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2017年06月14日22:25

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映画 ”20センチュリー・ウーマン”

”20センチュリー・ウーマン”   マイク・ミルズ監督

自分と同じ1979年に15歳の男の子が主人公、
当時人気が出始めたトーキングヘッズ始めパンク/NEWWAVE音楽満載、
好きなエル・ファニング、”フランシス・ハ”(14/9/23日記)で良かった
グレタ・ガーウィグが出ているということで鑑賞。

1979年、東海岸の街サンタバーバラ。シングルマザーのドロシア(アネット・ベニング)は、
思春期を迎える息子ジェイミーの教育に悩んでいた。
ある日ドロシアはルームシェアで暮らすパンクな写真家アビー(グレタ・ガーウィグ)と
近所に住む二つ上の幼馴染みジェリーに、
”複雑な時代を生きるのは難しい。彼を助けてやって”とお願いする。
ジェイミーと彼女たちの特別な夏が始まる、、、。

55歳の母は、戦前は女性パイロットを目指すぐらい進歩的、
そして離婚後もちゃんと稼いで他人に左右されず信念を持って強く生きている、
大人の見本とも言える女性なのに、男親がいない負い目もあって
だんだん理解が及ばなくなる息子の教育に悩む。

普通の親ならそのままほっとくか、頭ごなしに支配しようとしてガチでぶつかるはず。
ところが進歩的であるがゆえ、男関係がお盛んな幼馴染み(家に居場所がない)と、
パンクな写真家(24歳・子宮頚がんがわかりNYから地元に戻って来た)に
立派な男になるようにアドバイスしてやってくれと頼むのがこの母の出した答え。
もう一人家の改装を手伝いながらルームシエアをしてる元ヒッピーの男が
いるのにも関わらず。(つまり男をあんまり信用していない?)

それに対して当のジュレミーはクラスの大半が激しいパンクが好きなのに対して、
アートなホモ野郎と揶揄されるトーキングヘッズが好きな少しおとなしめな普通にいい子。
だから母もわざわざ悩むほどの問題はないと思うのですが、
そこはやはり母の深い愛情、心配なんでしょう。

女子二人はそれぞれ女性の喜ばせ方、かっこいい音楽&アートとは、フェミニズムとは
などなど、ジュレミーに教えるのですが、これがなかなかあけすけな言葉が多くて、
15歳にちょっと早すぎるんやないとか思っていたら、
やはり母親もやりすぎだと二人に抗議したり。
母は母で息子が聞いている音楽をこっそり真剣に吟味してみたり。
そんな感じでジュレミーを中心にした女性三人のやりとりが
終始重すぎず軽すぎず穏やかに物語が進みます。

母の心配をよそに女子二人の教えの甲斐あってかジュレミーは
ジェリーやアビーが困っている時に助けてあげたり、ジェリーと家出したり、
色々ありつつもちゃんといい男に成長し始めていきます。
そして最後は母子が本音で向き合って、お互いの気持ちを理解し合い、
それぞれがいい親離れ子離れできていく予感で終わります。
母は外でのジュレミーを見れるジェリーやアビーが羨ましいとか、
男親がいないから心配だとか最初の方で言ってましたが、
結局そんなことは関係なく、母そして子という互いの存在自体が
何事にも変えがたいということがすごく伝わってきました。
やはり母の愛は偉大だ。ジュレミーもいいやつだ。

主役はジュレミーではなく女性三人だし、私自身息子(娘も)もいないし、
もひとつ誰に感情移入していいかわからなかったし、
すごい感動があるわけでもないし、
端的な褒め言葉が見つからないのですが、
それでも見終わって、なんかよかったなと思える作品でした。

その良さの源はやはり女性三人の魅力でしょう。
アネット・ベニングの年齢を感じさせないくしゃっとした笑顔、
髪を赤く染めたグレタ・ガーウィグの男っぽさと繊細さ兼ね備えた佇まい、
そして少女と大人を行ったり来たりするエル・ファニングの小悪魔ぶり、
素晴らしいです。
特にジェリーは毎晩ジュレミーとは添い寝はするのにその先は許さないし、
ジュレミーも無理はしないという、この二人の関係がじれったくも、
ああ、青春やなってなります。エル・ファニングと幼馴染とか羨ましすぎるし。

期待した音楽は、まだアフリカンファンクを始める前のトーキングヘッズや
これまた大好きなDEVOや当時のパンク黎明の曲、
そしてエンディングのバズコックスの曲とかいずれも時代を感じれてよかったです。
あと海辺の街のカラッとした佇まいや
スケボーでゆっくり坂道を下っていくシーンなど
もともとグラフィック出身の監督らしく画面が美しく、
他にも当時のバンドやライブハウスのスナップ写真、車や登場人物のファッション、
個人主義の台頭や環境破壊を警鐘する当時のカーター大統領の演説など
時代を感じさせる小道具なども印象的でした。

ラスト、子離れして久しぶりに新たな恋愛を始めた母が
若い頃の夢だったセスナで大空を羽ばたくシーンがとても美しかったです。
子育てを含め母自身の人生を楽しみ、
そして20世紀という時代を翔け抜けた母の満面の笑顔、
最高に素敵でした。


https://www.youtube.com/watch?v=yTBG6TXBAr0





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