無言歌は続く

　朝から雨　サンダルを買いに行こうと母が云ふので川越方面の量販店へ　のんびりお買い物　ちょっと食料品も買った　ここは比較的安い品が多いので　安物と云ふのではなく　他のスーパーより同じものがかなり安いものが多い　故に普通の人の買い物カゴは二つから四つ　それぞれいっぱい　私のカゴは半分に満たない　こんな客は珍しいと思われる　レコードプレイヤーの下に引くオーディオボードがわりのものを購入　さて音は違ふか　

　今宵一枚目のおんがくはCD　『ディヌ・リパッティ生誕100年記念BOX』
[Disc 4](戦後1945-48年の録音)　音はイマイチだが　古いし　日本の企画ならもっといい音でCD化されていると思ふが　3500円の十二枚組の輸入盤を選んだので　6000円出して日本語版を待った方がよかったかな
(1) リパッティ:ルーマニア舞曲集　(2) リスト:ピアノ協奏曲第1番変ホ長調
(3) グリーグ:ピアノ協奏曲イ短調Op.16

エルネスト・アンセルメ(指揮)スイス・ロマンド管弦楽団(1)(2)
アルチェオ・ガリエラ(指揮)フィルハーモニア管弦楽団(3)

　今宵二枚目はレコード　さだまさし　うつろひ　昨年くらいからレコードで集めている　さだまさしには親近感がある　と云ふのも　大学生の頃軽井沢でアルバイトをしてたある日　さだまさしが軽井沢でコンサートをするとき　偶然の出来事だが　そのコンサートがテレビ放映されるオープニングの映像に　私が中心でかなりの時間写っていたそうだ　隣のおばさんが　軽井沢から帰ってみるとそう話してくれた　その映像をまだ見たことはないけれど　調べればわかるかな　きっと絵になる大学生だったのだろう

　今宵三枚目は春日八郎　ベストアルバム　108円で瑕疵のないレコード　ネットでは1800円だ

　午後は雨足が強くなって　コーヒー豆を買いに出かける　茜屋のコーヒーは飲むだけだが　毎朝飲むコーヒーは別のところで購入　ここも30年以上の付き合いのコーヒー屋さん　常連のS氏に遭遇　この方もレコードを最近聴き始めたとのこと　タンノイのスピーカーをお持ちだそうだ　珈琲店の店主が手を広げて　こんなに大きいスピーカーと言っていたので　多分オートグラフだろうと思われる　アンプにレコードプレイヤーは何を使っておられるのだろう　気になるところだ

　さて30年くらい前　5月の10日をすぎると初鰹　と云ふ感じだったが　昨今はちと早まって黄金週間をすぎると広告がカツオで賑やかだ　ちなみに初鰹と云ふのは　その年の初めて食うカツオのことではなく　カツオの走りの時期が来たと云ふ意味で初鰹だ　芭蕉も

　　鎌倉を生きて出でけん初鰹　　　有名なのでは素堂の

　　目には青葉山時鳥初松魚　　　この辺はわかる人も多いと思ふが　川柳に

　　初鰹りきんで食って蚊に食われ　　　なんてのがあるが最近の人じゃその状況が目には浮かばんだろうなぁ　しかし　蜀山人の狂歌に面白いのがある

　　鎌倉の海より出でし初鰹みな武蔵野のはらにこそいれ

　今の時代　カツオは足が速いので　昨日のカツオは食わん　と云ふお歴々もおるだろうが　江戸の粋人は　相模湾で捕れたカツオは　鎌倉から馬で運ばれて　夜に入ってから江戸に到着　これを「夜鰹」と言って特に人気があったと云ふ　江戸まで運ばれる時間が　カツオの味を一層よくした　と云ふ　ちなみに私はカツオを買って食ったことがない　たまたま出て来たときに食った記憶はあるけれど　生涯でまだ3回程度と思われる　嫌いではないけれど　うまいと思った記憶もなし　本鮪の中とろで十分だ　マグロはシビがうまい