。記憶力や思考力がもっとも伸びる時期に、従来の「定跡」にとらわれずに、コンピューターが計算した結果をもとにした思考を繰り返すのだから、必然的に強くなろうし、その時代の申し子たちが古いやり方の棋士を圧倒できる可能性はとても高いと思う。

 この延長上に、「先手必勝の手筋」が見えてしまったとき、将棋、というゲームは終焉を迎えてしまう。将棋の計算が難しいのは、取った駒を自分の駒として使える点だし、そして自分が取られた駒で自玉が詰んでしまう手順を考えながら指さなければならない点である。そのため、従来は玉の囲いは重視され、穴熊に組めば勝ち、という時代さえあった。

 けれど、藤井四段がデビューしてからの棋譜を並べるならば、玉の囲いは最小限で、短い手数で終盤に持って行き、駒損をしても相手玉に迫って、豊富な持ち駒での詰将棋に持ち込む、という展開が目立つ。こうした考え方自体は従来からあったものだが、それでも人間が読める手数には限界があって、対局中に思いつかなければ意味がない。それ故、対局前の研究は重要で、その手順が通用するか、あるいは新しい対抗手段はあるのか、という試行の繰り返しがあった。
 現状、それをコンピューターがサポートしてくれる。とくに「新手」に関しては、人が考えるよりも、コンピューターに指せる手をすべて計算させる、という手法の方が向いている。人間なら思いつくのに何日もかかってしまうような反撃の手を、コンピューターが事実上のノータイムで指してくるのは驚愕する。(棋神・GOLD棋神 などの指し手を見て)
 プロの仕事は、こうした新手を、丁寧に取り扱う、ということになるのだろうが、藤井四段が先手でも後手でも角換わりを要求してくるのに対して、多くの棋士が角交換を拒否せずに同じ戦型になることが多いのは、ある程度角道を止めてしまう将棋、に対して不利な結果が見えているからではないだろうかと思う。計算上、持ち駒を豊富に持ってそれを使う、という戦い方が有利なのだろう。

 つまり、将来的に見えるのは、角は序盤で交換してしまう。玉の囲いは極力省略して手数を掛けない。お互いに攻め合う。特に桂馬は早い段階で戦場に投入する。お互い持ち駒になる角・桂並び銀の運用の仕方が鍵。と言ったところだろうか?
 手数を掛けて玉を囲う将棋、というのがなくなってしまうのかどうかは分からないが、従来無理筋と思われていたような手筋が実は大きな駒損でも早く終盤になる、という結果がもたらされるなら、将棋というゲームが大きく変貌する。

 そして、新聞社が、人間と人間の対局では記事が書けなくなった時。
 藤井四段が、中卒で後悔する日が来るのだろうか?

 まあ、若くしてあれだけのことが出来るのだから、他の分野でも大きな仕事はできると考えるのが自然だし、今高校に進学する必要性は私も余り感じない。

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■藤井四段、学業は大丈夫? 居眠りなし、集中力発揮
(朝日新聞デジタル - 06月30日 07:35)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=4645123

 30年ぶりの新記録となる、公式戦29連勝を果たした将棋の藤井聡太四段(14)は中学3年生。日本将棋連盟は学業に配慮し、対局は学校が休みの土日、祝日にできるだけ入れるようにしたいという。

 通っている名古屋大教育学部付属中・高校(名古屋市千種区)の原順子副校長によると、対局が平日になれば学校を欠席するが、「それ以外は出てきているので支障はない」。中間テスト期間の15日に対局があり、テストを受けられなかった。再テストはせず、日頃の勉学の取り組みを総合的に判断して成績をつけるという。

 授業中の藤井四段について「対局の時のように集中すると体を乗り出して聞いていて、対局翌日で『疲れているんじゃないか』という時でも決して居眠りをすることはない」と原副校長。母親の裕子さんは「プロとして伸び盛りの時期だが、学業もおろそかにできない。自宅ではリラックスできるよう心がけ、(息子の)睡眠時間を確保するよう努めている」と話している。(山田佳奈、深松真司、浦島千佳、滝沢隆史)
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