５月19日のコンサートの話の続きです。
開演前にベートーヴェンのＣＤを２枚買った。一番好きな作曲家がベートーヴェンであるから、
であるが２枚とも今夜の出演者が演奏するＣＤである。１枚はクァルテット・エクセルシオの弦楽
四重奏12番16番。エクにとって大事なベートーヴェン後期の弦楽四重奏であり、機会があれば
聴きたい曲ではあったが今夜のテーマとの絡みでラズモフスキー３番とシューベルトの
「死と乙女」を収録したＣＤが欲しかった。何故なら後半はシューベルトが演奏されるから。
音楽史ではベートーヴェンは古典派、シューベルトはロマン派と分けて考える事もあるが、
実はベートーヴェンとシューベルトは同時代の作曲家である。年齢は27歳離れているが、
シューベルトが早逝した為、没年が１年しか違わない。スタイルも、その実、似ているかもしれない。
弦楽四重奏曲を何曲も世に出したから。1828年秋に今夜演奏される弦楽五重奏曲を作曲して、
幕を閉じる事となる。
フランツ・シューベルト(1797〜1828)作曲
弦楽五重奏曲ハ長調Ｄ956
演奏者(敬称略)
Ｖｎ１：西野ゆか
Ｖｎ２：山田百子
Ｖａ：吉田有紀子
Ｖｃ１：堤 剛
Ｖｃ２：大友肇
弦楽五重奏曲については、あまり詳しくなくて「チェロ２本の弦楽五重奏曲は珍しい」と大友さんが
事前に公開された動画で解説されていた。その理由をナビゲーターの磯山雅さんは「チェロの
開放弦の最低音がハ音である事」だと仰る。Ｖｃ２に、その周辺を確保する事で重奏に空間と
自由度を与えるのだ、と言う。
表面的な形式だけで言えばベートーヴェンのような古典的であるが、初っ端からハ長調の曲
とは思えない。転調し易いとは言えども、どこへ行くのだ、という感覚に襲われる。
ここで仲道郁代さんの話を思い起こす。シューベルトのピアノソナタが長い、という話
であったが、その原因は繰り返しの多さだ、と仰る。これは本曲を聴く上でも参考になった。
同じ旋律が５回出て来たりするのである。興味深いのは第３楽章で、本楽章はスケルツォ
であるが、トリオでＶａとＶｃ２が掛け合う。桐朋学園大学出身のクァルテット・エクセルシオ
にとっては堤さんは学長であって先生と呼ばれる人。初共演の時は緊張した、と語られていた。
本コンクールにとっては第２回の２位入賞者であって、ゆえの特別公演であった。
１時間という大曲であった。(つづく？)
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